ニュースの真相の映画専門家レビュー一覧

ニュースの真相

あるスクープ報道が広げた波紋の一部始終に迫る実録ドラマ。04年、米国最大のネットワークを誇る放送局CBSは、伝説的ジャーナリストのダン・ラザーが司会を務める看板番組でブッシュ大統領の軍歴詐欺を報道。だがその証拠は偽造されたものだと指摘され……。CBSのニュース番組をプロデューサーとして長年手がけたメアリー・メイプスの自伝を原作に「ゾディアック」「アメイジング・スパイダーマン」などの脚本家ジェームズ・ヴァンダービルトが映画化した初監督作。出演は「キャロル」のケイト・ブランシェット、「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」のロバート・レッドフォード、「オン・ザ・ロード」のエリザベス・モス、「エージェント・ウルトラ」のトファー・グレイス、「ソウル・サーファー」のデニス・クエイド、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のステイシー・キーチ。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    議論のあとで外へ出ると雨が上がっているというシーンがあるが、「十二人の怒れる男」とは違ってまるで爽快にはならない。一筋縄ではいかない物語内容についてはいろいろな人がいろいろな角度から論じてくれるだろうからここではさておき、「問いを発しつづける」ことをめぐる映画にふさわしく、C・ブランシェットの声が素晴らしい。情報源の男の妻が感情を吐露するところ等、見ごたえのある場面も多く、最大の注目はレッドフォードで、ここにきて極め付きの代表作が追加された感じ。

  • 映画監督

    内藤誠

    トランボが「赤狩り」で高圧的なジョン・ウェインに対し「私は戦争中、従軍記者として沖縄に行ったが、きみは何をしていたのか」と反撃する映画を見たばかりだが、今度はジョージ・W・ブッシュのベトナム戦争時の経歴詐称をめぐるスクープ事件の作品。アメリカの大統領は世界に影響を与えるわけだから、ケイト・ブランシェットが演じるメアリー・メイプスの気合の入れようはすごく、女性ならではの粘り強さが出ていた。儲け役はレッドフォードで、CBSのダン・ラザーを演じ、男の哀愁。

  • ライター

    平田裕介

    ダン・ラザーに扮したレッドフォードが、現在のレッドフォードにしか見えず。髪型くらい似せたらどうかと思うが、そんなことは重要じゃない。「候補者ビル・マッケイ」「大統領の陰謀」「大いなる陰謀」「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」など、出演、製作、監督それぞれで政治や権力の恐ろしさや危うさを訴えてきた彼のブレない姿勢に熱くなる。とはいえ、なんだか演出にキレがなくて映画的には燃えてこない。脚本家としては職人肌のJ・ヴァンダービルトが監督なのだが残念。

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