これは君の闘争だの映画専門家レビュー一覧

これは君の闘争だ

激動の2010年代のブラジル社会を学生たちの視点から捉えたドキュメンタリー。2015年、公立学校の予算削減案に対抗して高校生が学校を占拠し始めた。当事者である3人の高校生が運動を振り返りながら、彼らの社会に対する希望と不安を浮き彫りにする。2019年ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門出品、アムネスティ・インターナショナル映画賞、平和映画賞受賞。2019年山形国際ドキュメンタリー映画祭優秀賞受賞。監督は、Netflix『エリーゼ・マツナガ:殺人犯が抱える心の闇』のエリザ・カパイ。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ブラジルの高校生は元気だ。学生運動に参加する若者の生の声が聞ける。殺伐としたデモの合間にキスする恋人たち。若いっていいなと単純に思う。出てくる女の子たちが、みんな元気で可愛い。大人たちはみんなずるくて汚くて、精彩がない。政治って難しくないんだ。ただ理不尽なことに声をあげるってことなんだ。声をあげることが大切なことだとつくづく思う。結局大人の力に負けていくところ、悔しくて仕方なかった。頑張れと応援したくなる。俺もなんか頑張ろう。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    マイクパフォーマンスのようなナレーションが心地よく、流れるようにあっという間に時間が過ぎていく。必要以上に説明的なナレーションにうんざりさせられることが多いなかで、この魂の叫びのナレーションは素晴らしい。ブラジルの高校生たちが闘い、自由を?み取ろうとした記録映像をより一層意味のあるものに変えていて、それはこれがどこか遠い国の関係のない出来事だとは言わせない力強さを持つ。編集のエンタテインメント性も高く、始終作品に引き込まれていた。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    ここには怒りがあり喜びがあり、絶望があり希望があり、高揚があり、熱気がある。だが、大事なことはただひとつ。自分のことは自分で語るということだ。他人に語る筋合いはない。これは私だ、だからこれを語るのは私だ。これは君だ、だからこれを語るのは君だ。集団とは名を持つ個人の集まりだとこの映画はいう。声を吹き込み、映画の中心をなす3人、インタビューに応じた多くの学生、そして闘争のさなかでカメラを回し記録を残したカメラマンたち。最後に名が順に記される。

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