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  •   現在、大ヒット上映中の「Dr.コトー診療所」は、2003年から2006年にかけて放送された人気テレビシリーズの16年ぶりの続篇でい、コトー先生演じる吉岡秀隆をはじめ、レギュラー陣が全員再結集したのが、この映画の大きな魅力の一つとなっている。すでに俳優を引退していた原剛洋役の富岡涼も例外ではない。彼はこの映画のためだけに、俳優として復活した。その貴重な富岡涼さんのロングインタビュー【全3章】をお届けする。共演者との再会風景、作品に懸ける想い、役への理解など、16年後の剛洋を演じた富岡さんの心境をたっぷり伺った。(取材・文=前野裕一) ※この文章は、映画の重要な展開に触れています。 映画で描かれる 16年後の剛洋の現在…… ──剛洋くんは、小学生のときに島を出て東京に行き、医者になるための勉強に邁進します。ところが16年後、彼はそこから脱落していた。この脚本を読んだとき、富岡さんはどう思われましたか。 富岡 悪い意味ではなく、こういうこともあるだろうなって。みんながみんな、思うようになるわけではない。撮影中に吉岡さんともお話ししていたんですけど、やっぱり小さい頃にお母さんがいなくて、お父さんから厳しく育てられて、そんな中で、一つの夢を持って医師になることを志すけど、家には潤沢なお金があるわけでもない。それでもお父さんは必死にがんばって学費を工面し、剛洋も努力して名門の私立中学に入学するのですが、勉強についていけなかったりして……。 ──「Dr.コトー診療所2006」にその描写がありますね。 富岡 努力に努力を重ねても、自分が望むようにならない人ってたくさんいると思うし、自分の周りでもそういう人を見ているので、本当に人生はそうだよなって。でもそうであっても、そこで終わりじゃない。それでもなんとか乗り越えて、人間は生きていかなきゃいけない、というのが「Dr.コトー診療所」という作品なんだと思うんです。 ──この作品は、島の人たちの繋がりとか温かさを描く一方で、きびしい現実を見つめる視点がしっかりあると思います。それは今回の映画にもあって、剛洋にも「現実」が突きつけられる。しかも、医師になる勉強を断念してしまうだけでなく、受付のアルバイトをしていたクリニックで医療事故が起こり、自分は医師ではないので何もすることができず、その患者が死んでしまうという事態に直面する。彼は、夢がやぶれるかたちで島に帰ってきても、みんなから「期待の星」と思われているから、故郷であっても彼の居場所はない。これがきついなって。 富岡 本当にそうなんですよね。どんな顔をして島にいればいいのかわからない。多分、東京にいたときもずっと悩んでいて、気がついたら船に乗って島に帰ってきてしまった。でも、そこで島の人たちの温かさに触れて、逆に心がやられてしまって。 ──しかも、みなさん、善意。サプライズで歓迎会まで開いてくれて。 富岡 あれ、本当に苦しいですよね(笑)。 ──どんどん追い込まれてしまう。 富岡 だから、彼がそこを抜けて行く先は、お母さんのお墓なんです。 ──それが非常に切なくて……。 富岡 さらに診療所に行くわけです。そこで、これまでの悩みをコトー先生に打ち明けると、厳しいことを言われる。「医者じゃないから人を救えなかったって本当にそう思ったなら、よかったよ、君は医者にならなくて」。 ──剛洋としては……。 富岡 ものすごく苦しいですよね。お母さんのお墓に行って、うまくいかなかった今までの思いをいろいろと話す。だけど剛洋のことだから、多分、悪いのは自分だと思っているんですよ。自分の不甲斐なさを悔いてもいる。だけど、彼も人間なんで、コトー先生には、ちょっと優しい言葉をかけてもらいたいという思いもあったと思うんです。 ──それは当然のことでしょう。 富岡 だけど、あのやさしいコトー先生にも、厳しい言葉を投げかけられてしまい、つらいことの連続だ、と。でも、剛洋は真面目なので、どうしたらいいのかを1から考え直す。そして、もう一度ちゃんとやり直さなきゃいけない、ここが踏ん張りどころだ、って。そういう強さがあったからこそ、その後、大学に戻って、もう一度やり直そうとしたのだと思います。   ──剛洋が診療所の外に出て、“ドクターコトー診療所”と書かれた旗を見ますね。すると彩佳さんが話しかけてきて「あの旗は和田さんのところの子どもたちがリニューアルしてくれたの」って説明する。最初に作ったのは剛洋やクニちゃんたちなんですよね。どんな気持ちでしたか。 富岡 自分自身も剛洋と同じ気持ちで眺めちゃいましたね。複雑でした。「2003」だから19年前、剛洋は笑顔で、「先生、見て、見て。クニちゃんと一緒に作ったよ」ってみんなニコニコして(笑)。「五島」が「コトー」になっていて、先生だけが「いや、名前、違うんだけどなあ」って。 ──そうそう(笑)。 富岡 そういう、活気あふれる島の人たちと打ち解ける第一歩みたいな状態があった。それを作ったはずなのに、今の自分は……みたいな。その剛洋の気持ちを考えると、自分まで複雑な気持ちになってきちゃって。 ──ここでの中江監督の演出も素晴らしい。安易な演出なら、ここでドラマのその一場面を回想として挿入してしまいそう。そうすると「説明」にはなるけれど、深さが出ない。映画では「見つめること」が重要だから、安易な説明にはせずに、中江監督はそれを富岡さんの演技に託した。そして富岡さんは見事にそれに応えた。 富岡 いやあー(笑)。まあそうなんですが……、そこまでできたかはわかりませんが。 ──言葉にできない剛洋の気持ちはしっかり伝わっていました。   怪我をしている父親に声をかけられない 剛洋と剛利、親子の物語 ──父と息子の話に戻るのですが、先ほど、富岡さんが言われたように、この状況に母親がいるとまたちょっと違ってくるんだろうなっていう感じがします。 富岡 確かにそうですね。 ──男二人、無言で食事をしたり、一人で食器を洗っているお父さんの背中を剛洋が見たりする。ここでも剛洋の気持ちが、言葉がなくても本当に手に取るようにわかります。 富岡 背中を見ているけど声をかけられない、怪我している父に「大丈夫?」とは聞けない。それはお父さんも同じで、剛洋を心配してはいるけど、「お前は忙しいんだから、東京に帰れ」と言う。冷たいわけではないんだけど、昔から変わらない距離感がある。ドラマシリーズのときに、剛洋が、「お母さんのこと覚えてるか」ってお父さんに聞かれて、「すごく優しい顔してた」と言う。やっぱりお母さんがいるとまた違ったかたちで成長していたんだろうなと思います。 でも逆に、それがなくて厳しく育てたからこそ、人のことを心配する優しい気持ちを持った人間にもなれた。だからこそ、医者を目指したいと思うようになったこともあるのかなって、吉岡さんとも話しました。 ──今回、剛利さんは冒頭で怪我をして自由に動けないこともあり、以前の強い漁師というイメージと変わって弱々しい感じもあります。息子として、老いた父親を見るのはどんな気持ちですか。 富岡 やっぱり心に来るものがありますよね。自分自身も、それこそ「コトー」のテレビシリーズを撮影していたときの自分の父の姿と、今の父を見ていると、自分が20年経っている分、父も20年、歳を重ねているわけです。ああ時間が経ったな、という感慨を抱きます。特に剛利さんの場合は、昔が強いイメージで、あんなに大きくて、シゲさんとやりあったりして(笑)、強い漁師のお父さんを小さい頃から見ているから、怪我して動けなくなっちゃって悩んでいるお父さんを見るのがつらい。お父さんも、そんな弱いところを、息子には見せたくないって思っていることを剛洋は感じているから、余計に声をかけられない。でも、本当に良くなってほしいとは願っている。本当につらい一家ですよね。 ──だからこそ、剛利さんが言葉少なく剛洋に「ここはお前のうちだ。部屋もそのままにしてある」って話すシーンが感動的なんです。 富岡 はい。 ──今回の映画を見て、「Dr.コトー診療所」という作品は、剛利と剛洋の父子の物語もしっかり描いていると、改めて感銘を受けました。 【第3章へ続く】   Ⓒ山田貴敏 Ⓒ2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会 「Dr.コトー診療所」は全国東宝系にて公開中。 『キネマ旬報』1月上・下旬合併号では「Dr.コトー診療所」を大特集。吉岡秀隆(ロング)、柴咲コウ、時任三郎、大塚寧々、筧利夫、朝加真由美、泉谷しげる、小林薫、中江功監督(ロング)のインタビューを掲載。くわしくは KINEJUN ONLINE にて。
