西部戦線1953の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
思想も世代も異なる南北の兵士(北朝鮮軍の新兵を演じるのは「ファイ 悪魔に育てられた少年」で注目された俊英ヨ・ジング!)が、敵対しつつへっぽこな戦車に乗って戦場を行くユーモラスなバディ・ムービー。中国軍に出くわすところから爆撃機との対決、さらには橋の上でのくだりなど、誇張されたベタな演技と演出の工夫がはまって相当面白い。でも、コメディ以外の要素も含めて全部載せしたような映画で、バランスが取れていればそれでもいいが、もたつく感じがあるのが相当惜しい。
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ライター
平田裕介
朝鮮戦争版or戦車版「太平洋の地獄」ともいうべき設定とノリかなと思いきや、かなりコミカル。戦車内での放屁を筆頭に、ふたりが何度も繰り返すドタバタした形勢逆転劇はベタだとわかっていても笑わされるし、T-34の走りも軽快、CG過多だが戦闘描写もイケる。それでいて、きちんと同民族の対立を嘆き悲しみ、統一を願って締めくくってもいる。良くも悪くもウェルメイド。それゆえにアガるわけでもなく、ズシンと響くわけでもない。韓国水墨画っぽいポップなOPタイトルは◎。
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TVプロデューサー
山口剛
朝鮮戦争を背景に、戦場で本隊とはぐれ同行を余儀なくされる敵同士、韓国の伝令兵と北朝鮮の新兵、二人の私戦がコミカルに描かれる。「手錠のままの脱獄」のバリエーションとも言えるが、生き物のように動き回るオンボロ戦車をはじめユニークなアイデアに満ちた戦争映画だ。名優ソル・ギョングと若手ヨ・ジングのコンビのいささかオーバーアクト気味の芝居が笑いと涙を誘う。国が分断され敵味方になってはいるが、二人が同じ民族の下級兵士という設定が効いている。
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