デュー あの時の君とボクの映画専門家レビュー一覧

デュー あの時の君とボク

イ・ビョンホン主演の韓国映画「バンジージャンプする」をタイでリメイクしたラブストーリー。男子高校生のポップと男子の転校生デューは惹かれ合うが、周囲の目を気にして素直な愛情表現をできずにいた。そんな中、ある出来事が二人の関係性を変えてしまう。監督は、「ミウの歌~Love of Siam~」のチューキアット・サックヴィーラクル。オームの愛称で親しまれ、ドラマ『He's Coming To Me~清明節、彼は僕のお墓の隣にやってきた』などで主演を務めてきたパワット・チットサワンディらが出演する。
  • 映画評論家

    小野寺系

    かなり驚かされる突飛なストーリーが特徴的だった韓国の恋愛映画をタイでリメイク。設定部分に大きな改変が加えられているが、突飛な展開自体は変わらず。ただし今回の改変によって、オリジナル作品にもあった、子どもとの恋愛という倫理的に問題ある要素は、恋愛の障害という意味で同性愛と同列の扱いになってしまっているように見え、問題の根を深くしてしまっている。とはいえ、90年代タイの地方を表現した映像は魅力的で、俳優の演技にも撮影技術にも安定したクォリティがある。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    韓国のオリジナル版と展開の大筋は同じだが、タイ版が転生する主人公を男性から女性へと、逆にした意味は大きい。デューが不慮の事故に遭ってから22年後、結婚をしているポップは妻を愛せないと自覚していると理解したい。となると彼は、現れた女性リウへの思いを過去、つまりデューに重ね、その結果、来世で同性のデューと生きなおす覚悟を決めたのではないか。LGBTQに理解を示したうえのバンジージャンプは、来世を現世の連続ととらえるタイの死生観の反映とも思えるから。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    「あっ、これが近ごろ腐女子という名のお姉さまたちをざわつかせているタイ産BLか……うん、すごく丁寧に撮られているし、デュー役の男の子の表情筋フル活用の一生懸命なお芝居がカワイイなあ……あれ? なんか急に話が変わったぞ……え?……うそだろ? ……いやまあ、分かったけど、これどうやって物語閉じる気だ? て……ええー!?」という感じで、自分の宗教観がひっくり返された、なかなかのトンデモ映画だったわけだが、これが韓国映画のリメイクだと後から知って二度びっくり。

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