ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたちの映画専門家レビュー一覧

ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち

    インディアンの音楽界への関わりを紐解くドキュメンタリー。リンク・レイのインスト曲『ランブル』の逸話を皮切りに、インディアンをルーツに持つミュージシャンたちがいかにポピュラー音楽に影響を与えたか、そしてなぜ歴史から抹殺されたかを明らかにする。自らも先住民の血を引く元ザ・バンドのロビー・ロバートソンやブラック・アイド・ピーズのタブーのインタビューや、ジミ・ヘンドリクス、チャーリー・パトン、バフィ・セイント・マリーらインディアン・アーティストの秘蔵映像も収録。サンダンス映画祭ワールド・シネマドキュメンタリー映画賞ほか受賞多数。
    • 映画・音楽ジャーナリスト

      宇野維正

      米国白人による文化侵略を象徴してきた世界的レストランチェーン、ハードロックカフェは、2006年にフロリダ州のセミノール族に買収されて以来、彼らの持つカジノ利権と結びついて世界各国で巨大なカジノ&ホテル事業を展開している。そのハードロックカフェが本作の製作母体。ポピュラー音楽史における先住民族出身の音楽家の貢献というのは見過ごされてきたテーマであり、内容も充実した好作だが、ここには「自らの歴史を語るには、まず資本を押さえること」という背景もある。

    • ライター

      石村加奈

      リンク・レイを中心に、彼の登場以前、チャーリー・バトンの時代から、ジミ・ヘンドリックスにレッドボーン、タブーへと現在に至る、多種多様なミュージック・シーンに通底するインディアン・ビートの壮大な物語。劇中に流れる約50曲もの音楽では、ミルドレッド・ベイリーの〈ホールド・オン〉をはじめ女性シンガーの曲が心に残った。「芸術という“秘薬”を使うのよ」と不敵なフォークのヒロイン、バフィ・セイント=マリーが歌う〈Bury My Heart at Wounded Knee〉に痺れる。

    • 映像ディレクター/映画監督

      佐々木誠

      10代の時、リンク・レイの〈ランブル〉を初めて聴いたのだが、カッコ良すぎて笑ってしまった記憶がある。今でもエッジの利いた映画や舞台で時々使われているが、そのルーツは全く知らなかった。本作はレイからジミヘン、タブーまで、そのインディアンの血を引く者たちが変えた音楽史の側面を、彼らの祖先が受けた迫害の歴史、文化の成り立ちを紐解きながら描く。劇中ある人物が「大地から受け継いだオーガニックなビート」と語るが、まさにそれを全篇様々な形で体感できる。

    1 - 3件表示/全3件