  •   現在、大ヒット上映中の「Dr.コトー診療所」は、2003年から2006年にかけて放送された人気テレビシリーズの16年ぶりの続篇で、コトー先生演じる吉岡秀隆をはじめ、レギュラー陣が全員再結集したのが、この映画の大きな魅力の一つとなっている。すでに俳優を引退していた原剛洋役の富岡涼も例外ではない。彼はこの映画のためだけに、俳優として復活した。その貴重な富岡涼さんのロングインタビュー【全3章】をお届けする。共演者との再会風景、作品に懸ける想い、役への理解など、16年後の剛洋を演じた富岡さんの心境をたっぷり伺った。(取材・文=前野裕一) ※この文章は、映画の重要な展開に触れています。 まさかの続篇 まさかの出演依頼 難しいと思いきや、会社は快諾! ──富岡さんは「Dr.コトー診療所2006」のあと俳優業をやめられているのですが、今回の出演依頼があったときは、どんなお気持ちでしたか。 富岡 驚きました。えっ、まさか、やるんだ……って。コトーの「2006」が終わってから何年かは、「続きがあるのかな」って考えたりもしていたのですが、さすがに16年も経っていましたからね。周りの人から「コトーはもうやらないの?」って聞かれることが多かったんですが、「いやあ、もうないんじゃないですか」みたいな話はしていました。だから、製作発表のニュースを見た皆さんが驚いたのと同じぐらい、自分も驚きを感じていました。 ──そのニュースが出たとき、「剛洋はどうなるんだ⁉」ってファンの人たちの心配の声が多かったようですが……。 富岡 そうみたいですね(笑)。 ──しかし、中江監督から出演依頼があっても、富岡さんとしては現在違う仕事をされているので、簡単に引き受けられる立場ではないですよね。 富岡 はい、だから悩みました。もちろん出たい気持ちは強くありましたが、やっぱり会社を長期間休まないといけなくなるわけですし……。監督からお話を伺って、会社の人に相談したら「それは本当にいい話だよ」と。監督が会社にご挨拶に来てくださったときも、「ぜひやりなよ」と言ってもらえて。 [caption id="attachment_20853" align="aligncenter" width="1024"] 撮影中の中江功監督[/caption] ──それは会社の方に感謝するしかないですね、我々ファンとしては(笑)。 富岡 はい、僕も同じ気持ちでした。 ──あの、会社の上層部の方が「コトー」ファンだったとか(笑)。 富岡 いやいや、そうではなくて(笑)、「そんな貴重な体験はなかなかできないから、自分のためにもなるし、いい経験になるはずだから行ってきなさい」って。 ──いい会社ですねえ。素晴らしい英断です。 富岡 (笑)。 ──吉岡さんとは数年前に再会していたそうですが。 富岡 6、7年前ぐらいに一緒にお食事をして。吉岡さんが「コトーの続篇をやるんだったら、また出る?」とかおっしゃって「やるとなったら、どんな話だろうね」「何か突拍子もない感じになったりするのかな」なんて話をしました。出演に関しては、僕はそのときは、「うーん」って感じでしたね。「島のみんながどんな生活をしているのかは気になりますけど、僕はもう(俳優を)やめているし……」みたいな話をした記憶があります。 ──しかし、その後、今回の映画の企画が成立して、富岡さんも出られることになったわけですよね。共演者の方たちとの顔合わせをしたのは、どのタイミングだったのですか。 富岡 結構バラバラでしたが、顔合わせ、ホン読みのときに、多くの方にはお会いできました。柴咲さんは、ロケ地でのリハーサルで最初にお会いしました。 ──どんなお気持ちでしたか。 富岡 ホン読みの日はものすごく緊張しました。予定の時間よりものすごく早くスタジオに着いて、一人でドキドキしながらスタジオの片隅に座って待っていました。いろんなことを考えると余計に緊張して、それを紛らわすためにお水をたくさん飲む、みたいな(笑)。 ──わかる気がします(笑)。 富岡 その後、みなさんが続々といらっしゃって。本当にドキドキした感じですね。 ──どんな反応だったんですか。 富岡 皆さんが「わあー」「大きくなったなあ」「『コトー』終わった後、仕事やめちゃったんでしょ」って(笑)。