ウルフズ・コールの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
小野寺系
世界で五指に入る軍事力を持つフランスの原潜映画なので、設定にはそれなりのリアリティはあるものの、人類の危機という大スケールのイメージと、スタッフの表現力との間に、かなりの落差を感じる。核兵器の存在によって国防の概念が揺るがされることへの追及も弱く、この題材を個人の視点で描くことの限界を意識させてしまう。映像はもちろん、脚本のレベルを含め、25年前にアメリカで発表された「クリムゾン・タイド」の完成度の高さに、あらためて思いを馳せることになった。
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映画評論家
きさらぎ尚
冷戦時代に娯楽大作の一分野にあった潜水艦映画とは、中身が随分異なる。閉塞空間での緊迫したドラマの点は共通しているが、主人公が超人的な聴覚をもつソナー要員というのが斬新。彼を含め、2人の艦長と大将役の4人の豪華俳優の共演は、まるで演技のカルテットのような人間ドラマ。人類滅亡の危機を前にして、大統領の命令を忠実に実行するか覆すか。この展開に主人公のロマンスは不要な気がするが、フランス製の潜水艦映画は、予想以上に見応えのあるヒューマン&サスペンスだ。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
リアル軍事映画かと思いきや、潜水艦の上に立つ艦長がロケットランチャーで装甲ヘリを大爆破させたり、あっという間に核戦争の危機にまで話が広がっていたりする大雑把な展開に、コイツは細かいこと気にせずに楽しむ潜水艦娯楽映画だと早々に察したのだが、主人公が黄金の耳で艦の種類や位置を割り出す音響識別の天才という設定を生かした繊細な描写も存外に多く、この静と動、リアリティとトンデモのコントラストが編み出す緊迫感が最後まで息切れせずに持続して、滅法面白かった。
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