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略歴 / Brief history
【独自のスタイルと距離を置く】アメリカ、ニューヨークでユダヤ系移民の3世として生まれ、17歳頃からギャグ・ライターとして活動を開始、筆名“ウディ・アレン”を名乗る。大学への入学と中退を繰り返したのちにスタンダップ・コメディアンとしてデビュー、1965年の「何かいいことないか子猫チャン」から脚本家・俳優として映画界に参入した。ダイアン・キートン、ミア・ファローらとの恋物語が注目されたこともある。初監督作は69年の「泥棒野郎」。77年にダイアン・キートン主演で、それまでのスラップスティック作品とは趣を変えた「アニー・ホール」を撮り、作品・監督・脚本・主演女優の各部門でアカデミー賞を受賞。ただし本人は授賞式に現われず、マンハッタンのパブでクラリネットを演奏していたという。その後においてもアカデミー賞授賞式は、2002年に9・11追悼の特別プログラムで一度出席したのみ。70年代末は「インテリア」(78)、「マンハッタン」(79)などのシリアスな作品や“私映画”的なコメディを続けて発表し、80年代にミア・ファローをパートナーとして「カイロの紫のバラ」(85)、「ハンナとその姉妹」(86) などの秀作を生み出した。ファロー主演作は13本にのぼるが、養女との恋愛関係により破局。しかしこの破局劇をも逆手にとって「夫たち、妻たち」(92)や「魅惑のアフロディーテ」(95)を発表、私映画作家としての才能を発揮している。【孤高を貫く】監督作の多くで主演も務め、「アニー・ホール」では生まれ育ったニューヨークの生活文化や、自身を投影したユダヤ人のコンプレックス、自意識などを、ハイセンスなセリフとテクニックでシニカルかつコミカルに描き、スノッブなインテリ層から支持を得た。これによりハリウッド資本でありながらニューヨーク派の孤高を貫く独自のスタイルを確立。「インテリア」に代表されるイングマール・ベルイマンへの傾倒でも知られ、90年代後半に入ると、パリやヴェネチアを舞台としたミュージカル「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(96)や、30年代シカゴを舞台とする「ギター弾きの恋」(99) など、古典的ジャンルへの嗜好を覗かせ、ニューヨーク舞台の私的作品とは違った作風が続く。近年に大きな転機となったのは、70歳で初の全編ロンドンロケをおこなった「マッチポイント」(05)。アレン映画はアメリカ本国よりヨーロッパでの評価が高く、満を持してのイギリス資本作品となった。
ウディ・アレンの関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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サン・セバスチャンへ、ようこそ
制作年: 2020国際映画祭を舞台に繰り広げられるウディ・アレンの映画愛に溢れたロマンティック・コメディ。売れない作家のモート・リフキンは、妻スーと共にサン・セバスチャン映画祭に参加。だが、妻がフランス人監督フィリップと浮気していると疑惑を募らせた彼は……。出演は「マリッジ・ストーリー」のウォーレス・ショーン、「サンクスギビング」のジーナ・ガーション。 -
レイニーデイ・イン・ニューヨーク
制作年: 2019マンハッタンを舞台に、運命のいたずらに翻弄される男女の姿を見つめるウディ・アレン監督作。生粋のニューヨーカーであるギャツビーとアリゾナ出身の無垢なガールフレンド、アシュレーの大学生カップルは、ロマンチックな週末を過ごそうとしていたのだが……。出演は「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、「マレフィセント」シリーズのエル・ファニング、「スプリング・ブレイカーズ」のセレーナ・ゴメス、「キング・アーサー」のジュード・ロウ。70点 -
カーライル ニューヨークが恋したホテル
制作年: 2018数々のセレブたちから愛されてきたニューヨークの五つ星ホテル“ザ・カーライル ア ローズウッド ホテル”の魅力に迫るドキュメンタリー。ジョージ・クルーニー、ソフィア・コッポラなど、総勢38名のセレブが“秘密の宮殿”カーライルの魅力を語る。監督は「ティファニー ニューヨーク五番街の秘密」など、ニューヨークの老舗を対象にドキュメンタリーを手掛けるマシュー・ミーレー。44点 -
カフェ・ソサエティ
制作年: 20161930年代のハリウッドを舞台に、ウディ・アレンが紡ぎ出すロマンティック・コメディー。映画業界で働くことを夢見る平凡な青年ボビー。業界の敏腕エージェントである叔父のもとで働き始めた彼は、叔父の秘書を務めるヴォニーの美しさに心を奪われてしまい……。出演は「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」のジェシー・アイゼンバーグ、「アクトレス 女たちの舞台」のクリステン・スチュワート、「ロスト・バケーション」のブレイク・ライブリー、「フォックスキャッチャー」のスティーヴ・カレル、「教授のおかしな妄想殺人」のパーカー・ポージー。撮影監督は「地獄の黙示録」「ラストエンペラー」のヴィットリオ・ストラーロ。70点