ノーマ、世界を変える料理の映画専門家レビュー一覧
ノーマ、世界を変える料理
デンマークの人気レストランNOMAのオーナーシェフ、レネ・レゼピに密着したドキュメンタリー。「世界ベストレストラン50」で3年連続1位に選ばれるも2013年に2位へ転落。14年、再び世界一を獲得するまでの挑戦と復活の道のりを追いかける。監督は、本作が長編デビューとなるピエール・デュシャン。2015年第6回東京ごはん映画祭正式上映作品。
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映画監督、映画評論
筒井武文
「ノーマ」の調理場は実験室のようだ。薔薇から生きた蟻まで、食材の可能性のある素材が集められ、料理法が吟味されるからである。視覚でしか味覚を伝えられない映画では、この独創的なメニューを食べたいと個人的には思わないが、マケドニアからの移民でありながら北欧料理を一新させたシェフ自体は、被写体として興味深い。ただ、ドキュメンタリーとして、描く主体の位置がどこにあるのかは、よく分からない。どうも撮れた素材だけに頼っていて、形だけでまとめたように見える。
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映画監督
内藤誠
料理に関する映画の楽しみはシェフの手にある食材からどんな新作料理ができるのだろうと期待して見ることだ。昨年公開された「ガストン・アクリオ」の場合は、食材ゆたかなペルーが舞台なので、色彩も美しい料理が出てきて当然だったが、北欧デンマークではどうなるのか。主人公レネ・レゼピはマケドニアからの移民でイスラム教徒だという差別まで受ける。盛り沢山な話で、前半はPR風。しかし店がノロウイルス感染のスキャンダルに見舞われてからはドラマチックになり、盛り上がる。
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映画系文筆業
奈々村久生
「料理人のドキュメンタリー」というジャンルの真髄をいまだつかめずにいる。一般客による口コミやレビューが店の評判に大きく作用する食の世界は、(映画以上に)誰もが評論家になれる分野であり、その意味では消費者の力が強い。一方で消費者は、どこで何を食べるかという選択により豊富な根拠やドラマを求めるが、映画はその手助けたるべきなのか。本作にはノーマ本人の姿と証言、彼の料理も写っているが、人と料理を結ぶものは情報で、映像はその手段だったように思う。
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