バンクシー・ダズ・ニューヨークの映画専門家レビュー一覧

バンクシー・ダズ・ニューヨーク

世界各地でゲリラ的に作品を描くことで知られている正体不明のストリートアーティスト、バンクシーが毎日ニューヨークの路上に作品を残し、人々がその場所を探し当てるためニューヨーク中を駆け回った1ヶ月を記録したドキュメンタリー。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    アーティストのゲリラ的活動を(にわかファンもたぶん多いだろうとはいえ)熱狂的に追いかける人たちがNYにはこんなにいるのかと、あの街の豊かさにまず素朴に驚く。露わになるのはそれだけではない。この映画の主題はバンクシーというよりNYそのものであって、人々の行動力、エネルギー、したたかさ(そうした反応もまたバンクシーのアートの一部ではあるが)が、次々と描き出されていく。何度塗りつぶされても立ち上がるグラフィティー・アートにも似た、強靭なストリートの知性。

  • ライター

    平田裕介

    ものはいいよう。アジテーションも悪ふざけも芸術を名乗れば芸術になるし、そこに批判性を盛り込むと支持者が付く。こうしたセオリーを熟知したバンクシーの術中にはまるのは悔しいが、狂乱のNYと踊らされる人々が“作品”になっていくさまはやっぱり痛快で引き込まれる。しかし、騒ぎを追うだけでは物足りないと感じたのか、都市の再開発がグラフィティー・アートを表現する場を失わせているなんて問題にも触れているが蛇足気味。これはこれで興味深いので別個で撮ればいいのに。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    グラフィティー作家バンクシーのドキュメンタリー、といっても彼は指名手配中なので画面には現れない。予告した場所に作品を残し、野次馬や警察が駆けつけた時にはすでに姿を消している。まさに怪人二十面相だ。作品が引き起す社会現象も作品と考える七十年代に流行ったコンセプチュアル・アート、寺山修司や赤瀬川源平などの仕事を思い出す。SNSで大勢の人が動きネットオークションで高値を呼ぶというIT時代の狂騒を描いたドキュメンタリーとして大変面白かった。

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