ミュージアムの映画専門家レビュー一覧
ミュージアム
巴亮介の同名サスペンス漫画を、監督に「るろうに剣心」シリーズの大友啓史、主演に小栗旬を迎え映画化。カエルのマスクを被った自称・芸術家のカエル男が、残忍な私刑を加える猟奇殺人事件が続発。事件を追う沢村刑事は、逆にカエル男に追い詰められていく。大友監督に加え、「凶悪」の高橋泉と「るろうに剣心」シリーズの藤井清美が脚本を担当。沢村の妻・遥を「そして父になる」の尾野真千子が、沢村と組む新米刑事・西野を「ちはやふる」の野村周平が、捜査一課警部補・関端を「映画 深夜食堂」の松重豊が演じる。
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評論家
上野昻志
同じ監督の「秘密」よりすっきりしている。話の基本線が、あれほど持って回っていないから。それにしても、殺しのヴィジュアルが厚化粧というか、盛り過ぎ。これは、原作からきているのかもしれないが、それに留まらず最近の日本映画のある種の傾向のように思う。シンプルな骨組みで見せきるのが難しいので、ヴィジュアルやオーバーな表情でカバーするというような。まあ、カエル男のマスクなどは面白いし、“泣き”の妻夫木が、顔をあそこまで作り込んでいるのには感心したけれど。
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映画評論家
上島春彦
この監督の前作もそうだったが、画面が強烈なのに脚本が弱い。原作によりかかっているようだ。捨てるべき細部がいっぱい残ってる感じ。ラストのとんちきジャーナリストとか、少年のトラウマを暗示する液晶画面描写とか、海老殻症の患者がラーメン屋で大暴れしたり(話せば分かるだろうよ)とか。要らないね、どれも。「セブン」のダメなところを全部集約した映画だから、「セブン」ファンなら評価するだろう。その上ミスリーディング(意図的な話の逸脱)は上手く、残虐趣向もばっちり。
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映画評論家
モルモット吉田
また「羊たちの沈黙」+「セブン」かよ! もう20年だよ。韓国ノワールを横目にこんなヌルいサイコサスペンスでいいのか。カエル男も記号でしかなく、不気味な触覚感も皆無。その素顔と言えば特殊メイクで凶悪な外面を作っても狂気を感じさせず、猟奇殺人犯がクラシックを流しながら「これがボクの作品だ!」と叫ぶ紋切り型の描写に終始。舞台を犯人宅に移した後半は、主人公が再会を夢見る家族の幻影に「寂しい思いをさせてゴメン」と土下座したり回想が入ったりとこれまた冗長。
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