シマウマの映画専門家レビュー一覧

シマウマ

身近に潜む闇を徹底した描写で切り取る小幡文生の漫画を映画化。やくざを美人局し日常が暗転したドラは、復讐を代行する回収屋の世界に踏み込む。「探偵はBARにいる」シリーズの橋本一監督と「凶悪」の脚本家・高橋泉がタッグを組む。主演は「orange-オレンジ-」や特撮ドラマ『獣電戦隊キョウリュウジャー』の竜星涼。回収屋のメンバーである猟奇殺人者を「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの須賀健太が、回収屋の紅一点を「桜姫」の日南響子が、回収屋を取り仕切るボス・シマウマを「アンフェア」シリーズの加藤雅也が演じる。
  • 評論家

    上野昻志

    人を痛めつける場面は、見るからに痛そうだから、相当に工夫しているといえよう。だが、それが、主人公を含め、何に由来するか、また、何処に向かうのか、不明のままだ。暴力は、当面の相手あるいは、名指された誰かに振るわれるだけで、それが何に動かされ、何を動かすのか見えてこない。だから、見ているうちに視野狭窄に近い感覚になる。つまり、世界がないのだ。原作のマンガにはあるのかもしれないが、暴力表現のリアルさに拘るあまり世界を見失ったのではないか?

  • 映画評論家

    上島春彦

    因縁の源がいじめられっ子といじめっ子の確執である以上、クライマックスは現在の両者の対決でなければいけないはずだが、本篇はそのはるか手前に留まっており評価のしようがない。続篇やるなら是非その線でお願いしたい。一敗地に塗れた福士の復讐戦も当然あるべきだし、須賀がどうやって「壊れた」のかも全く描かれないし、クローン風の美女の正体も不明、即ち続篇への課題しかない映画であった。ただしその元いじめられっ子、須賀ちゃんの凶悪ピエロっぷりは断然見応えあり。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    三池崇史がエラくなってしまったので橋本一の一人プログラム・ピクチャー監督ぶりに毎回、一喜一憂しながら付き合っている。大作より今回のような低予算映画の方がツボを心得た演出を味わえ、若手俳優が生き生きしている。竜星の邪悪な面構え、ジョーカーまんまだが須賀の化けっぷり、福士、日南、高橋ら若手俳優陣の層の厚さを堪能。ただし韓国映画を意識した残虐描写が徹底できないなら、最初から見せずに想像させるべき。それができる技術を持つ監督・スタッフ・撮影所だけに。

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