ソフィア・コッポラ ソフィアコッポラ

  • 出身地:ニューヨーク
  • 生年月日:1971/05/14

略歴 / Brief history

【父の七光りを脱却したガーリー・カルチャーの旗手】アメリカ、ニューヨークの生まれ。フランシス・フォード・コッポラ監督の末っ子で一人娘。俳優のニコラス・ケイジは従兄弟にあたる。幼い頃から父の作品を中心に出演を重ね(「ゴッドファーザー」72にも、教会で洗礼を受ける男の赤ん坊役で出演している)、女優として順調にキャリアを伸ばしているかのように見えたが、「ゴッドファーザーPartⅢ」(90)で突然降板したウィノナ・ライダーの代役をつとめたことから運命が狂う。この段階での彼女には荷が重すぎた役だったため、父親の決断は身びいきであると非難されたほか、ソフィア自身の演技も不評で、結果的に彼女は(父の友人の作品への友情出演を除いて)女優の仕事から身を引いた。本人はのちに「もともと女優志望ではなかったので『PARTⅢ』での酷評も気にならなかった」と語っている。1998年、短編「Lick The Star」で監督デビュー。長編デビュー作となる「ヴァージン・スーサイズ」(99)は、MTV映画賞で新人監督賞を受賞するなど一定の評価を受けた。ソフィアの名を一気に高めたのは続く「ロスト・イン・トランスレーション」(03)で、この作品によって彼女はアカデミー賞のオリジナル脚本賞を受賞するとともに、リナ・ウェルトミューラー、ジェーン・カンピオンに続いて監督賞にノミネートされた史上3人目の女性監督(アメリカ人女性としては初)となった。フランス政府の協力の下、実際にヴェルサイユ宮殿で撮影された「マリー・アントワネット」(06)は、初上映されたカンヌ映画祭でブーイングとスタンディング・オベーションの両方を受けるなど賛否両論となった。99年に映画監督のスパイク・ジョーンズと結婚したが03年に離婚。【ポップな感覚で描かれる疎外感】ニューヨークの文化サロンで育ち、学業と並行して15歳でシャネル社のインターンをつとめた。学業を終えてすぐにファッション・ブランドを立ち上げたソフィアはガーリー・カルチャーの旗手とみなされ、特に「ロスト・イン・トランスレーション」と「マリー・アントワネット」でポップな感覚をふんだんに取り入れて画面を生き生きとしたものにしている。しかし、彼女の作品の本質は周囲に溶け込むことのできない人物の絶対的な疎外感であり、このことは父コッポラのイタリア的家父長主義を前面に押し出した実生活や、家族の血縁の中にのみ安住を見出す「ゴッドファーザー」3部作の登場人物たちと比較すればより明確になる。ヘビトンボの季節に自らの命を絶つ少女たちも、TOKYOという奇怪な街に滞在しなくてはならないスターも、政略結婚で異国にやってきた幼い王妃も、自分の存在を支配するだけで決して受け入れようとはしない環境の中で決定的な違和感を覚え、そこからドラマが展開していくのである。

ソフィア・コッポラの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • プリシラ(2023)

    制作年: 2023
    ソフィア・コッポラが、エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラ・プレスリーの回想録を映画化。世界のスーパースター、エルヴィス・プレスリーと夢のような恋に落ちた14歳のプリシラは、両親の反対を押し切り、大邸宅でエルヴィスと暮らし始めるが……。主演のケイリー・スピーニー(「パシフィック・リム:アップライジング」)は、本作でヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞。共演は「Saltburn」のジェイコブ・エロルディ。
  • ゴッドファーザー 最終章 マイケル・コルレオーネの最期

    制作年: 1990
    フランシス・フォード・コッポラ監督自身による『ゴッドファーザー PARTIII』の再編集版。全米公開30周年を記念して、マリオ・プーゾとコッポラの当初の意図を尊重して再編集された。監督・脚本はフランシス・フォード・コッポラ。脚本はマリオ・プーゾ。撮影監督はゴードン・ウィリス。出演はアル・パチーノ、アンディ・ガルシア、ダイアン・キートン、タリア・シャイア、ソフィア・コッポラほか。
  • オン・ザ・ロック

    制作年: 2020
    ソフィア・コッポラが監督・脚本を務めたコメディ。新しく来た同僚と残業を繰り返すようになった夫に疑いを抱いた若い母親ローラは、プレイボーイの自分の父親とともに夫を尾行することに。2人は夜のニューヨークを駆け巡りながら、その距離を近づけていく。出演は、「デッド・ドント・ダイ」のビル・マーレイ、「カムバック!」のラシダ・ジョーンズ、「デンジャラス・バディ」のマーロン・ウェイアンズ。
    85
  • ようこそ映画音響の世界へ

      制作年: 2019
      ハリウッドの映画音響に焦点をあてたドキュメンタリー。その進化において大きな偉業を残した「市民ケーン」「鳥」「ゴッドファーザー」などの名作から映画音響の歴史を紹介。さらに、スペシャリストたちと共に“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく。出演は「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストローム。
    • カーライル ニューヨークが恋したホテル

        制作年: 2018
        数々のセレブたちから愛されてきたニューヨークの五つ星ホテル“ザ・カーライル ア ローズウッド ホテル”の魅力に迫るドキュメンタリー。ジョージ・クルーニー、ソフィア・コッポラなど、総勢38名のセレブが“秘密の宮殿”カーライルの魅力を語る。監督は「ティファニー ニューヨーク五番街の秘密」など、ニューヨークの老舗を対象にドキュメンタリーを手掛けるマシュー・ミーレー。
        44
      • The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

        制作年: 2017
        71年に「白い肌の異常な夜」として映画化されたトーマス・カリナンの小説を、ソフィア・コッポラが再映画化。世間から隔絶された寄宿学校に暮らす7人の女性は、負傷した兵士を屋敷に運んで手当てする。やがて彼女たちは、その男に心を奪われてゆき……。出演は「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のコリン・ファレル、「LION/ライオン ~25年目のただいま~」のニコール・キッドマン、「パーティで女の子に話しかけるには」のエル・ファニング。
        60

      今日は映画何の日?

      注目記事