Workers(ワーカーズ) 被災地に起つの映画専門家レビュー一覧

Workers(ワーカーズ) 被災地に起つ

    「Workers ワーカーズ」に続き、持続可能な地域共生・循環型社会の仕組みづくりを模索、実践し続ける協同労働の協同組合ワーカーズコープを取り上げたドキュメンタリー。東日本大震災被災地での取り組みを通しコミュニティが育まれていく様子を映す。「Workers ワーカーズ」に続いて森康行が監督。2016年2月から2017年12月までの22ヶ月間にわたり大槌・気仙沼・亘理・登米での取り組みを追い、ひとり一人の願いからはじまる仕事おこしが人と心の拠りどころとなる様子を記録した。
    • 評論家

      上野昻志

      ここに写し出されている人たちに、強く心うたれた。2011年3月11日の震災直後には、東北地方のあの惨状に、1945年の敗戦を重ねる意識があったが、どこかのアホがアンダー・コントロールなどとほざき、やる必要もないオリンピックの旗など振るうちに忘れられた。復興という言葉は聞こえるが、元になど戻りっこないのだ。生き方、働き方を変えるしかないのだ、とオレごときがエラそうに言える柄ではないが、ここに登場する人たちは、それぞれの場で、着実にそれを実践しているのだ。

    • 映画評論家

      上島春彦

      シリーズ前作「ワーカーズ」は見ていないが、森監督は反骨の教育学者大田尭を描いた「かすかな光へ」で知られる人。反体制、等と力むのではなく、しかし権威におもねることなく、賢明な個を信頼する姿勢が納得できる。ワーカーズとは日本労働者協同組合の愛称。本作はその東日本大震災以降の東北地方での取り組みをあくまで実践的に語る。地域住民の様々な喪失感を地道に取材し、そこからの立ち直りの過程を同時に描くことで、被災地の現在からのメッセージとなっているのも貴重だ。

    • 映画評論家

      吉田伊知郎

      今年は地震と水害による甚大な被害が各地にもたらされたが、その後の話は頓と聞こえなくなる。本作では東日本大震災後を通して、普遍的な日本の地方が抱える問題を浮上させる。協同労働という可能性を提示し、各地の事業所が紹介されるわけだが、製作母体の関係もあって広報的な作りになるのはやむを得ない。被災地以外でも有効な在り方だと思わせるが、だからこそ金額を含めた具体を知りたくなる。震災時の映像に頼らず、体験者が回想して語る言葉に重点を置く作りは好ましい。

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