ラブ×ドックの映画専門家レビュー一覧
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評論家
上野昻志
恋愛の成否を遺伝子で診断するラブドックという設定はともかく、パティシエという仕事を持ちながら、地に足のつかぬ恋愛に走っては失敗を重ねる吉田羊演じる飛鳥と、大久保佳代子扮する独りで子育てする親友・千種という組み合わせが物語を支えている。自己中の恋愛に走って千種を裏切った際の千種の言葉は、親友なるものの危うさを見せてリアル。と、話は悪くないが、フラットな空間構成のなかでのアップの繰り返しは、映画というよりは、スマホで見る動画に近い印象を受ける。
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映画評論家
上島春彦
これは拾い物。どう転がるか読めそうで読めない展開がいい。ラストの橋も上々である。始まりが映画の現在でそこから過去二つ恋のしくじりをさかのぼる話法が上手いものの、モノローグの多用と妄想ギャグには感心しない。主人公は妄想をむしろ拒絶するタイプだから。吉田と大久保、アラフォー二人の女の友情とその破綻という物語を前面に押し出す手際が真摯で、ただそうなると前半が長すぎないかな。三人目の恋人野村のエピソードをもっと見たかった。広末の年齢ギャグは面白かったが。
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映画評論家
吉田伊知郎
2時間弱のラブコメという段階で、ルビッチ、ワイルダーと言わないまでも、凝った構成と演出がなければ持たないと思わせるが、設定は良いにしても軽快な演出とは程遠く、冗長。吉田羊が非常識で猪突猛進型のエキセントリックなキャラというわけでもないので、コメディエンヌとしては弾けず、男社会の歯車の中で虚勢を張るだけにしか見えない。奇想的演出が施されているが、映画の流れを堰き止めている。何人かの女優と女芸人を主人公にしたオムニバス形式にした方が良かったのでは。
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