ガス・ヴァン・サント ガスヴァンサント

  • 出身地:ケンタッキー州ルイビル
  • 生年月日:1952/07/24

略歴 / Brief history

【ハリウッドの頂へ駆け登ったインディペンデント映画の雄】アメリカ、ケンタッキー州ルイビルの生まれ。ロードアイランド・スクール・デザインで映画と絵画を学んだのち、CM製作の仕事に従事。一時、ロジャー・コーマンのもとで助手をつとめ、1985年の「マラノーチェ」で監督デビューする。このデビュー作でロサンゼルス映画批評家協会最優秀インディペンデント・実験映画賞を獲得。日本では劇場未公開だった幻の作品だが、2007年に監督再編集のもとニュープリントでようやく公開された。続く「ドラッグストア・カウボーイ」(89)が数々の賞に輝き、一躍世界的な注目を浴びる。当時、美形スターとして人気を呼んでいたリヴァー・フェニックス、キアヌ・リーヴスを主演に描いた同性愛映画「マイ・プライベート・アイダホ」(91)も大きな評判を呼んだ。この初期3作はいずれもオレゴン州ポートランドを舞台にしているため、“ポートランド三部作”として知られている。ゲイ・テイストを押し出すインディペンデントな作風を確立しながら、自らを“ハリウッドの異端”と名乗っていた彼だが、95年、ニコール・キッドマン主演のサスペンス「誘う女」で一般的な客層までファンを広げる。そして97年、マット・デイモン、ベン・アフレック主演の「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー賞の監督賞、作品賞など9部門にノミネートされ、大メジャー監督となる。その後、アルフレッド・ヒッチコックの名作をオリジナルのショットのひとつひとつまで忠実に再現して物議を醸した「サイコ」(98)、ショーン・コネリー主演の感動作「小説家を見つけたら」(00)を放ち、ハリウッドでの存在感を高める。【インディペンデントへの回帰】このままメジャー路線を邁進するかに思われたヴァン・サントだが、02年、「GERRY/ジェリー」で衝撃的なインディペンデントへの回帰を果たす。さらにその原点回帰の成功を印象づけたのが、コロンバイン高校の銃無差別殺人を題材にした「エレファント」(03)で、カンヌ映画祭のパルムドールと監督賞のダブル受賞を果たした。以後もニルヴァーナのボーカル、カート・コバーンの死にインスパイアされた「ラストデイズ」(05)、ブレイク・ネルソンの小説を脚色した「パラノイドパーク」(07)と、独自の小規模なスタイルを徹底していく。そして08年、彼がこれまでたどったメジャー、マイナー路線の融合としての集大成とも言える「ミルク」を発表。同性愛者であることを公表してアメリカで初の公職に就いた実在の政治家、ハーヴェイ・ミルクの闘いを、正攻法でありながらもポップな味わいで映像化。作品賞はじめアカデミー賞8部門にノミネートされ、ミルクを演じたショーン・ペンが主演男優賞を受賞した。監督業以外にもプロデュース、絵画、写真、執筆などにも精力的に挑み、才能を発揮している。

ガス・ヴァン・サントの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ドント・ウォーリー

    制作年: 2018
    ガス・ヴァン・サント監督が風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を映画化。酒浸りのジョンは自動車事故により胸より下が麻痺し車いす生活を余儀なくされる。ますます酒に溺れ荒れる彼だったが、やがて持ち前の辛辣なユーモアを活かして風刺漫画を描き始める。俳優ロビン・ウィリアムズがジョン・キャラハンの自伝『Don't Worry He Won't Get Far on Foot: The Autobiography of Dangerous Man』の映画化権を得ており、当初からガス・ヴァン・サントを監督にと相談を持ち掛けていた。不屈のジョン・キャラハンを「ビューティフル・デイ」のホアキン・フェニックスが演じる。
    85
  • 追憶の森

    制作年: 2015
    富士山麓に広がる青木ヶ原樹海を舞台に、ガス・ヴァン・サント監督が豪華スターを迎え紡いだミステリードラマ。死に場所を求めて樹海に入ったアメリカ人男性が、瀕死の男性を助けようと出口を探しさまよう中で、人生を見つめ直していく。絶望の淵に立つアメリカ人男性を「インターステラー」のマシュー・マコノヒーが、妻子の元に戻ろうとする男性を「硫黄島からの手紙」の渡辺謙が、アメリカ人男性の妻を「インポッシブル」のナオミ・ワッツが演じる。第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
    70
  • プロミスト・ランド(2012)

    制作年: 2012
    「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のマット・デイモンと、「ミルク」のガス・ヴァン・サントが脚本家兼主演と監督として三度目のタッグを組み、エネルギー問題を背景に描いたヒューマンドラマ。2012年ナショナル・ボード・オブ・レビュー表現の自由賞、2013年ベルリン国際映画祭スペシャルメンション受賞。
    70
  • ザ・ハリウッド(2013)

    制作年: 2013
    「ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター」のポール・シュレイダー監督によるサイコ・スリラー。映画プロデューサーの恋人と暮らす女優志望の女性が、かつての恋人と再会したことをきっかけに、思わぬ悲劇が起こる。「今宵、フィッツジェラルド劇場で」のリンジー・ローハンがフルヌードとベッドシーンに挑んだことも話題に。
    60
  • わたしはロランス

    制作年: 2012
    カナダの田舎町に暮らす男性が交際中の女性に、女性になりたいと告白するラブ・ストーリー。監督・脚本は「HEARTBEATS」(未)「マイ・マザー/青春の傷口」(未)のグザヴィエ・ドラン。自身の性別に違和感を持つ主人公を「ブロークン・イングリッシュ」「ぼくを葬る」のメルヴィル・プポーが、戸惑いながらも彼にとって特別な存在でありたいと願う恋人を「マイ・マザー/青春の傷口」のスザンヌ・クレマンが、主人公の母親を「ポルノグラフィックな関係」「勝手に逃げろ/人生」のナタリー・バイが演じている。本作は第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、クィアパーム賞およびある視点部門最優秀女優賞(スザンヌ・クレマン)を獲得した。
    80
  • 永遠の僕たち

    制作年: 2011
    「ミルク」のガス・ヴァン・サント監督が、事故で両親を失った孤独な少年とガンで余命いくばくもない少女の交流を繊細なタッチで綴ったラブストーリー。出演は、個性派俳優デニス・ホッパーの息子で本作が商業映画デビューとなるヘンリー・ホッパーと、「キッズ・オールライト」のミア・ワシコウスカ、「東京オアシス」の加瀬亮。
    80

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