DASHCAM ダッシュカムの映画専門家レビュー一覧

DASHCAM ダッシュカム

「インシディアス」のブラムハウスがコロナ禍を背景に送り出したPOV形式のホラー。迷惑系ライブ配信者のアニーは、レストランのオーナーから高額の報酬と引き換えに、ある女性を配達する依頼を受ける。悪態をつきながら向かった先には、想像を絶する恐怖が待っていた……。出演はシンガーソングライター兼俳優として活動するアニー・ハーディ。監督は「ズーム/見えない参加者」のロブ・サヴェッジ。
  • 文筆業

    奈々村久生

    およそヒロインらしからぬ、救いようのない迷惑極まるクソ女。うるさくて下品で野蛮で俗物でエゴ?き出し。ヒールの美学などもってのほか。徹底した下衆ぶりはむしろ清々しく、演じるアニー・ハーディの芝居心に驚嘆するやら呆れるやら。それは誰もが少なからず持つ野卑な側面の究極系でもある。奇想天外で荒唐無稽な展開も、破壊的なまでに臨場感を突きつめたカメラワークと、下ネタからスプラッタまで体液祭りの質量で、ツッコむ隙を与えない。白石晃士監督が嫉妬しそうな一本。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    人を食べたり殺しまくったりしながら追ってくるものから主人公の女が逃げたり反撃したりする映画の最近の奴や定点カメラや主観映像の怖い映画を僕は観ていなくて(定点カメラや主観映像のエロ動画は好きです)この映画がそういうのの定番をどのくらい引用してるのかがわからんし英語のラップもわからんのだけど配信のコメントがツッコミになってるので退屈しなかった。それとひどい話なのにイヤな気分にならなかったのはなんでだろう。意外とセンスいい映画だったのかな。楽しかった。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    動体視力の限界に挑戦するPOV。迷惑系の配信をしているアニーは、反リベラルと書かれた帽子やシャツ姿で、確実に人が不快になる言動をする。ラップは器用だがゾッとするほど全篇にわたって下品だ。アニー本人もミュージシャンで、映画とのキャラの境目がわからず、あまりにしたたかで悪びれない態度は少し好感が持ててしまう。ただし印象的な前フリの回収や、不気味な現象や演出の意図の説明がないため、映画として消化不良。汚物恐怖症にはきつい作品だが、エンドロールのスタッフ愛は感心した。

1 - 3件表示/全3件