堤真一 ツツミシンイチ

  • 出身地:兵庫県西宮市
  • 生年月日:1964/07/07

略歴 / Brief history

兵庫県西宮市の生まれ。市立西宮東高校を卒業後、千葉真一主宰の“ジャパンアクションクラブ(JAC)”に入り、真田広之の付き人をつとめる。1984年、千葉演出の『ゆかいな海賊大冒険』で初舞台。翌年には坂東玉三郎主演の『天守物語』などの舞台やNHKのドラマ『オアシスを求めて』に出演し、真田主演の井筒和幸監督「犬死にせしもの」86でチンピラ役を演じて、映画デビューを果たす。その後、JACを退団し、森田芳光総指揮のオムニバス「バカヤロー!2・幸せになりたい。」89の第2話「こわいお客様がイヤだ」にもコンビニ店員役で出演したが、初期の活動はあくまで舞台が中心で、デヴィッド・ルヴォー演出『双頭の鷲』90・94、『テレーズ・ラカン』93・98、『マクベス』96に連続出演したのをはじめ、野田秀樹演出『真夏の世の夢』92、『キル』94・97、アラン・アッカーマン演出『娘に祈りを』98、『橋からの眺め』99など、大物演出家に次々と起用されて演技力を磨いていった。97年、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。舞台と並行して、テレビドラマにも比較的早くから顔を出し、87年のNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』に蘆名義広役で出演。その後も『武田信玄』88、『翔ぶが如く』90、『八代将軍吉宗』95、『元禄繚乱』99と大河ドラマにはたびたび出演しているが、堤の名を世に知らしめたのは、民放連続ドラマの初レギュラーで、いきなり準主役に起用された96年のフジテレビ『ピュア』だった。ここで、和久井映見演じる知的障害者のヒロインと交流を深めていくフリー記者の沢渡徹役を好演。一躍、全国区の人気を獲得する。99年のTBS『ザ・ドクター』で患者思いの心優しい医師・麻生一真役を演じて、連ドラ初主演。続く2000年のフジテレビ『やまとなでしこ』では、松嶋菜々子演じる拝金主義のヒロイン・桜子と合コンで知り合い、医者だと偽って付き合うことになってしまう魚屋の男性・欧介を、誠実な等身大のキャラクターとして造形し、絶大な支持を得た。その後も、フジテレビ『恋ノチカラ』02、『ビギナー』03、『恋におちたら・僕の成功の秘密』05、NHK大河ドラマ『武蔵/MUSASHI』03、TBS『GOOD LUCK!!』03、『セーラー服と機関銃』06など多数のドラマに出演を重ねる。その間、映画では96年のSABU監督のデビュー作「弾丸ランナー」に主演し、銀行強盗未遂犯の田口トモロヲ、薬物依存症のコンビニ店員のダイアモンド☆ユカイとともに、ひょんなことから追いかけっこを展開するやくざの武田をアクティブに演じる。SABUの監督作品では、以後も「ポストマン・ブルース」97、「アンラッキー・モンキー」98、「MONDAY」00、「DRIVE」02と連続して主演をつとめ、いずれもトラブルに巻き込まれたり窮地に陥ったりする不運な男の悲喜劇を描き、実直さ、生真面目さが笑いを誘うという堤の逆説的な演技が光る。05年には、直木賞作家の金城一紀が原作・脚本をつとめ、岡田准一が主演した成島出監督「フライ,ダディ,フライ」05に助演。娘に暴力をふるった高校生ボクサーに復讐するため、在日高校生の主人公からケンカの特訓を受ける平凡なサラリーマンの鈴木役で、JAC仕込みのアクションも披露した。昭和30年代の東京を舞台にした山崎貴監督「ALWAYS/三丁目の夕日」05では、心温かく威勢のいい下町の自動車工場社長を熱演して日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞。また、「フライ,ダディ,フライ」と併せて、キネマ旬報賞、ブルーリボン賞、報知映画賞など、この年の助演男優賞を総なめにする。大ヒットを受けて、07年に続編「ALWAYS/続・三丁目の夕日」も作られたこの作品で、名実ともに日本映画界の名優の位置に仲間入りを果たしたと言える。以後も、篠原哲雄監督「地下鉄(メトロ)に乗って」06、水田伸生監督「舞妓Haaaan!!!」07などを経て、08年に出演した原田眞人監督「クライマーズ・ハイ」、西谷弘監督「容疑者Xの献身」の2作で報知映画賞の主演男優賞を受賞。脳死肝移植というタブーに挑む医師を重厚に演じた成島監督「孤高のメス」10では、毎日映画コンクールの男優主演賞に輝いた。金城一紀脚本、岡田准一主演と「フライ,ダディ,フライ」のトリオが再結集したフジテレビのドラマ『SP/警視庁警備部警護課第四係』07ではさらに深化したアクションが展開され、堤は岡田演じる主人公のSP(警備警察官)の上司である尾形総一郎役に扮し、完結編となる映画版「SP/野望篇」10、「SP/革命篇」11の2作でも続けて同じ役を演じ、大ヒットに貢献した。また、自身にとっても「原点」だと語る舞台にも、いのうえひでのり演出『野獣郎見参』01、『吉原御免状』05、蜷川幸雄演出『欲望という名の電車』02、『タンゴ・冬の終わりに』06、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出『労働者M』06、千葉哲也演出「アット・ホーム・アット・ザ・ズー」10などに、毎年のように出演を重ねている。12年公開予定のシリーズ第3作「ALWAYS/三丁目の夕日'64」、森義隆監督「宇宙兄弟」の2作が待機中。

