TITANE チタンの映画専門家レビュー一覧

TITANE チタン

「RAW 少女のめざめ」のジュリア・デュクルノー監督による第74回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。幼い頃の交通事故により、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来“車”に対し異常な執着心を抱く彼女は、次第に危険な衝動に駆られてゆく。出演は「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のヴァンサン・ランドン、本作が長編デビューとなるアガト・ルセル。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    顔面ど突いて鼻がひん曲がる。痛い描写がひたすら痛い。描写が本気。部屋で殺しがあって、どんどん人が現れて、何人いるの?ってとこ面白かった。主人公の女の人は素っ裸でさらけ出す。さらけ出しっぷりが凄まじい。妊娠してお腹がどんどん大きくなっていくのとか、おっぱいが垂れていくのとか。なんで車とセックスするの? なんで人を殺しまくるの? 彼女が分からない。全部チタンのせいなのか。消防士の偽父親との交流もよくわからない。なんで「愛してる」になるのか。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    主人公アレクシアを演じたアガト・ルセルにすぐ魅了された。シーンごとに別の誰かになっている、その存在感たるや。フェティッシュで優雅なカメラワーク、照明、音楽、どこをとっても何もかもが完璧だ。ヌード表現も、他にない新しい描き方に成功している。前作「RAW」(16)でも、主人公の少女は身体を?きむしっていた。女の体に異変が生じる。いつも違和感があるが、自分ではどうすることもできない。この映画は容赦なく、女性の肉体と精神の双方と向き合っている。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    顕示された性から性を?奪すること。そういう意味では「クリスティーン」(83)や「クラッシュ」(96)とはむしろ逆の操作がなされている。「RAW」(16)「チタン」と続けてみれば、身体を性的視線から解放するのがいかに難しい挑戦なのかはよく理解できる。こんなに大仰な仕掛けが必要なのか疑問に思う人もいるはずだ。ホラーの意匠は真顔で演じられるコメディを彩り、ダンスは一度目は悲劇として、二度目は喜劇として披露される。それを前にした男たちの、あの呆然とした表情。

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