山西(惇)さんと船木(誠勝)さんが、「オーッ、久しぶり」って感じで手をあげて声かけていただいて。 ──その光景はまさにドラマの一場面みたいですね。 富岡 本当にそんな感じでした(笑)。 ──メイキング、入っていないんですか。見たい(笑)。 富岡 僕の緊張が一瞬でほぐれるくらい、みなさんから温かく声をかけていただいて。   剛洋と剛利 時任三郎さんとの再会 [caption id="attachment_20995" align="aligncenter" width="2000"] 撮影現場での記念撮影。吉岡秀隆さん、時任三郎さん、富岡涼さん[/caption] 富岡涼演じる原剛洋は、漁師の父・剛利(時任三郎)と二人家族。彼の母親は、剛洋が幼い頃、当時の島の医者の誤診が原因で病死している。以後、剛利は、どんな医師が赴任しても“島の医師”を信用しない。それどころか憎んでいる。五島先生(コトー先生)が志木那島にやってきたときも、反感を持ち続けていた。一方、剛洋は急性虫垂炎で死にそうなところをコトー先生に救ってもらったこともあり、彼を慕い、やがてはコトー先生のような医師になりたいと思う。そのことを苦々しく思っていた剛利も、剛洋の想いが本気であることがわかると応援するようになる。 ──再び原剛洋を演じるにあたり、これまでのドラマシリーズを見直したりしましたか。 富岡 第1シーズンの第1話から全部見直して、感動していました(笑)。 ──吉岡さんのお話ですと、富岡さんは「コトー博士」と思えるくらい、ものすごく詳しいとか。 富岡 いやいや、そんなことないです(笑)。ただ思い出として、「コトー」の撮影現場では、こんなことや、あんなことがあったなって。撮影期間が長かったですし、自分も剛洋と同じ年齢で成長していく中で、毎年のように共演の皆さんにお会いして撮影していくのが、青春時代の思い出じゃないけど、幼少期の思い出として深く残っているんです。 ──特に感受性が強い子どもの頃だと、よく覚えていますよね。 富岡 そうなんです。非日常的な出来事だし、沖縄に行って、そこでしばらく生活しながらロケをした日々は、強烈でしたね。 ──そうそう、この人を忘れてはいけない。お父さんの原剛利役の時任三郎さんと再会されたときは、どうでしたか。 富岡 東京での衣裳合せで最初にお会いしましたが、相変わらず背が高いし、優しくて柔らかい雰囲気で「大きくなったね」「いま何してるの?」って話しかけてくださって。普段の時任さんは寡黙な剛利さんと違ってすごく気さくで、面白さ全開って感じで(笑)。僕は久しぶりなのでちょっと緊張しながらも、大きな優しさを感じていていました。ここは剛洋とお父さんとの距離と同じだなって。 ──劇中の剛利さんは、剛洋くんに対して厳しいというか、現代の父と子の関係としては、ちょっと違う感じはありますよね。 富岡 そうなんですね。剛利さんの性格もあるでしょうが、剛洋が小さい頃に奥さんを亡くされて、男手一つで男の子を育てていくには、甘やかしてはいけない、厳しく育てないといけないという思いもあったんだと思います。ただ息子の願いを叶えるために必死でお金を貯めて医学の道に進学させるわけですが、そんなことは並大抵にできるものではない。だから、息子のことを思っていて、優しいんですけど不器用なところがある。剛洋もまた不器用なので、二人にはある距離があるんだけど、本当はずっと繋がっている父と子なんです。 ──だからなのか、剛洋くんは剛利さんに、普通に子どもが父親に甘える感じがちょっとないですよね。 富岡 そうなんです。剛洋はどう甘えていいかわからないし、お父さんも甘えられたらどうしたらいいかわからない感じがある。 ──それが、今回の映画にも丁寧に描かれていることに、非常に感銘を受けたのですが、それについてはのちほど詳しく。  【第2章へ続く】   Ⓒ山田貴敏 Ⓒ2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会 「Dr.コトー診療所」は全国東宝系にて公開中。 『キネマ旬報』1月上・下旬合併号では「Dr.コトー診療所」を大特集。吉岡秀隆(ロング)、柴咲コウ、時任三郎、大塚寧々、筧利夫、朝加真由美、泉谷しげる、小林薫、中江功監督(ロング)のインタビューを掲載。くわしくは KINEJUN ONLINE にて。
