21世紀の資本の映画専門家レビュー一覧
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ライター
石村加奈
ポップな音楽と編集で、経済音痴には原作よりとっつきやすい。米英の政治と経済の「物語」は、我が国の未来を暗示しているようで空恐ろしくもなった。一方で13年のベストセラーをいま映画化する意義をどこに見出すかという問題。ピケティ理論の裏づけに登場する様々な研究者、ポール・ピフの主張など鮮度に欠ける。監督が狙った「次の世代のために準備されている世界」の終末論的光景としては「エリジウム」より「マッド・マックス」を使ってほしかった。つまるところは好みの違いか。
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映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
ここ数年〈たった数人の富豪が世界人口の半分と同等の資産を有している〉といった見出しの記事をよく目にするが、その実態はよくわからなかった。18世紀ヨーロッパの大格差時代に戻りつつあるという今、その「資本」をめぐるカラクリを300年前から近未来まで、膨大な映像アーカイブ、「ゴールド・ディガース」から「エリジウム」といった映画の一部まで使用して立体的に描いた本作。いろいろ腑に落ちた。自ら情報を精査し、考え、対話し、どう動くか。瀬戸際だ。
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