世界で一番美しい少年の映画専門家レビュー一覧

世界で一番美しい少年

1971年のルキノ・ヴィスコンティ監督作「ベニスに死す」で主人公を破滅に導く少年を演じたビョルン・アンドレセンを追うドキュメンタリー。アーカイブ映像を交え、“世界で一番美しい少年”と謳われ、センセーションを巻き起こした彼が見た天国と地獄を明かす。「パルメ」のクリスティーナ・リンドストロム監督とスウェーデンでドキュメンタリーや劇映画を手がけてきたクリスティアン・ペトリ監督が、「ベニスに死す」出演前から公開後、そして現在へと続くアンドレセンの歩みを映し出す。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ヴィスコンティの「ベニスに死す」を見たくなった。あの美しい少年が50年後、どうなったか? 見事にジジイになっていた。ジジイには、若い彼女がいるのだが、その彼女には別に気になる男性がいて、電話で「なぜなんだ」と問いかけるシーンが切なかった。「何か解決方法があるはずだ」と呟くジジイが自分と重なった。彼の孤独に深く入っていく。母親の失踪。死。いろいろあって、でもまだなんとか生きている。時々ドキッとするぐらいかっこいいときがある。美少年の面影が蘇る。

  • 文筆家/女優

    睡蓮みどり

    私は彼を傷つけることに加担して来たのだろうか? 「ベニスに死す」は人生のベストに必ずあげる大好きな映画だ。飼い猫にタージオと名付けるほど、一目見たときからビョルン・アンドレセンの美貌に魅了され続けている。ヴィスコンティが映画祭で酷いスピーチをしビョルンが悲しそうな目をしている。よくわからないまま撮影現場に連れ来られ戸惑っている。これまで知らなかった彼のあどけない笑顔に胸が痛む。この映画に映っているビョルンの孤独を目に焼き付けて忘れたくない。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセンの現在の姿は「ミッドサマー」で目にしていた。だから、このフォトジェニックな60代の風貌に驚きはしないのだが、彼が送ってきた人生がこんなにも波乱に満ちたものだったとは……。無名の15歳の少年は映画の成功によって大人たちに搾取され、性虐待にあっただけではなかった。自身の出生から母親の失踪、そして生まれたばかりの息子の死など、彼は次から次へと運命に翻弄されてきたようだ。日本の芸能界の醜悪さに怒りがこみあげた。

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