サクラダリセット 前篇の映画専門家レビュー一覧
サクラダリセット 前篇
河野裕の青春ミステリー小説を「神様のカルテ」の深川栄洋監督が映画化。驚異的な“記憶保持”能力を持つ高校生・浅井ケイと、世界を最大3日分巻き戻せる“リセット”能力を持つ春埼美空。二人は2年前に死亡した同級生・相麻菫を蘇らせるためある作戦に挑む。出演は「ミュージアム」の野村周平、「オケ老人!」の黒島結菜、「青空エール」の平祐奈、「14の夜」の健太郎、「貞子vs伽椰子」の玉城ティナ、「くちびるに歌を」の恒松祐里、「神様のカルテ」の加賀まりこ。撮影は「ボクの妻と結婚してください。」の清久素延。
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評論家
上野昻志
物語の基本ラインは単純だが、リセットをはじめ、あれこれの超能力が出てくるから、その分、ややっこしくなる。原作を読んでいる人にとっては、先刻ご承知の話だから、手放しで楽しむことができるのだろうが、そうでないとアタマを捻りながら読み取ることになる。もっとも、それが、この先どうなるのか? という興味を引っ張ることになるから、前後篇にわけた作りは、一応、成功しているといえよう。ただ、超能力というのはアクションを欠くため、顔のアップに頼りがちになるのが弱い。
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映画評論家
上島春彦
ランドル・ギャレットのSF『魔術師が多すぎる』に触発された設定だろう。超能力者が数多く普通に存在している世界が舞台。これは青春ミステリーを前面に押し出し、健闘している。ミステリーと言っても謎解きじゃなく、様々な超能力を駆使して本来なら不可能なミッション(閉じ込められた魔女の救出)に挑む。その力のまとめ役が主人公。トリックが複雑すぎて一見しただけでは理解できないが、辻つまが合っていると思うしかないのだ。恋愛模様が効果的で、私は結構ハマりましたね。
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映画評論家
モルモット吉田
前後篇映画は続けて試写を観ることが筆者の場合は多いが、前篇のみを観たので後半は後篇に向けての予告的描写に費やされることもあり語りにくい。本気で作れば壮大な話だが、根幹となる世界観というか、ご都合主義な基本設定を冒頭からとうとうとナレーションで説明するだけなので辛い。リセットしても記憶が保持できるとかセーブしたというのも、小説では成立しても、台詞に頼って描かれるだけでは実感がない。室内は雰囲気が出ているが低予算SFの手法を活用すべきだったのでは。
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