ウェディング・ハイの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
タレントを集めてワチャワチャさせただけのフジテレビ映画的作品を狙った企画なのだろうが、小ネタをひたすら積み重ねていく脚本は、残り30分を切っても大筋のストーリーを尋常ではないレベルで停滞させていて、誰が主役なのかもさっぱりわからない。それが「斬新なストーリーテリング」と評価されるほど、バカリズムはまだ映画の領域では自分の能力を証明していないはず。それにしても、どんな作品であっても飄々とした佇まいを崩さない中村倫也はつくづく得難い役者だ。
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映画評論家
北川れい子
初めチョロチョロ、なかパッパ、赤子泣くとも蓋取るな、とは、今は昔、竃で炊飯していた頃の秘訣らしいが、マルチ芸人・バカリズムの脚本術は何気にこの手口で、次から次と人騒がせな火種を絶やさず、そのムチャ振りのとぼけた笑い、他愛ないが楽しめる。何より感心するのは、多彩な俳優たちによるそれぞれの見せ場リレー。結婚式の参列者全員に大なり小なり見せ場が用意され、その役どころもバラエティーに富んでいる。大九監督の後腐れのない演出も消化がいい。
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映画文筆系フリーライター
千浦僚
結婚式乱入、花嫁奪取イメージの代名詞である映画「卒業」には結婚制度と“ふたりは幸せに暮らしました”への冷や水や、そんな時代じゃないでしょという思いがあったはずだが、いまやそれもまた古いという、ルーティンをこなすだけで精一杯な現代がここに。アルタミラピクチャーズ周防正行・矢口史靖作品群の内幕もの独自カルチャー紹介ものに通じる面白さも。最後にポロリと説明される篠原涼子演じるプランナーの来歴がいい。シー・ワークド・ハッピリー・エバー・アフターと。
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