となりの怪物くんの映画専門家レビュー一覧

となりの怪物くん

ろびこ原作の同名コミックを実写化。超問題児の春とガリ勉の雫はふとしたきっかけで出会い、次第に惹かれ合っていく。いつしか二人には、夏目、大島、ササヤンら個性豊かな友達もできる。一方、春は兄・優山と従兄みっちゃんとの間に隠された過去があり……。出演は、「あゝ、荒野」の菅田将暉、「トリガール!」の土屋太鳳、「太陽」の古川雄輝、「デメキン」の山田裕貴、「一礼して、キス」の池田エライザ、「君の膵臓をたべたい」の浜辺美波、「インターン!」の佐野岳。監督は、「君の膵臓をたべたい」の月川翔。
  • 評論家

    上野昻志

    まず、バッティングセンターが映ったのに惹かれた。ただ、最後を別にして、そこ本来の機能が「アウトレイジ ビヨンド」のように活かされているわけではないけれど。主人公たちが通う高校の建物の大仰な構えに、こんな学校あるのかと思ったが、卒業した土屋太鳳が階段を降りる時には活きていた。だが、なによりも良いのは、それまでの菅田将暉の曲線的な動きと、表情を殺した土屋の直線的な動きがぶつかり弾けるところだ。菅田演じる春の父子・兄弟関係の話に格別な驚きはないが。

  • 映画評論家

    上島春彦

    特殊効果をギャグにしているのは面白い。しかし原作物というのが信じられないくらい支離滅裂な設定で、コメディ風味はヤケでやってる感じ。それはまあ良しとして、途中で主人公がいなくなるってどうなんだろう。どこに行ったか観客は知ってるものの、それが展開されないので気持ちが落ち着かない。スーパーマン菅田よりもお兄さん役の古川の陰りの方が魅力的である。御ひいきの俳優陣が勢ぞろいなので楽しめるのは事実だが、葛藤がどこにもない物語では、評価のしようがないのだ。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    「君の膵臓をたべたい」でキラキラ青春映画を逆手に取った月川翔だけに期待させたが、今回は定型をそのまま見せているのみ。土屋の母とのくだりが顕著だが、設定が次々と提示されて自動的に処理されるだけで、このジャンルの終焉を予感させるほど。アンサンブルを取る気がない土屋が独走し、一方の菅田はどういうわけかとんでもない怪力を持ち、それが作劇に何の足しにならないので役を持て余し気味に見える。突出した才を見せていた浜辺がこの程度の役とは無駄遣いもいいところ。

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