  • [caption id="attachment_20335" align="aligncenter" width="1024"] 左:池田さん、中央:大間知さん、右:取材にご協力頂いたTMS代表の松澤さん[/caption] スマートフォンの普及で常に動画が観られる環境になり、YouTubeやTikTokなどで自ら映像コンテンツを配信できるし、Amazonプライム・ビデオやNetflixでいつでも好きな映像作品が観られる。当たり前のように身近に映像コンテンツが溢れている今、映像や映画が好きで、もしも作ることを職業にしたい、と思ったら、みんなどうしているんだろう。 今回は映画・映像業界へ就職するために、映像制作を実践的に教えているTMS東京映画映像学校で、その道へ踏み出そうとしている二人に話を聞くことにした。 インタビュー前に授業を見学 インタビューの前に、少し授業を見学させてもらった。「MV実践」で、現役の講師が手掛けたドラマのエンディング映像を見ながら、音楽と映像を合わせていった過程を解説する。アップテンポに合わせて目まぐるしく映像が変わり、曲調に合う色合いがふわっと変遷していく。 「歌詞によって映像の雰囲気を変えたりしますか?」「うーん、僕は歌詞は意識しない。曲調だけで合う映像の入れ方を考えるかな」「曲先ですか?」「うん、曲をもらって、最初のイメージから構想していく」質疑応答がとても実践的。こんなふうに、プロとして手掛けるための技術や理論、マインドが毎時間作られていくんだ……と実感。 カメラ、編集、照明、録音からプレゼンまで、現場参加以前に様々な知識を習得する。もうすぐ実際にやるんだ、と感じないとこんな質問も浮かばないだろうなーと、衝撃を受けた。 いつかは監督作を撮れるカメラマンに [caption id="attachment_20339" align="aligncenter" width="1024"] いつかは海外で映画を撮りたい!プロカメラマンを目指す池田啓将さん[/caption] 池田啓将さん(25歳)は、大学卒業後、3年の商社勤務を経て、映像制作の道に進もうという目標を抱く。 「もともと映像は好きだったけど、社会人になってから自分の時間・仕事について考えたとき、今の仕事で定年までできるイメージが持てなくて。楽しいこと・好きなことでがんばれたらいいなと」 目指すは撮影監督。映像を1から学びたかったので、TMS東京映画映像学校で学び始めた。1年制で、基礎技術の講義と数多くの現場で体験を踏むことで学んでいく。課題作品や擬似体験ではなく、実際の映画やドラマ、CMやMVの制作現場に参加する。「見学」ではなく、指示を受けながら作業をする。ギャラも支払われる。それが、他の映画映像専門学校と大きく異なるところだ。参加することで覚えてもらえて、プロとの人脈と実績を得ることができる。 だけど、撮影現場に、取材じゃなく、見学でもなく、スタッフとして参加するって、いったいどんなものなんだろう? いまいちイメージがわかなくて、池田さんが現場に行ったときの話を聞いてみる。 池田さんが、講師で現役カメラマンに付いて最初に行ったのが、マクドナルドのハッピーセットのCM撮影。プロのカメラマンによるワンカットワンカットに迫力があり、その所作のカッコよさにとときめいたという。 「『何かやることないですか?』と。とにかくいろんなこと手伝いながら、機材周りについて教えてもらいました。初めての現場は緊張したけど楽しかった」 Netflixのドラマ『First Love 初恋』の現場にインターンとして参加した時は、 「全キャストが来られたんですけど、女優さんのお顔が小さくてきれいで……まぶしくて見られなかったです(笑)」 卒業を前に、機材レンタルが中心で撮影部のある『小輝日文』に就職が決まった。 「しっかり教育されて、でも自分の個性はしっかり伸ばしてもらえてよかった。クリエイティブ性のみを追求するタイプの学校もあるけど、ぼくはクリエイターというよりは職人になりたかったから」 と語る池田さん。職人あっての作品、職人なしでは、世の中のもの何一つできない。 「撮るだけじゃなく構成も考えられるようになって、いつか映画を一本撮れるカメラマンになりたい。