- キネマ旬報WEB トップ
- 尾野真千子
略歴 / Brief history
奈良県生まれ。県立御所高校(現・青翔高校)卒業。同県西吉野村(現・五條市)の中学生だった時、河瀬直美監督にスカウトされてデビュー。学校で放課後の掃除をしている時に、「萌の朱雀」97 の主演女優を探しに来ていた河瀬監督の目に止まった。大黒柱を失った家族が過疎化する山村を捨てて離散していく物語の中で、同居する従兄に淡い想いを寄せる少女・みちるを天衣無縫に演じた。本作は、1997 年のカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞。同年のシンガポール国際映画祭では自身が主演女優賞を獲得した。以後、山下敦弘監督の「リアリズムの宿」03 や万田邦敏監督の「ありがとう」06 など作家性の強い作品での助演によって存在感を見せ、2007 年の「殯の森」では河瀬監督と久々にコンビを組んで主演。幼い息子を失った介護福祉士の苦悩と再生を体当たりで演じ、再びカンヌで河瀬監督に大きな賞(グランプリ)をもたらした。日航ジャンボ機墜落事故を追う新聞社を舞台にした原田眞人監督の「クライマーズ・ハイ」08 では、事故原因究明の鍵を握る特ダネを拾ってくる社会部記者を凜々しく演じた。10 年は相次いで主演作が公開された。御徒町凧監督の「真幸くあらば」は、婚約者を殺された女性が加害者の死刑囚を愛してしまうという物語。川口浩史監督が台湾で撮った「トロッコ」では、台湾人の夫を若くして失った女性がふたりの息子とともに亡夫の故郷・台湾を訪れる。入り組んだ感情を繊細に表現しなければならない難役に立て続けに挑み、見事に表現しきった。近年はテレビドラマでも活躍が著しい。09 年にはテレビ朝日『警官の血』、WOWOW『空飛ぶタイヤ』、NHK『外事警察』などに重要な役で出演。10 年には日本テレビ『Mother』で愛人が娘を虐待するのを無慈悲に見つめる母、また気難しい熟年作家の担当編集者を演じたNHK の中編『火の魚』10 は芸術祭大賞、イタリア賞などテレビの各賞を総なめにした。11 年には一尾直樹監督「心中天使」で主演するほか、平林勇監督「Shikasha」、篠原哲雄監督「小川の辺」、犬童一心・樋口真嗣監督「のぼうの城」など、出演作が相次いでいる。
尾野真千子の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
-
新幹線大爆破(2025)
制作年: 2025高倉健主演、佐藤純彌監督の1975年公開の東映映画を、「シン・ゴジラ」の樋口真嗣監督がメガホンをとり、現代版として新たに映画化。主人公の高市を草彅剛が演じる。 -
DitO
制作年: 2024「オボの声」などに出演してきた俳優・結城貴史が主演・監督を務めた、日比合作の人間ドラマ。日本に妻子を残しフィリピンで再起を図るプロボクサー・神山の元に、一人娘・桃子が神山を頼りやってきて、二人は衝突しながらも少しずつ親子の絆を結んでいく。タイトルのDitOとは、タガログ語で“ここ”(英語では“here”)のこと。 40 歳を迎えたプロボクサー・神山英次を結城貴史が、生き別れた父の元に来る桃子をドラマ『癒やしのお隣さんには秘密がある』に主演した田辺桃子が、神山の妻ナツを「茜色に焼かれる」の尾野真千子が演じ、6階級を制覇した、ボクシング元世界王者マニー・パッキャオが特別出演。異郷で自分たちの居場所を手に入れようと戦う親と子の絆と成長を描く。 -
おまえの罪を自白しろ
制作年: 2023真保裕一の同名小説を映画化したタイムリミットサスペンス。国会議員・宇田清治郎の孫娘誘拐事件が発生。犯人は、“明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ”と要求してくる。清治郎の秘書を務める息子・晄司は事件解決に奔走するが……。出演は「ラーゲリより愛を込めて」の中島健人、「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」の堤真一。監督は「アイ・アム まきもと」の水田伸生。60点