水田伸生 ミズタノブオ

  • 出身地:広島県広島市
  • 生年月日:1958/08/20

略歴 / Brief history

【集団劇の人情コメディを得意とするエースディレクター】広島県広島市の生まれ。広島市立舟入高校在学中はバレーボールに熱中し、全国大会にも出場した。日本大学芸術学部演劇学科を卒業後、1981年に日本テレビに入社。テレビドラマ『池中玄太80キロ』(80)などでADをつとめたのち、28歳の時にディレクターとしてデビューした。明石家さんまと組んだ一連のラブコメディ『恋も2度目なら』(96)、『恋のバカンス』(97)、『甘い生活。』(99)のチーフ演出等で注目を集め、多彩なジャンルのドラマを手がけつつ、『奇跡のロマンス』(96)、『お熱いのがお好き?』(98)など主に集団劇のホームコメディを得意とした。これらと並行してドラマのプロデュース業も兼務。舞台演出等も手がけるなどして、日本テレビのエースディレクターの座についた。その後、映画事業部に異動し映画のプロデュースとテレビドラマの演出を並行して手がけていたが、2006年の「花田少年史・幽霊と秘密のトンネル」で映画監督デビュー。幽霊と会話ができるようになってしまった少年の身にふりかかるひと夏の騒動を、手堅い演出でまとめてみせた。以後もドラマと並行してコンスタントに映画を撮り続け、03年の連続ドラマ『ぼくの魔法使い』でも組んだ脚本家・宮藤官九郎とのコンビによる「舞妓Haaaan!!!」(07)、「なくもんか」(09)では、宮藤独特のコメディセンスに対抗する人情味を加味。その一方で災害パニック大作「252・生存者あり」(08)も手がけるなど活躍を続けている。【人間観察力に優れた堅実な手腕】2000年代に入って急増する一方の、テレビディレクター出身で映画とドラマを往来する監督のひとり。そんななかでも、民放キー局の社員という立場で映画を撮り続ける環境にあるディレクターは決して多くはないが、なおかつテレビドラマの劇場版ではなく、映画オリジナルの企画を順調に撮り続けている水田のような存在は、さらに希少である。劇場デビュー作の「花田少年史」はいわゆるウェルメイドな少年の冒険譚で、良くも悪くもテレビディレクターの堅実な演出手腕が発揮された作品となった。一作ごとに振れ幅が大きく見える以後の作品歴も、堅実さゆえの作家性の乏しさと見られかねない点もある。それはシリアスからコメディまで、あるいは俳優の個性や脚本の筆致に因ってさまざまな見え方をするドラマ演出作品の多様さにも通じるものだが、中でもやはり水田のセンスが際立つのは、集団劇のホームコメディと、そこに加えられる“人間観察力”にほかならない。宮藤官九郎が信頼を寄せる演出家として水田の名を挙げることもそれと無縁ではなく、トリッキーな展開と人情話がやや乖離して見えた「舞妓Haaaan!!!」を経た「なくもんか」で、水田の映画監督としての資質がようやく十二分に発揮されたと言えるだろう。

水田伸生の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • おまえの罪を自白しろ

    制作年: 2023
    真保裕一の同名小説を映画化したタイムリミットサスペンス。国会議員・宇田清治郎の孫娘誘拐事件が発生。犯人は、“明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ”と要求してくる。清治郎の秘書を務める息子・晄司は事件解決に奔走するが……。出演は「ラーゲリより愛を込めて」の中島健人、「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」の堤真一。監督は「アイ・アム まきもと」の水田伸生。
  • ゆとりですがなにか インターナショナル

    制作年: 2023
    日本テレビ系列で2016年4月期に放送されたドラマ『ゆとりですがなにか』の劇場版。“ゆとり世代”と名付けられた正和、山路、まりぶのゆとり3人組も30代半ばを迎え、人生の岐路に立たされていた。そんな彼らに、想像を超える新時代の波が押し寄せる。「1秒先の彼」の岡田将生、「耳をすませば」の松坂桃李、「さかなのこ」の柳楽優弥らドラマのキャスト陣に加え、「シャイロックの子供たち」の木南晴夏、「アキラとあきら」の上白石萌歌らが出演。監督は、「アイ・アム まきもと」の水田伸生。脚本は、「1秒先の彼」の宮藤官九郎。
  • アイ・アム まきもと

    制作年: 2022
    「舞妓Haaaan!!!」「謝罪の王様」に続く、阿部サダヲ主演・水田伸生監督によるヒューマンコメディ。人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として役所で働く牧本は、孤独死した老人・蕪木の部屋を訪れ、彼の娘らしき少女の写真を発見し、娘探しに奔走する。共演は「海辺の生と死」の満島ひかり、「罪の声」の宇崎竜童。原作は、ウベルト・パゾリーニの「おみおくりの作法」。
  • あやしい彼女

    制作年: 2016
    韓国映画「怪しい彼女」を「謝罪の王様」の水田伸生監督がリメイク。ひょんなことから20歳の姿になってしまった73歳の瀬山カツ。失われた青春を取り戻すため、大好きな歌を歌い、淡い恋に胸をときめかせ新たな人生をスタートさせるが……。出演は「ピース オブ ケイク」の多部未華子、「デンデラ」の倍賞美津子、「神様のカルテ」の要潤、「陽だまりの彼女」の北村匠海、「折り梅」の金井克子、「幕が上がる」の志賀廣太郎、「紙の月」の小林聡美。
    90
  • 謝罪の王様

    制作年: 2013
    「舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」に続く、脚本・宮藤官九郎、主演・阿部サダヲ、監督・水田伸生によるコメディ。架空の職業“謝罪師”を生業とする男が、ケンカの仲裁から政府を巻き込んだ国家存亡の危機まで、様々な事件を謝罪しながら解決していく姿を描く。共演は「八日目の蝉」の井上真央、「アントキノイノチ」の岡田将生、「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」の尾野真千子。
    60
  • 綱引いちゃった!

    制作年: 2012
    大分を舞台に、市長からの指示で女性綱引きチームを結成することになった市役所職員とメンバーたちの奮闘を描くコメディ。出演は「八日目の蝉」の井上真央、「僕達急行 A列車で行こう」の松坂慶子、「莫逆家族 バクギャクファミーリア」の玉山鉄二。監督は「なくもんか」の水田伸生。脚本は「フラガール」の羽原大介。
    80