ジェイド・ダイナスティ 破壊王、降臨。の映画専門家レビュー一覧

ジェイド・ダイナスティ 破壊王、降臨。

「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」の巨匠チン・シウトン監督によるアクション・ファンタジー。両親を殺された小凡は仇討ちを決意、武術界の正義の門派・青雲門に弟子入りする。10年後、成長した小凡は両親の命日に魔教の神器“摂魂棒”を偶然入手し……。出演は『陳情令』のシャオ・ジャン、『孤高の皇妃』のタン・イーシン、「淪落の人」のセシリア・イップ、「デイジー」のデヴィッド・チャン。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」から32年。中国映画界を取り巻く環境(とそこに集まる資金のケタの数)はドラスティックに変わり、チン・シウトン監督自身も100%の中国資本で映画を撮るようになったわけだが、本作に流れているのは良くも悪くも香港時代から変わらないカンフー映画&アイドル映画の伝統の血だ。世界最大のマーケットに見合う中国発のエンターテインメント大作の新しい文体の確立と洗練は、次世代の監督やスタッフに課せられた役割となっていくのだろう。

  • ライター

    石村加奈

    「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(87)のレスリー・チャンを彷彿とさせる主人公・小凡を、甘いマスクのシャオ・ジャンが好演。最初から最後まで、3人の美女を相手に空を舞う優男ぶり(犬や猿にまでモテる!)を、いやみなく見せつける。チン・シウトン監督お得意のワイヤーワークを活かした空中アクションシーンは優雅で目にも楽しい。功力を奪い合うバトルは、やや説得力に欠けるが、七尾ムカデやかゆみ虫等の小ネタ効果は絶大。神獣・霊尊にはもう少し活躍してほしかった。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    VFXとワイヤーアクションで構築される神話的世界観、登場人物たちが自分で投げた剣に飛び乗って移動するなど描写がいちいちマンガっぽく、どこを取っても既視感しかないが、クオリティを重視して突き抜けているので楽しめる。中盤までギャグ展開、終盤シリアスになるのもこのジャンルのお約束だが、最後に出てきたデルトロ作品のクリーチャーを彷彿させる異形の物たちの襲撃は、そこだけ映画のテイストが全く違う残酷描写でちょっと引くぐらい怖い。

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