日常会話くらいだけど英語はできるので、いつかは海外で映画を撮りたいです!」 照れ笑いしながらも本気度つよめの夢を語る顔が、現場で実習を重ねた自信と期待に輝く。 ドキュメンタリーからドラマでメッセージが伝えられたら [caption id="attachment_20340" align="aligncenter" width="1024"] 「映像を仕事にしたい」という目標を叶えた、ディレクター志望の大間知あかねさん[/caption] 池田さんのクラスメイト、大間知(おおまち)あかねさん(23歳)は、大学で就職時期を迎えた時、「映像を仕事にしたい」と思った。 「9年くらい演劇をやっていたんですけど、映像はそれまで勉強したことがなくて。1から勉強しなきゃ、しっかり現場に行って、いろんな職種を体験してみたい、と」 企業の依頼によりSNSにあげる映像の撮影など、数えきれないほどの現場を体験した。印象的だったのが、1カ月間のロケで携わった「ミール部」つまり「食事担当」。AppleTVのドラマロケの間、スタッフの食事・飲み物を用意する。 「スタッフさんの数が多いので、顔と名前を覚えて、この方はこれが好き、と覚えるのが大変で。チーフは現場が忙しくて、まとまって研修の時間は取れないんですけど、仕事をしながら『これはこうだよ』と教えてくださって、だんだんと慣れていきました。最初はたくさんやらかしましたけど(笑)」 ドキュメンタリー作品が好きでディレクターを志望、ノンフィクションを得意とする『テレコムスタッフ』に入社が決まっている。 「まずはノンフィクションの演出方法をしっかり自分のものにしたい。そしてノンフィクションのための取材をしていくうちに作りたい物語も見えてくるかもしれない、と思うんです。作りたいストーリーが浮かんだら、企画を立てて作品を撮りたい。メッセージ性のあるものって、ストーリーがある方が、時には報道よりも感情を動かし共感を呼ぶこともあると思うから」 そういう思いを具現化するために、現役の講師の方が見せるオペレーションに学び、実施を重ねてつかんできたのだろう。 「ここまで現場の数をこなしてる学生はなかなか見ないと面接で言われたので、そこが大きかったと思います」 現場でつかむ実績は、想像を遥かに超えて、大きく貴重、そして強力。 「好きだったらがんばれると思う。好きじゃなかったら厳しい。現場を見せてもらって『これがプロのやり方なんだ』って感じた」と振り返る池田さん。「イメージと、実際働くのは結構違う部分がある、でもやってみないとそれってわからないですね」と話す大間知さん。映像の専門学校は2年制が多いので、『1年』で学べるということも魅力だったそう。「週5日の授業で正直遊ぶ暇はない、ずっとフル稼働ですけど、その分、密な時間で質の高い勉強ができたと感じます」 全然違う夢を持て余している身としても、すごく元気がわいた。やりたいことを見つけて、歩んでいるステップの一つ一つが具体的に見えると、こんなにわくわくするんだなあ、と。 やりたいことのために、すべてをかけてみる「密な1年」。 いつか(そう遠くない未来に)、彼らの名前をクレジットロールで見るのがとても楽しみだ。 制作=キネマ旬報社   今回取材にご協力頂いた「TMS 東京映画映像学校」の詳細はこちら ▶「TMS 東京映画映像学校」公式HP 「TMS 東京映画映像学校」コース紹介 ●ジョブトレーニングコース 2023年度4月生願書受付中 (1年制・年齢経験不問・4 月/ 10月入学) ●YouTube 動画クリエイターズGYM 今すぐ動画制作を始めたい人へ (YouTube動画を企画・撮影・編集まで1ヶ月で学ぶ) ●動画編集Edit GYM オンライン チケット制で無駄なく無理なく継続できる (Adobeの編集ソフトをプロレベルまで習得)
