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- キムラ緑子
略歴 / Brief history
兵庫県洲本市(淡路島)の生まれ。本名・木村緑子。高校時代は剣道部で演劇には興味がなかったという。同志社女子大学学芸学部入学後、演劇部の稽古を見学して熱気に打たれ、すぐに入部する。そこにいたのが演出家のマキノノゾミで、1984年にマキノが結成した劇団M.O.Pの旗揚げに参加。京都での第1回上演は『熱海殺人事件'84』で、以後もつかこうへい作品を精力的に上演する。卒業後は劇団を離れ、地元で学習塾の講師をつとめていたが、3年後に女優の代役を急遽頼まれて舞台に復帰。いずれ地元に戻るつもりだったが、マキノがつか作品からオリジナルへ挑戦する意欲的な時期をともに歩むうち女優の覚悟を固める。『ピスケン』91の頃にマキノと結婚。以来、劇団M.O.Pの看板女優として活躍する。宮本亜門、野田秀樹、栗山民也らの演出作品にも参加。小林裕演出『秋の歌』97で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。ここまでほぼ演劇一筋で、映画には「極道の妻たち・危険な賭け」96などに傍役で出演した程度だったが、マキノが脚本を執筆したNHK『まんてん』02への出演を境に映像の仕事が増える。篠原哲雄監督「命」02の劇団制作者、井筒和幸監督「パッチギ!」05と「パッチギ!/LOVE&PEACE」07の兄妹の母、中島哲也監督「嫌われ松子の一生」06の主人公の母などで、登場場面の少ない人物の背景を一瞬に表現。「真木栗ノ穴」08では西島秀俊演じる主人公を怪異譚のトラブルに巻き込む孤独な中年女を好演した。ドラマの主要作は、NHK『ちりとてちん』07、フジテレビ『鹿男あをによし』08、『ありふれた奇跡』09など。演劇活動も引き続き旺盛で、05年の『小林一茶』では読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した。この年、マキノと離婚。互いの道を行くための発展的な離婚であり、10年の劇団M.O.P解散公演まで同志の関係を続ける。役作りには人一倍時間がかかり、演出家や監督の前に立つまで毎回のようにのたうちまわるという。映画でその厚みが十全に発揮されたのは山田洋次監督「おとうと」10。善良素朴に生きる女がそれでも男に貸した金の返済をその姉(吉永小百合)に求めねばならないさまを演じて印象を残した。
キムラ緑子の関連作品 / Related Work
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MIRRORLIAR FILMS Season4
制作年: 2022映画監督から俳優、一般公募など36名の監督による“変化”をテーマにした短編を4回に分けオムニバス形式で公開する短編映画制作プロジェクトの第4回。窪田正孝主演、気力を失った男の変化を描いた水川あさみの初監督作「おとこのことを」など9作品を収録。他、「夏、至るころ」で監督デビューを果たした池田エライザによる「Good night PHOENIX」、一般公募のGAZEBO監督による「BEFORE/AFTER」、齊藤工が自身が監督した「COMPLY+-ANCE コンプライアンス」(2020)を新たな脚本、キャストでセルフリメイクした「女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE」、「アイヌモシリ」の福永壮志監督による「シルマシ」、「新聞記者」の藤井道人監督による「名もなき一篇・東京モラトリアム」、一般公募の真壁勇樹監督による「星ニ願イヲ」、一般公募の村上リ子監督による「THE NOTES」、俳優のムロツヨシが以前自身が書いた脚本を映像化した「バイバイ」を収録。年齢、職業、メジャーやインディーズなどといった垣根を超えた短編が揃う。 -
劇場版 ラジエーションハウス
制作年: 2022集英社のマンガ雑誌『グランドジャンプ』で連載中の『ラジエーションハウス』を映像化した人気ドラマシリーズの劇場映画版。放射線技師という裏方の活躍に焦点をあてた新たな医療エンタテイメント。離島で謎の感染症が発生、“チームラジハ”の新たな活躍が始まる。主人公の放射線技師・五十嵐唯織に窪田正孝のほか、本田翼、広瀬アリス、遠藤憲一などドラマのキャストがそのまま登場。監督は「マスカレード・ナイト」「HERO」シリーズの鈴木雅之。脚本はドラマ『ナイト・ドクター』『好きな人がいること』の大北はるか。