スパイク・リー スパイクリー

  • 出身地:アメリカ、ニューヨーク市ブルックリン
  • 生年月日:1957/03/20

略歴 / Brief history

【インディーズの旗手からブラック・カルチャーの象徴へ】アメリカ、ジョージア州アトランタに生まれ、幼い頃に家族でニューヨークのブルックリンに移り住む。アトランタのモアハウス大学でマスコミ学を学びながら映画制作を始め、初作品“Last Hustle in Brooklyn”(77)を作る。その後ニューヨーク大学(NYU)映画学科に入学、本格的に映画を勉強する。卒業制作の「ジョーズ・バーバー・ショップ」(83)が、学生アカデミー賞とロカルノ映画祭で銅賞を受賞。続いて撮影日数12日間、製作費16万ドルで作った長編第1作「シーズ・ガッタ・ハヴ・イット」(85)がカンヌ国際映画祭の新人監督賞に輝き、NYインディーズの旗手として注目される。この作品では監督・脚本・製作のほか助演もしており、以後、自作にしばしば俳優として登場。家族の起用も多く、ジャズ・ミュージシャンの父ビル・リーは「ジョーズ~」から「モ’・ベター・ブルース」(90)までの音楽を担当し、ジャズ映画である後者には俳優として出演もしている。ほかに妹ジョイ・リーも常連女優。大手メジャー会社コロンビア資本で作ったミュージカル「スクール・デイズ」(88)を経て、長編3作目「ドゥ・ザ・ライト・シング」(89)が一大センセーションを巻き起こす。アフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティと人種間の対立・差別をテーマとしたものはスパイク・リー映画の大きな特徴であり、この頃は特にそれが顕著に見られ、「マルコムX」(92)でそのパワーは頂点を迎える。【「マルコムX」以降、普遍性ある作風へ】大作「マルコムX」以降は、「クルックリン」(94)、「クロッカーズ」(95)、「ゲット・オン・ザ・バス」「ガール6」(96)など、再び低予算の独立系映画に立ち戻る。初期の頃の強い主張性は弱まり、代わって普遍性あるドラマを発表するようになり、その到達点が2002年の「25時」。その後は「セレブの種」(04)、「インサイド・マン」(06)などジャンル映画にも進出している。自作のほとんどは地元ブルックリンとニューヨークを舞台にしており、自身の製作会社のほかレコードレーベル、キャラクター・ショップも構えて、若者層を中心に“スパイク・リー”ブランドを展開。映画監督であると同時に現代のブラック・カルチャーにおける象徴的存在といえる。

スパイク・リーの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • アメリカン・ユートピア

      制作年: 2020
      元トーキング・ヘッズのフロントマン、デイヴィッド・バーンによるブロードウェイ・ショーを「ブラック・クランズマン」のスパイク・リーが映画化。バーンが11人のミュージシャンやダンサーとともに計21曲を演奏し、現代の様々な問題について問いかける。振付は、過去にもバーンの舞台を手掛けたアニー・B・パーソン。プロダクション・コンサルタントは、バーン一家のアレックス・ティムバース。撮影監督は、「サマー・オブ・サム」のエレン・クラス。
      100
    • アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン

        制作年: 2018
        “ソウルの女王”アレサ・フランクリンの1972年のゴスペル・ライブを収録したドキュメンタリー。「愛と哀しみの果て」のシドニー・ポラックにより撮影されるも技術上の問題により未完となっていた映像を、最新技術で映画化。伝説のライブが映画館で蘇る。2019年NAACPイメージ・アワードoutstanding documentary、カンザスシティ映画批評家協会ベストドキュメンタリー受賞のほか、国際映画祭に多数出品。
      • ブラック・クランズマン

        制作年: 2018
        鬼才スパイク・リー監督が手がけた第71回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。黒人刑事が過激な白人至上主義団体KKKに潜入捜査する顛末を克明に綴った同名ノンフィクション小説を、デンゼル・ワシントンを父にもつジョン・デヴィッド・ワシントン主演で映画化。共演は「パターソン」のアダム・ドライバー、「スパイダーマン:ホームカミング」のローラ・ハリアー、「アンダー・ザ・シルバー・レイク」のトファー・グレイス、「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」のアレック・ボールドウィン。音楽は「マルコムX」「25時」「セントアンナの奇跡」など、スパイク・リー作品を数多く手がけてきたテレンス・ブランチャード。
        70
      • トラブルメーカー

        制作年: 2014
        『インサイド・マン』の鬼才、スパイク・リー製作総指揮によるクライムサスペンス。様々な国籍の人間がひしめき合うN.Y.。ボイドという店のDJをクビになったオーガストの下に、店の客・シグネが逃げ込んで来る。その直後、ヤクの売人が現れ…。【スタッフ&キャスト】監督・製作・脚本:ジュリアス・オナー 脚本:マユラン・ティルチェルヴァム 製作:ロバート・プロフセク 製作総指揮:スパイク・リー 出演:コロンバス・ショート/ウィルマー・バルデラマ/アリシア・バックレーダ/パス・デ・ラ・ウエルタ
        40
      • オールド・ボーイ(2013)

        制作年: 2013
        漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』を原作にし第57回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを獲得した韓国映画「オールド・ボーイ」を、「25時」「マルコムX」のスパイク・リーが監督したサスペンス。広告代理店で重役を務めていた男が20年もの間監禁されたのち突如解放され、なぜ自分は監禁されたのか、その理由を追っていく。自由を奪われ復讐に燃える男を「ノーカントリー」「トゥルー・グリット」のジョシュ・ブローリンが、彼の支えとなるソーシャル・ワーカーを「サイレント・ハウス」「マーサ、あるいはマーシー・メイ」のエリザベス・オルセンが、鍵を握る男を「エリジウム」「第9地区」のシャールト・コプリーが演じる。
        74
      • セントアンナの奇跡

        制作年: 2008
        「ドゥ・ザ・ライト・シング」などで、アメリカ黒人社会を描き続けてきたスパイク・リー監督が、第二次世界大戦中、イタリアで戦った黒人部隊の姿を描いた戦争ドラマ。原作は、叔父の体験を元にしたジェームズ・マクブライドの小説。出演は「大いなる陰謀」のデレク・ルーク、「悲しみが乾くまで」のオマー・ベンソン・ミラー。