クリストファー・ノーラン

  • 出身地:ロンドン
  • 生年月日:1970/07/30

略歴 / Brief history

【ハリウッドで大成功を収めたイギリス・ルネッサンスの新星】イギリス、ロンドンの生まれ。父はイギリス人で母はアメリカ人。7歳より父の8ミリと玩具人形で映画を撮り始め、短編の一本は1989年にテレビ番組で放映されたという。ロンドン大学連合UCLに進んで英文学を専攻。映画サークルで16ミリ短編を数本製作し、ケンブリッジ映画祭で上映された作品もある。卒業後は広報ビデオ会社で働きつつ、製作・撮影・編集まで一人五役で98年に完成させた「フォロウィング」が、ロッテルダムほか各国のインディペンデント系映画祭で“ヒッチコックの再来”と称えられ、正式な監督デビューとなった。時系列を分解した犯罪スリラーである第1作の成功に続き、第2作の企画はアメリカの資本を得て、2000年に「メメント」として完成。記憶障害を題材にやはり時系列を分断した構成で綴るこのサスペンスは、サンダンス映画祭やインディペンデント・スピリット賞で評価され、興行的にも好成績を残し、ノーランは一躍ハリウッド注目の人となる。02年、スティーヴン・ソダーバーグが製作を担当した第3作「インソムニア」でメジャーに進出、05年にはアメコミ・ヒーロー映画のリニューアルを課せられた「バットマン・ビギンズ」に抜擢されるなど、評価・製作環境・興行成績すべて鰻のぼり。奇術ミステリーの「プレステージ」(06)を間に置いた新生バットマンの第2弾「ダークナイト」(08)は、興収5億ドル超の全米映画史上2位を記録、娯楽映画ながら批評でも絶賛され、ヒットメーカーの玉座に君臨することとなった。【仮面の下の真実を求めて】ダニー・ボイルが開拓したイギリス・ルネッサンスを承け、新感覚の自主映画で世界に名を馳せると同時に、ハリウッドに進出して大成功を得た新星監督。インディーズ時代の2作品はともに時系列を分解した構成を採り、DVDで繰り返し観て楽しめるという意味での“ニューメディア世代”と称された。これは文体の革新であったクエンティン・タランティーノ以後の才能とみられたが、ハリウッドに進出してからは(ミステリーの叙述トリックは除いて)話法も正攻法に落ち着き、一方でドラマチックな物語展開と心理学的な人間考察によってまた評価を高めた。型式や叙述の奇抜さを取り除けば、ノーランのすべての作品に共通するモチーフは“隠された真実の探求”である。「フォロウィング」も「メメント」も、主人公は事件の背後に隠された真相を捜し求め、驚愕の事実に至って悲劇に直面する。「インソムニア」や「プレステージ」ではその真実を隠すために命を賭す悲哀を、「バットマン」では正義の仮面に隠された真実の顔を探った。「ダークナイト」の悪役が輝くのは、追い詰められるヒーローの鏡として、どんな人間にもある真実の顔を奔放に晒すからなのだ。

クリストファー・ノーランの関連作品 / Related Work

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  • オッペンハイマー

    制作年: 2023
    原爆を開発した科学者オッペンハイマーの半生を実話に基づき、「TENET テネット」のクリストファー・ノーランが映画化。第二次世界大戦下の米国で世界初となる原子爆弾の開発に成功したオッペンハイマーだったが、投下後の惨状を聞き、深く苦悩するようになる。出演は、「ハイドリヒを撃て!『ナチの野獣』暗殺作戦」のキリアン・マーフィー、「クワイエット・プレイス」シリーズのエミリー・ブラント、「AIR エア」のマット・デイモン。第81回ゴールデングローブ賞作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、作曲賞の最多5部門受賞。第96回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞の7部門受賞。
  • TENET テネット

    制作年: 2020
    「ダンケルク」のクリストファー・ノーラン監督によるSFスリラー。ある男に、現在から未来に進むという時間のルールから脱出するミッションが課せられる。時間に隠された秘密を解き明かし、第三次世界大戦を止めるミッションのキーワードは『TENET』だった。突如一大任務に巻き込まれた男を「ブラック・クランズマン」のジョン・デヴィッド・ワシントンが、相棒を「ハイ・ライフ」のロバート・パティンソンが演じる。
  • ようこそ映画音響の世界へ

      制作年: 2019
      ハリウッドの映画音響に焦点をあてたドキュメンタリー。その進化において大きな偉業を残した「市民ケーン」「鳥」「ゴッドファーザー」などの名作から映画音響の歴史を紹介。さらに、スペシャリストたちと共に“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく。出演は「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストローム。
    • ジャスティス・リーグ

      制作年: 2017
      元祖アメコミ界のスーパーヒーローチームを描くアクション・エンターテインメント。スーパーマンの献身的な行動により人類への信頼を取り戻したバットマンは、ワンダーウーマンと共に孤独なヒーローたちを集め、さらなる敵に立ち向かう最強チームを結成する。監督は、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のザック・スナイダー。出演は、「夜に生きる」のベン・アフレック、「ワンダーウーマン」のガル・ギャドット、「DEBUG/ディバグ」のジェイソン・モモア、「プリズン・エクスペリメント」のエズラ・ミラー、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のレイ・フィッシャー。
      80
    • ダンケルク(2017)

      制作年: 2017
      クリストファー・ノーラン監督が、実話=戦争を斬新な手法でを描く戦争映画。第二次大戦中の1940年、フランス・ダンケルク港に追い詰められた英仏連合軍の兵士40万人。全滅寸前の彼らを救うため、軍艦や民間船を動員した前代未聞の救出作戦を陸海空の3視点からリアルに映し出す。出演は、本作で映画デビューを飾るフィオン・ホワイトヘッド、同じく映画デビューとなるトム・グリン=カーニー、TV『戦争と平和』のジャック・ロウデン、ボーイズ・バンド『ワン・ダイレクション』のハリー・スタイルズ、「マリリン 7日間の恋」のケネス・ブラナー、「白鯨との闘い」のキリアン・マーフィー、「ブリッジ・オブ・スパイ」のマーク・ライランス、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のトム・ハーディ。撮影を「裏切りのサーカス」「インターステラー」のホイテ・ヴァン・ホイテマ、音楽を「ライオン・キング」「インターステラー」のハンス・ジマーが務める。
      60
    • バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

      制作年: 2016
      DCコミックスが生んだキャラクターたちが集結する映画プロジェクト「DCフィルムズ」の第1弾。「マン・オブ・スティール」の続編で、スーパーマンとバットマンが対決する。バットマン役には新たに「ゴーン・ガール」のベン・アフレックを起用。この他、「マン・オブ・スティール」からヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムスなどが続投。製作総指揮クリストファー・ノーラン、監督ザック・スナイダーは「マン・オブ・スティール」から引き続きコンビを組む。
      70

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