交換ウソ日記の映画専門家レビュー一覧

交換ウソ日記

累計55万部突破の櫻いいよによる同名青春小説を映画化。学校イチのモテ男子から突然届いた「好きだ。」と一言、書かれた手紙。やがてヒミツの交換日記が始まるが、その告白の相手は実は自分の親友だった……。勘違いとウソから始まる切ないラブストーリー。モテ男子・瀬戸山潤役に、恋愛映画初主演となる高橋文哉。不器用な女子高生・黒田希美役に、恋愛映画のヒロイン初挑戦となる桜田ひより。瀬戸山が手紙を送った本当の相手・松本江里乃役に茅島みずき、瀬戸山の親友・米田晴人役に曽田陵介など、ネクストブレイクの俳優が勢ぞろい。監督は『インビジブル』など多数のドラマを演出してきた竹村謙太郎が務めた。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    多少無理のある設定ほど青春ラブコメは盛り上がるものだが、この作品はだいぶ語りの難易度が高い。イケメン男子の人違いにそのまま乗っかり、他人のふりをして交換日記を続けてしまう自己肯定感の低いヒロインには、危なっかしさを通り越して狂気すら感じる。ひょっとして「ニーナの情事」的なツイストが?と思うと、あながち間違っておらず、きちんと面白くなるところがエライ。アニメ版『チェンソーマン』のファンとしては“あの曲”がこんな大々的に使われるのも想定外だった(しかも2回も!)。

  • 映画評論家

    北川れい子

    逆・R指定、つまり18歳以上の人が観るには18歳未満の女子同伴に限る、なんて。むろん冗談だが、この作品のチラシには、全女子共感の青春小説の映画化とあり、実際、移動教室の机に残されていた宛先不明のメモふうのラブレターをめぐる思い込みは、演出はかなり丁寧だが大人が付き合うには忍耐を要する。しかもメモを残したのは学校イチの人気男子で、手にしたのは放送部員なのに口下手という女子。ただネットとスマホの時代にあえて交換日記を使うのはほほえましく、ま、いいか。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    交換日記が世間を騒がした時期に観てしまったのは兎も角、手紙から日記、なりすましと、映画らしさに満ちた設定が活用される。放送室を充実した空間へと作り上げ、自宅で親を出すような愚を犯すことなく、世界観を崩さない(遊園地のWデートは嘘が露見しかねない最大の危機のはずがサスペンス皆無なのは不満だが)。満男の娘役で記憶されることになった桜田ひよりは、松竹撮影所制作の本作でも翳りと光を併せ持つ演技を見せ、松竹女優王国の復興には彼女の存在が不可欠と思わせる。

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