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「ふから始まるもの」の検索結果
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[caption id="attachment_39322" align="aligncenter" width="2560"] ©2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.[/caption] 映画を通じて「コトバとココロを育む」ことを目指して2013年にスタートした「映画感想文コンクール」(主催:映画感想文コンクール実施委員会、事務局:キネマ旬報社)。毎年、1万数千もの応募が集まる本コンクールでは、公式サイトで推奨作品をいくつか紹介している。そのひとつが、いま日本中を涙で包んでいる『ブルー きみは大丈夫』(公開中)だ。 『ブルー きみは大丈夫』あらすじ----- 幼い頃に母親を亡くした12歳の少女ビー(ケイリー・フレミング)は、ある日、おばあちゃんの家で、子供にしか見えない不思議な"もふもふ"ブルーと出会う。ブルーが友達だった子供は、今は大人になり彼の事を忘れてしまい、居場所が無くなったブルーは、もうすぐ消えてしまう運命に。少女は、大人だけどブルーが見える隣人の男(ライアン・レイノルズ)の力を借り、ブルーの新しいパートナーになってくれる子供を探すのだった。 [caption id="attachment_39325" align="aligncenter" width="2560"] ©2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.[/caption] 本作が推奨されるひとつには、主人公が12歳ということ。コンクールは小中学生が対象であり、まさに同世代の主人公に自身を投影しやすいだろう。 同世代の少女が、心に傷を負いながら、それを乗り越えて強く生きようとするその姿に、それでも挫けそうになったり、涙してしまったりするその姿に、自分以外の人の幸せのために一生懸命になるその姿に、共感しまた様々な思いを馳せるに違いない。 また、本作の劇中に登場する個性的なキャラクターの数々!ブルーはもちろん、その他にも、サニー(歩いて話す人型の花)、アイス(グラスの水の中の氷)、オクト・キャット(水を恐れない猫)、スーパードッグ(スーパーヒーロー犬)、石けんバブル(泡風船)などなど。誕生した背景まで設定されていて、その個性が愛おしくてたまらない。これらは主人公より世代が下の小学生低学年・中学年の児童の心にも、さまざまなメッセージを残すことだろう。 [caption id="attachment_39326" align="aligncenter" width="2560"] ©2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.[/caption] そして、すべての子ども、またかつて子どもだったすべての人たち、すなわち全世代の心に刺さるのが、この作品の大きなポイントでもある。主人公の目から、父の目から、祖母の目から、またIF(イマジナリーフレンド)の目から、さまざまな視点から描かれることもあり、年齢・性別によってはもちろん、誰と一緒に観たかによっても、感じ方が違ってくるという、非常に繊細で物語性の高い作品である。 『2回目は友達と観てきました!1回目はビー目線で観たけど、今回はたくさんの優しさがそこかしこに散りばめられていることに気づく』『(一緒に鑑賞した中学生の娘が)「良かった…」と噛み締めるように呟き暫く席を立たなかった。思春期ならではの感じるものがあったよう』『きっと観る度に感じ方が違う気がする』『一晩たっても余韻がすごい』『想定以上に連れと二人で号泣。ぜひ大人にこそ観てほしい』など、SNSでのコメントにも納得だ。 [caption id="attachment_39329" align="aligncenter" width="2560"] ©2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.[/caption] 映画は複数人で同時に同じ作品を鑑賞することができるので、鑑賞後に感想を語り合うことができる。自身とは違う感想や考え、笑ったシーンや泣いたシーン。他者のそうした感情に触れることでまた「コトバとココロ」が育まれていく、まさに映画感想文コンクールが目指すものである。 映画感想文コンクールで推奨される本作が、多くの児童とその周囲の人たちに届き、どんな感想文が応募されるのか、今から非常に楽しみだ。 「ブルー きみは大丈夫」 監督・脚本:ジョン・クラシンスキー 出演:ケイリー・フレミング、ライアン・レイノルズ 声:スティーヴ・カレル、マット・デイモン、エミリー・ブラント、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、オークワフィナ、サム・ロックウェル、ルイス・ゴセット・Jr 日本語吹替版:宮田俊哉、稲垣来泉、加瀬康之、浪川大輔、三森すずこ、高島雅羅 ほか 原題:IF 配給:東和ピクチャーズ ©2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved. 公式サイト:https://blue-movie.jp 文部科学省後援「全国映画感想文コンクール2024」 応募期間:2024年7月1日~9月17日消印有効 応募資格:すべての小学生、中学生 対象作品:すべての映画が対象です。映画館でもTVでも何で観ても構いません。 詳しくは下記公式サイトにて。 公式サイト:https://www.kinejun.com/eigakansoubun/2024/index.html
