ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日の映画専門家レビュー一覧
ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日
少女とライオンの友情を通して南アフリカの社会問題を浮き彫りにするヒューマンドラマ。11歳の少女ミアとクリスマスの日にやってきた小さなホワイトライオンのチャーリーは、共に成長していくなか、特別な絆で結ばれてゆく。だがある日、ミアは驚きの事実を知る。主人公ミアをオーディションで抜擢され本作で映画デビューを飾るダニア・デ・ヴィラーズが演じるほか、「グランド・イリュージョン」のメラニー・ロラン、「ジャッジ・ドレッド(2012)」のラングレー・カークウッドが脇を固める。監督は「アラン・デュカス 宮廷のレストラン」のジル・ド・メストル。
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
猛獣ビジネスのダークサイドと、それに抗議の声を上げるアクティビスト。作品のテイストはまったく異なるし、本作の場合その二つの勢力が一つの家族内にいることでドラマが発生しているわけだが、構造自体は昨年世界中でネットミーム化したNetflixのドキュメンタリー『タイガーキング』と同じだ。もっとも、本作の場合、主人公が少女という時点でバッドエンドはあり得ないわけだが。あと、植民地主義的センス丸出しの劇伴と挿入歌が終始けたたましく鳴っていてうんざり。
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ライター
石村加奈
動物研究家で保護活動家のケヴィン・リチャードソンを迎え、CGなしで3年かけた撮影で描かれた、ホワイトライオンの映像は迫力満点。わが子が大きくなったライオンと戯れる様子に、大人がたじろぐのも無理はない。ライオンのチャーリーと友情を育みながら、南アフリカで成長するミア、ミアの頼もしい兄ミック、聡明な子供たちに比べて、両親がぼんやりし過ぎて、トロフィー・ハンティング問題の切実さが薄まった感も。野生動物保護区に中国企業進出のエピソードがやけにリアル。
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映像ディレクター/映画監督
佐々木誠
南アフリカを舞台に少女とライオンの友情を描く物語は至ってシンプルだが、制作過程に驚く。彼らの実際の成長と交流に合わせて3年かけて撮影する実録スタイル。しかもCGなし。どれだけ大変かは想像に難くないが、その甲斐あって動物映画にありがちな不自然さは皆無。現実を捉えた映像の力強さを劇映画に上手く落とし込んでいる。同じくトロフィー・ハンティングを違う角度から描いた“劇映画のような映像スタイル”のドキュメンタリー「サファリ」を続けて観るとよりグッとくる。
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