  •   1934年の冬、ソ連で特殊訓練を受けた男女4人のスパイチームが満州国ハルビンに潜入するが、彼らの極秘任務は天敵である特務警察に察知されていた──。第94回米アカデミー賞国際長編映画賞で中国代表に選ばれたチャン・イーモウ監督作「崖上のスパイ」が、2月10日(金)より新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン池袋ほかで全国公開。監督が日本の観客向けに語ったインタビュー、ならびに豪雪シーンの撮影メイキング写真と新場面写真が到着した。     [caption id="attachment_20891" align="aligncenter" width="850"] ▲豪雪の中で演出するチャン・イーモウ[/caption]   インタビューは以下。 Q1 「崖上のスパイ」で伝えたかったことは何でしょうか? チャン・イーモウ監督(以下、監督):「崖上のスパイ」は、4人のスパイが飛行機から地上に降り立ち、敵の罠にはまるという物語です。主に語っているのは「生き残ろうとする」「生きていく」というテーマ。この視点が面白く、多くのスパイ映画とは違う点だと思います。私はこうした「困難な状況の中であがく」という無力感や運命的な感じが好きなのです。どんな時代も、名もなき人々の物語は魅力的です。他者を救うための自己犠牲は、いつも人を感動させます。 Q2 キャスティングで一番大事にしている点は? 監督:私が演技に対して一番に求めるのは「偽りがなく、自然である」ことです。新人俳優は現場での経験が少ないので、滲み出るぎこちなさや自然さをカメラが捉えた時、自然な演技だと観客に感じてもらえます。 Q3 この映画では終始雪が降っています。雪へのこだわりを教えてください。 監督:「ずっと雪が降っている」のは、「ずっと雨が降っている」よりも厄介です。まず、いい造雪機や雪を作るのに適した材料を探さなければいけませんでした。雪の材料は分解される環境に優しいもので、俳優の顔にかかっても害がなく、地面を汚染せず、数日で解けて自然環境を破壊しないものでないといけません。ウィンタースポーツの造雪設備と少し似ていますが、雪片はカメラで撮れるように大きく作る必要があります。 Q4 スパイ・チームを監視する特務警察のエースである周乙(ジョウ・イー)の孤高のたたずまいが高倉健さんに見えました。周乙(ジョウ・イー)は複雑な立場にありますが、演じたユー・ホーウェイと一緒にどのようにこのキャラクターを作り上げたのでしょう? 監督:若かりし頃のアイドルである高倉健さんとは「単騎、千里を走る。」でお仕事をご一緒したことがあります。私にとって生涯忘れられない経験で、今でも高倉健さんのことを懐かしく思い出します。1970年代から80年代にかけて、「高倉健」の3文字は、中国の芸能界において、ある種の演技スタイルの代名詞でした。周乙(ジョウ・イー)を演じたユー・ホーウェイも高倉健さんのことがとても好きで、彼と周乙(ジョウ・イー)という役の演技スタイルについて話し合っている時、図らずも、周乙(ジョウ・イー)という役柄には、見た目から演技まで高倉健さんの面影があると気づきました。孤独で、思いを内に秘め、感情を表に出さず、毅然としていて、落ち着いている。人を形容する中国の古い言葉に、「立てば松の如く、座すれば釣鐘の如く、歩けば風の如く、臥すれば弓の如く」という言い方がありますが、まさにこのようなタイプの男性のことでしょう。 周乙(ジョウ・イー)に少しでも高倉健さんの面影を蘇らせることができたとすれば、それは私の高倉健さんを偲ぶ敬愛の念だと見なしてください。 Q5 本作は監督の作品の中で最大の興行成績を収めたと伺っています。チャン監督は中国の映画業界を牽引してきた存在ですが、今後の中国映画界におけるご自身の役割をどのように考えていますか? 監督:中国には若い監督が大勢いて、大ヒットする映画を撮り、興行収入でも大きな成績を収めています。これはいい現象です。コロナ禍後はなおさら、観客に映画館へ戻ってきてもらわなければ映画は発展し続けられません。私は商業性を拒絶したことはありません。中国の文化では、「雅俗共賞」(教養のある人も一般大衆も共に楽しめる)が芸術において最高の境地だと考えられています。作家主義的で個人的なアートフィルムももちろん必要ですが、映画産業という視点から言えば、マイナーなアートフィルムもメジャーな市場が支える必要がある。映画祭で上映されるだけで、映画館に見に行く人がいなければ、映画は生き残れませんからね。私がいつも考えているのは、次世代を担う若い監督は、マルチな能力を鍛えるべきです。マイナーな作品もメジャーな作品も撮れる人こそが名監督だと思います。