堤真一の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 旅と日々

    制作年: 2025
    国内外で注目を集める三宅唱監督が、シム・ウンギョン、堤真一を迎えて、主人公の旅と旅先での出会いを描く。原作はつげ義春の『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』。
  • 木の上の軍隊

    制作年: 2025
    終戦を知らずに2年間、沖縄のガジュマルの木の上で生き抜いたふたりの日本兵の実話を基にした、井上ひさし原案による同名舞台劇を映画化。1945年、沖縄・伊江島。日本軍が壊滅的な打撃を受けるなか、上官・山下と地元沖縄出身の新兵・安慶名は森の中に逃げ込む。出演は「望み」の堤真一、「夜、鳥たちが啼く」の山田裕貴。監督・脚本は「ミラクルシティコザ」の平一紘。
  • ババンババンバンバンパイア

    制作年: 2025
    奥嶋ひろまさによる同名人気漫画を「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の吉沢亮主演で実写映画化。銭湯で働く森蘭丸、その正体は450歳のバンパイア。究極の味わいである“18歳童貞の血”を求める蘭丸は、銭湯の一人息子・立野李仁の純潔を見守る日々だったが、その安寧に危機が訪れる。共演は「ブルーピリオド」の板垣李光人、「ミステリと言う勿れ」の原菜乃華。監督は「一度死んでみた」の浜崎慎治。
  • 室町無頼

    制作年: 2025
    室町時代中期に徳政一揆を起こした蓮田兵衛の戦いを描いた直木賞作家・垣根涼介による同名時代小説を、「あんのこと」の入江悠監督、「ディア・ファミリー」の大泉洋主演で映画化したアクション時代劇。大飢饉と疫病が国を襲うなか、兵衛は無頼どもを率いて幕府軍に挑む。蓮田兵衛を演じた大泉洋は本格的な殺陣・アクションに初挑戦。無敵の棒術を身につけ戦う才蔵をアイドルグループなにわ男子の長尾謙杜が、兵衛の宿敵となる骨皮道賢を「おまえの罪を自白しろ」の堤真一が演じる。
  • ゲキ×シネ「吉原御免状」

    制作年: 2024
    劇団☆新感線の話題の舞台を映画館で上映する『ゲキ×シネ』20周年記念プロジェクト第6弾。隆慶一郎原作の伝奇時代小説『吉原御免状』を基にした2005年上演作を映像化。青年剣士・松永誠一郎が、吉原設立にまつわる神君御免状を巡り、闘いを繰り広げる。出演は「おまえの罪を自白しろ」の堤真一、「甘いお酒でうがい」の松雪泰子、「ヴィレッジ」の古田新太。
  • おまえの罪を自白しろ

    制作年: 2023
    真保裕一の同名小説を映画化したタイムリミットサスペンス。国会議員・宇田清治郎の孫娘誘拐事件が発生。犯人は、“明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ”と要求してくる。清治郎の秘書を務める息子・晄司は事件解決に奔走するが……。出演は「ラーゲリより愛を込めて」の中島健人、「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」の堤真一。監督は「アイ・アム まきもと」の水田伸生。
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