兄に愛されすぎて困ってますの映画専門家レビュー一覧

兄に愛されすぎて困ってます

夜神里奈の同名漫画を「チア・ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」の河合勇人監督、「PとJK」の土屋太鳳主演で映画化。突然訪れた人生初のモテ期に困惑しながらも、自分の本当に好きな人を見つけ出そうとする女子高生の姿を映し出す。共演は、ダンス&ボーカルグループGENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太、「モヒカン故郷に帰る」の千葉雄大、「ウルトラマンギンガ」シリーズの草川拓弥、「キセキ あの日のソビト」の杉野遥亮、「雨にゆれる女」の大野いと。脚本は「黒崎くんの言いなりになんてならない」の松田裕子。
  • 映画評論家

    北川れい子

    “馬子にも衣裳”という台詞のあと、そのことばの意味が字幕で画面に張り付けられる。そっか、キラキラ少女漫画のファンやその映画化に足を運ぶのはほとんど中高生女子、作り手である大人たちとしては、ここはカワユクお節介をして、“馬子”を“孫”と聞き違えたり、ぼんやり聞き流したりしないよう、字幕化したったワケね。教育的見地からしても一石二鳥、役に立つ!? それにしても浮世離れもいいとこの“イケメン”大バーゲン・コメディにアレコレ言ってもね。勝手にどうぞ。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    昔読んだ坂口安吾のサーカス観覧記にブランコ乗りの青年のことを書いた箇所があった。その青年は人気者の驕りか、ニヤケタ感じがみっともなく卑猥だったそうだが、技に失敗してネットに転落し、それを取り戻そうと必死の形相でロープを登るときに打って変わって神々しかったという。それに似て、愛の困難に直面する瞬間以外は醜悪な彼らを耐えて観た。土屋太鳳の大顔面の堂々とした美に比して男優の動きと佇まいに(千葉雄大の浴衣の着こなしが悪くない以外は)見甲斐がない。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    映画冒頭、バスはくねった坂道を一休みしながら登ってゆく。それは映画全体の構成そのものを表現している。本作は〈血縁〉に依らない兄妹の恋心を描いているが、家族関係の多様性を掲げる現代社会において、ふたりの関係はある意味で〈血縁〉に依らない家族関係でもあると言える。その道程が紆余曲折を迎えることは映画冒頭で示されているが、ラストカットではふたりの行く末が困難であることを示唆してみせている。ふたりの目前に広がる大海、それは前途多難を匂わせるのである。

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