ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーの映画専門家レビュー一覧

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー

社会に馴染めない殺し屋女子コンビを描き2021年に異例のロングラン上映されたアクション作の続編。殺し屋協会アルバイトのゆうりとまことの兄弟は、ちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できると聞きつけ、彼女たちを倒そうと作戦を決行する。前作に続き「ある用務員」の阪元裕吾が監督、ジョン・ウー監督作「マンハント」などに携わってきた園村健介がアクション監督を務め、舞台『鬼滅の刃』で竈門禰豆子を演じた高石あかりとスタントパフォーマーの伊澤彩織が出演。主人公二人の新たな敵となる殺し屋協会アルバイト・ゆうりを「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」の丞威が、弟・まことを『ウルトラマンジード』の濱田龍臣が演じる。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    本シリーズのシグネチャーは、90年代タランティーノ的な脱線だらけの日常会話台詞と、趣向を凝らしたバトルシーンということになるのだろうか。前者に関しては会話の半分は上手くいっていて、残りはわりとスベってるという認識。後者に関してはバトルシーンで鳴り響く劇伴のラウドロック感が「いくらなんでも古くさいのでは?」という立場。しかし、今回はプログラムピクチャー的な気楽さが作劇においても上手く作用していて、重箱の隅をつつくのは野暮だと気付かされた。

  • 映画評論家

    北川れい子

    近年の日本映画でもっともぶっ飛んだエンタメキャラの2ベイビー。熱狂的なファンがいるというのも納得する。ストーリーよりもキャラクターとアクションが先行する作品だが、今回も二人組の殺し屋女子は、モノに囲まれた部屋のカウチにダランと座って食べたり喋ったり。それが退屈しないのは、彼女たちの見せ場として、サマになっているからだ。むろんガチなアクションも。正規雇用の殺し屋になるために彼女たちを狙う非常勤の殺し屋兄弟のキャラが、彼女たちの二番煎じなのも愉快。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    またも物語などあってもなくてもいいような彼女らのじゃれ合いとギャグ日常の連打だが、クライマックス前の抒情ではつい彼女らは互いがそれぞれ出血することを止め得ないパートナー同士であることを思わされた。そして伊澤vs丞威戦。このシーンのなかであの体格差ウエート差では本当はこんなことあり得ないぞ、というつまらないリアリズムをぶっ飛ばし忘れさせる語りのうえのツイスト、ものすごい仕掛けがあった。ぜひ観ていただきたい。あのハイキックがポイントだったのか。

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