たった1つの味わいでは満足できないのですから、排他的になってはいけない。中国では「百花斉放」(文化・芸術活動が自由かつ活発に行なわれること)という言葉がよく使われますが、私はずっと若い監督が大胆に新しいものを作っていくことを応援しています。   [caption id="attachment_20894" align="aligncenter" width="850"] ▲チャン・イー演じる張憲臣(チャン・シエンチェン)[/caption] [caption id="attachment_20895" align="aligncenter" width="850"] ▲ユー・ホーウェイ演じる周乙(ジョウ・イー)[/caption] [caption id="attachment_20896" align="aligncenter" width="850"] ▲チュー・ヤーウェン演じる楚良(チュー・リャン)[/caption]     © 2021 Emperor Film and Entertainment (Beijing) Limited Emperor Film Production Company Limited China Film Co., Ltd. Shanghai Film (Group) Co.,Ltd. All Rights Reserved 配給:アルバトロス・フィルム ▶︎ チャン・イーモウ新作、満州で工作員たちが極秘任務に挑む「崖上のスパイ」
  •   チョン・イルとラ・ミランのW主演で、ホームレス一家と裕福な訳あり夫婦の出会いから始まる思いがけないドラマを描く「高速道路家族」が、4月21日(金)よりシネマート新宿ほかで全国順次公開。ティザービジュアルとチョン・イルのコメントが到着した。     高速道路のサービスエリアを転々としながらテントに寝泊まりし、夜空の月を照明代わりに暮らすギウ(チョン・イル)と妻のジクス(キム・スルギ)、そして2人の子どもたち。サービスエリアに寄った再び会うことのない人々に金を借りながら、食いつないでいる。 ところがある日、一家は金を借りたことのあるヨンソン(ラ・ミラン)と別のサービスエリアで遭遇。不審を抱いたヨンソンの通報でギウは連行され、残されたジクスと子どもたちを放っておけないヨンソンは、家に連れ帰って一緒に暮らすことに。そうして不自由ない生活を送り始めた妻子を、ギウは取り戻そうとするが……。 第27回釜山国際映画祭で「『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ大傑作」「ユーモア、サスペンス、アクション…映画のすべてが詰まった衝撃作」と称えられ、韓国でスマッシュヒットした本作。 ギウを演じるのは『太陽を抱く月』『ポッサム ~愛と運命を盗んだ男~』など多くの人気ドラマに出演し、本作が7年ぶりのスクリーン復帰となるチョン・イル。ヨンソン役は「正直政治家 チュ・サンスク」で青龍映画賞主演女優賞を受賞し、「国際市場で逢いましょう」「ガール・コップス」などでも知られるラ・ミラン。そして監督は、ヒット作「スキャンダル」のイ・ジェヨン監督に師事してきた新鋭イ・サンムンだ。 対照的な2家族が、やがて迎えるとんでもない結末とは──?   チョン・イルのコメント 昨年、韓国で公開された 「高速道路家族」がこの度日本で公開されることになりました。 私は今までこの映画を6回ほど観させていただきましたが、観るたびに新しい感情が生まれるとても意味深い映画だと思います。 この映画を見て“家族”という誰にとっても近く当たり前な存在をもう一度考えていただける機会になったら嬉しいです。 是非ご家族で映画館に足をお運びください!     「高速道路家族」 監督・脚本:イ・サンムン 音楽:イ・ミンフィ 美術:ソン・ソイル 出演:チョン・イル、ラ・ミラン、キム・スルギ、ペク・ヒョンジン 2022年/韓国/韓国語5.1ch/128分/英題:Highway Family/字幕翻訳:具美佳 ©2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved. 配給:AMGエンタテインメント 公式サイト:https://kousokudouro-kazoku.jp