岩松了 イワマツリョウ

  • 出身地:長崎県川棚町
  • 生年月日:1952/03/26

略歴 / Brief history

長崎県川棚町の生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシア語学科在学中より演劇に携わり、1975年に大学を中退後、劇団“自由劇場”に入団。78年、自由劇場出身の柄本明らと劇団“東京乾電池”を旗揚げ、作・演出を担当して、89年の『蒲団と達磨』で岸田國士戯曲賞を受賞する。92年の脱退後も“竹中直人の会”や自身の公演を手がけ、94年に『こわれゆく男』『鳩を飼う姉妹』で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。その間、森田芳光総指揮のオムニバス「バカヤロー!2・幸せになりたい」89の第3話「新しさについていけない」で映画監督デビューし、93年の「お墓と離婚」では初の長篇にも挑んだ。97年の竹中直人監督「東京日和」では脚本を担当し、日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。また、俳優としても市川準監督「会社物語」88以降、多くの映画、テレビドラマに出演する。当初は、竹中監督「無能の人」91、「119」94、柄本明監督「空がこんなに青いわけがない」93など友情出演的なものが多かったが、淡々と悪意をぶつける産婦人科医を妙演した橋口亮輔監督「ハッシュ!」02など、常識人ふうの外見に狂気や愛嬌を秘めた独特の個性で、次第に頭角を現す。とりわけ三木聡監督とは、2004年に撮影された「ダメジン」以降、平凡な主婦を不思議な世界に導く自称スパイを快演した「亀は意外と速く泳ぐ」05、“妻殺し”をコミカルに彩る「転々」07や、テレビ朝日『時効警察』06、『熱海の捜査官』10などのテレビドラマまで緊密な関係を築いた。ほか、突飛な設定に潜むリアルさを不気味に体現した渡辺謙作監督「となり町戦争」07、酒癖は悪いが憎めないヒロインの叔父を好演した石井裕也監督「川の底からこんにちは」10や、フジテレビ『のだめカンタービレ』06、『外交官・黒田康作』11、NHK『監査法人』08、『天地人』09などのドラマ、さらに『アジアの女』06、『中国の不思議な役人』09などの舞台と、幅広く活躍を続ける。08年に長篇第2作の「たみおのしあわせ」を監督。

岩松了の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 若武者

    制作年: 2024
    「逃げきれた夢」で2018年第19回東京フィルメックス新人監督賞グランプリを獲得した二ノ宮隆太郎監督が、人生への疑問を抱く3人の若者を活写した人間ドラマ。幼馴染の渉、英治、光則は“世直し”と称し些細な違反や差別に対して無軌道に牙を剥いていき……。義父に対する深い憎しみを秘める渉を「フタリノセカイ」の坂東龍汰が、人の負の感情に愉悦を覚える傾向がある英治を「誰が為に花は咲く」の高橋里恩が、一見温厚そうながら周囲を鈍い視線で見つめる光則を「ある女工記」の清水尚弥が演じる。映画制作プロダクションのコギトワークスと動画配信サービスU-NEXT による映画レーベル「New Counter Films」の第1弾作品。
  • コーポ・ア・コーポ

    制作年: 2023
    大阪にある安アパートの住人たちを取り巻く人間模様を綴った同名漫画を実写映画化。フリーターのユリ、女性に貢がせている中条、肉体労働者の石田、初老の宮地らが暮らす下町の安アパート『コーポ』。ある日、住人の山口が首を吊って死んでいるのを見つける。出演は、「ひとりぼっちじゃない」の馬場ふみか、「Winny」の東出昌大、「こいびとのみつけかた」の倉悠貴、「武士の一分」の笹野高史。監督は、「燃えよ!失敗女子」の仁同正明。
  • サバカン SABAKAN

    制作年: 2022
    「ミッドナイトスワン」のCULENが手掛けた青春ドラマ。舞台は1986年の長崎。小学5年生の久田は、家が貧しく同級生から避けられている竹本とともに、イルカを見るためにブーメラン島を目指すことに。この冒険をきっかけに二人の友情が深まるが……。出演は、ドラマ『おかえりモネ』の番家一路、本作が映画デビューとなる原田琥之佑、「台風家族」の尾野真千子、「永い言い訳」の竹原ピストル、「総理の夫」の貫地谷しほり、「ミッドナイトスワン」の草なぎ剛。監督・脚本は、ドラマ『半沢直樹』の脚本を手掛けた金沢知樹。
  • コンビニエンス・ストーリー

    制作年: 2022
    「大怪獣のあとしまつ」の三木聡監督による異世界アドベンチャー。スランプに陥り悶々と悩む日々を過ごす若手脚本家・加藤は、ひょんなことから欲しいものがなんでも見つかるコンビニエンス・ストア“リソーマート”に迷い込み、怪しげな人妻・惠子と出会う。出演は、「ニワトリ・フェニックス」の成田凌、「葬式の名人」の前田敦子、「すばらしき世界」の六角精児、「フタリノセカイ」の片山友希。
  • 大怪獣のあとしまつ

    制作年: 2022
    特撮映画でお馴染みの巨大怪獣。その死体が国家を危機に陥れるとしたら……。前代未聞の「あとしまつ」を描く空想特撮エンターテイメント。監督・脚本は『時効警察』シリーズや、「転々」「俺俺」の三木聡。松竹と東映が創立以来、初タッグを組んだ共同幹事・配給作品。大怪獣の死体のガス爆発を止めるべく究極の難題に挑む特務隊員・帯刀アラタに山田涼介。彼を見守る環境大臣秘書官・雨音ユキノを土屋太鳳、総理秘書官として暗躍する雨音正彦を濱田岳、元・特務隊で爆破のプロであるブルース(本名:青島涼)をオダギリジョー、そして内閣総理大臣・西大立目完に西田敏行。特撮監督は「仮面ライダー」シリーズの佛田洋。大怪獣の造形は「平成ゴジラ」や「ウルトラマン」シリーズの若狭新一が手掛ける。また、VFXプロデューサーを「男たちの大和/YAMATO」などの野口光一が務め、特撮映画のドリームチームが実現した。
  • 護られなかった者たちへ

    制作年: 2021
    中山七里の新聞連載小説を瀬々敬久監督が映画化した社会派ミステリー。東日本大震災から10年目の仙台で、手足を縛られて餓死するという連続殺人事件が発生。被害者はみな人格者だったとの評判で犯人の動機すらつかめない。刑事の苫篠はある男に目を付ける。連続殺人事件の捜査線上に浮かび上がる主人公・利根を演じるのは、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」以来の瀬々組となる佐藤健。過去に起こした事件で服役し、出所したばかりだが、なにかを思い詰めてている。そんな利根を追い詰める刑事・笘篠を演じるのは佐藤健と10年ぶりのタッグを組む阿部寛。緻密な捜査を重ねながらも決定的な証拠がつかめないまま、第三の事件の予感に焦りを感じる。なぜ、被害者は無残な殺され方をされねばならなかったのか。利根の過去には何があったのか。さまざまな想いが交錯する中、やがて事件の裏に隠された、切なくも衝撃の真実が明らかになっていく……。
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