片岡礼子 カタオカレイコ

  • 出身地:愛媛県伊予郡松前町
  • 生年月日:1971/12/20

略歴 / Brief history

愛媛県伊予郡松前町の生まれ。県立伊予高校を経て、明星大学理工学部在学中に雑誌『週刊朝日』の表紙モデルに選ばれ、1993年、橋口亮輔監督の劇場用映画第1作「二十才の微熱」でスクリーンデビューを飾る。夜の歓楽街で働くゲイの大学生(袴田吉彦)に想いを寄せる大学のサークルの先輩を繊細に演じた。続く高橋伴明監督「愛の新世界」94では現代っ子のホテトル嬢、原田眞人監督「KAMIKAZE TAXI」95では奇妙なタクシー運転手(役所広司)と一緒に旅をする女、石井隆監督「GONIN 2」96では宝石強盗の一味、望月六郎監督「鬼火」97では“火の玉”と呼ばれる殺し屋(原田芳雄)を愛する女、一尾直樹監督「溺れる人」02では夫との愛情がすれ違ってしまった妻など、作家性の強い監督の下で強い印象を残す女性像を表現してきた。「愛の新世界」「KAMIKAZE TAXI」でヨコハマ映画祭新人賞、「鬼火」で同・助演女優賞を受賞している。彼女の名前がさらに広く知られるようになったのは、01年、再び橋口監督と組み、21世紀の新しい家族像を提示した「ハッシュ!」であった。ゲイのカップル(田辺誠一、高橋和也)に関わり彼らの子を産もうとする女性をさわやかに演じて、キネマ旬報賞、ブルーリボン賞の主演女優賞を獲得。ところが各賞の受賞発表直後の02年1月、脳内出血で倒れ、約2年間の闘病生活を強いられる。一時は生死の境をさまよったが、外科手術により奇跡的に回復。リハビリを経て、04年に萩生田宏治監督「帰郷」の故郷に戻った主人公(西島秀俊)の同級生役で女優復帰してからは、橋口監督の7年ぶりの作品となった「ぐるりのこと。」08で娘の幼稚園の同級生を殺して法廷に立つ母親を、瀬々敬久監督の大作「ヘヴンズストーリー」10ではヒロインの殺された母親を演じるなど、問題作の中で重要な役割を担い続けている。テレビドラマの出演はそう多くはないが、NHK『どんまい!』05、『外事警察』09、日本テレビ『曲げられない女』10、WOWOW『誤報』10などで存在感を見せている。

片岡礼子の関連作品 / Related Work

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  • 逆火

    制作年: 2025
    「ミッドナイトスワン」の内田英治監督が、映画制作の現場を舞台に現代社会の問題や矛盾を炙り出すヒューマン・サスペンス。主人公の助監督・野島を「誰よりもつよく抱きしめて」の北村有起哉、疑惑のヒロイン・ARISAを「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」の円井わんが演じる。過酷な家庭環境を乗り越えて成功したARISAの自伝を映画化する現場を任された野島は、その美談に一抹の疑念を抱くが、撮影を中断したくない面々が圧力をかける。内田英治監督の完全オリジナルストーリー。
  • ぶぶ漬けどうどす

    制作年: 2025
    東京から嫁いできた妻が「本音と建前」を使い分けるといわれる京都の県民性に翻弄されるシニカル・コメディ。京都の老舗扇子店の長男と結婚したフリーライターの澁澤まどかは、老舗の暮らしぶりをコミックエッセイにしようと、義実家や街の女将さんたちに取材しようとするが……。「his」の脚本家アサダアツシが企画、構想に7年を費やした。監督は「鍵と黒鍵の間に」の冨永昌敬。京都を愛するあまり暴走する妻まどかを深川麻衣、まどかの義母の澁澤環を室井滋が演じる。
  • この場所

    制作年: 2024
    父の葬儀で再会したフィリピン人の姉と日本人の妹が復興が進む陸前高田で新たな絆を築いていく様を描くドラマ。監督はハイメ・パセナ2世。出演は中野有紗、ギャビー・パディラ、片岡礼子ほか。2025年3月14日より開催の「第20回大阪アジアン映画祭」にて上映。
  • みんな笑え

    制作年: 2024
    「生きててよかった」の鈴木太一監督が、演芸の世界で生きる人々を描いた人間ドラマ。認知症により引退した師匠である父の介護をするうだつのあがらない五十路の落語家・太紋は、売れない若手漫才師・希子(辻凪子)と出会い、自分の人生を見つめ直す。主人公の落語家・太紋を蜷川幸雄演出の舞台に出演してきた個性派俳優・野辺富三が、若手漫才師の希子を「凪の憂鬱」で2024年第37回高崎映画祭最優秀新進俳優賞を受賞した辻凪子が演じる。
  • 嗤う蟲

    制作年: 2024
    「ビリーバーズ」の城定秀夫監督が、日本各地で起きた村八分事件をもとに現代日本の闇に隠された村社会の実態を描くスリラー。田舎でのスローライフを夢見て麻宮村へ移住してきた杏奈と輝道の若い夫婦。だがその楽園には決して抗えない禍禍しいムラの掟があった。出演は「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」の深川麻衣、「市子」の若葉竜也、「十一人の賊軍」の松浦祐也、「鉄男」の田口トモロヲ。
  • 蒲団

    制作年: 2024
    「レッドブリッジ」の山嵜晋平が監督、日本の私小説の出発点とされる田山花袋の名作を原案にした人間ドラマ。中年の脚本家・時雄の元に脚本家志望の芳美が押しかけ、弟子入り。やがて時雄は彼女に恋愛感情を抱いていくが、芳美の恋人が上京すると知り……。舞台を明治から令和に、主人公を小説家から脚本家に移している。脚本家の竹中時雄を「Helpless」などの青山真治監督作品をはじめ数々の作品に出演してきた斉藤陽一郎が、脚本家志望の横山芳美を「東京遭難」の秋谷百音が、時雄の妻・まどかを「笑いのカイブツ」の片岡礼子が演じる。