mid 90s ミッドナインティーズの映画専門家レビュー一覧

mid 90s ミッドナインティーズ

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督を手掛けた青春ドラマ。1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは、街のスケートボード・ショップで店に出入りする少年たちと知り合い、憧れから彼らに近づこうとする。出演は、「ルイスと不思議の時計」のサニー・スリッチ、「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、「ある少年の告白」のルーカス・ヘッジズ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    ジョナ・ヒルの自伝的要素を反映したという物語が、90年代インディーズ映画の要素を煎じ詰めたような、ストリートカルチャーの郷愁的イメージで表現されるのが大変快いが、あまりにも“きれい過ぎる”のでは。当時ジョナ・ヒル少年が見たのはダウンタウンの少年たちのきらめく上澄みであり、本作の内容は、彼がそこまでしかコミュニティに参加できなかった証左であるように感じられる。今後公開されるドキュメンタリー「行き止まりの世界に生まれて」で、この不備を補完したい。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    スケボー少年の青春は、A24のブランド・イメージらしいタッチの、不安定さと成長の苦悩。家庭への幻滅、認められたくてちょっと背伸びをする、憧れの仲間に入れてもらえたときの嬉しさ。その彼らも親がリッチだったり、貧困だったり等々、問題があり、このあたり関係性の捉え方はうまい。主人公を苦しめるマッチョな兄役のL・ヘッジスの存在感も◎。小道具で90年代という時代色を出しているが、振り返ればいつの時代も、男の子も女の子も、青春前期は結構悩ましい年頃ですね。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    個人的には少し苦手なアメリカン不良カルチャーてんこ盛りで、主人公の少年は13歳で酒、煙草、ドラッグ、セックスを覚えてしまったらこの先の人生面白くなかろうに……などと余計な心配をしながら観たのだが、16㎜フィルムで撮られたスタンダードサイズの画とポップミュージックでマスキングしたイイ感じに軽薄なサウンドデザインは90年代の空気を見事に捉えており、時節柄この映画を家のモニタで観ざるをえなかった無念は大きく、皆様方は是非劇場で堪能して頂きたく思う。

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