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『スター・ウォーズ』日本初公開日記念!その誕生の裏側を河原一久が読み解く【全4回―①】
2024年6月24日46年前の1978年6月24日、全米公開から約1年、日本中の映画ファンが待ちに待った「スター・ウォーズ」が日本で初公開(先行上映)された歴史的な日だ。前年の5月に全米公開され、未曾有の大ヒットを記録、その約1年後、日本列島をその熱狂の渦で包み込んだ。その後、映画史に残した足跡、伝説は語るまでもないが、その始まりの前夜にどれだけの物語が存在したのか。 もしかしたら、この伝説はすべて夢となっていたかもしれない── フランスですでに8万部以上を売上げた大ベストセラー、「ルーカス・ウォーズ」。ジョージ・ルーカスの生い立ちから「スター・ウォーズ」誕生までを描いたこのバンド・デシネ(フランス語圏の漫画)からその裏側を読み解きたい。 封印されていたエピソードが描出された稀有な1冊「ルーカス・ウォーズ」 いまや映画業界における伝説ともなっている「ジョージ・ルーカスの生い立ちとスター・ウォーズ誕生まで」の物語が、彼の母国ではなく、フランスで出版されたという点は興味深い事実だ。無名時代におけるスタジオとの戦いや、当時を支えた妻マーシアとの関係、撮影中のキャリー・フィッシャーの恋バナなど、実に人間臭いエピソードに満ちていたが、ディズニー傘下となる以前から、ルーカスのヒストリーには彼の作品と同様に時代ごとに「修正」が加えられてきた。 そのため前述したような出来事は、いわゆる「正史」からは封印された形になっていた。これを「言論・表現の自由」に世界でも最もこだわるフランスで、今では忘れ去られたような細かい出来事までくまなく網羅して構成されたのが本書である。 ルーカスの成功物語は、たとえ当たり障りのない話だけで構成しても十分に興味深い話だし、後進のアーティストにも参考になる要素は多々ある。だが、今回、一編のコミックとしてまとめられた本書には、己の理想と夢を実現するために奮闘を続ける者たちの苦悩に満ち、しかし一方では形になりつつある夢の実現に興奮と震えを感じながら邁進を続ける姿が、ありのままに描かれている。そこがいい。 そしていつの時代でも、時代に変革をもたらすような作品が誕生する背景には、こうした人間臭い物語が存在していたのだ。これを誰もがわかりやすいコミックとしてフランスでまとめられたことが、ある意味「ルーカスらしい」と思えるのだ。 なぜならルーカス自身は常にハリウッドに対する反逆児として、作家としての自由を勝ち取るための戦いを続けてきたし、そのためのインフラが存在しない中で、自らそれを新たに作り出してきたからだ。画期的なVFX工房であるILMの設立やTHXサウンドシステム、世界初のノンリニア編集システムであるエディットドロイド、そしてCG専門スタジオであるピクサーなど、どれもがルーカスが必要と感じて作り出したものだ。 第2回へ続く…… 【書籍名】ルーカス・ウォーズ 【著者名】ロラン・オプマン 作 ルノー・ロッシュ 画 原正人 翻訳 河原一久 監修 【ISBNコード】978-4-87376-491-7 【判型・頁数】A4判/208頁/書籍 【刊行年月】2024年5月 ▶本の詳細・購入はコチラから -
ブリジット・バルドー生誕90年祭開催。日本初公開ドキュメンタリーを含む11作上映
2024年6月24日今年9月に生誕90年を迎えるブリジット・バルドーの特集上映〈ブリジット・バルドー レトロスペクティヴ BB生誕90年祭〉が、9月13日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で開催される。 [caption id="attachment_39265" align="aligncenter" width="850"] 「私生活」©1962 GAUMONT - STUDIO 37 – CCM[/caption] 上映されるのは、マルチェロ・マストロヤンニと共演したルイ・マル監督作「私生活」(1962)をはじめとする50年代〜70年代初頭の主演作10本と、日本初公開のドキュメンタリー「ブリジット・バルドー 誤解」(2014)で、詳細は7月中旬に発表予定。そのうち「裸で御免なさい」(1956)と「ブリジット・バルドー 誤解」は、〈カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション®2024〉で8月4日(土)に先行上映される。 ファッションアイコンにして女性解放の象徴たるBB。その魅力をスクリーンで堪能したい。 カリコレ®2024先行上映作品 ① 「裸で御免なさい」原題:EN EFFEUILLANT LA MARGUERITE パリに出てきた小説家志望のお転婆ヒロインが、手違いで高価なバルザックの初版本を売り飛ばしてしまい、やむなくストリップ大会に出場して一攫千金を狙うコメディ。20代前半のバルドーが眩しくチャーミング、当時の夫ロジェ・ヴァディムが脚本で参加。 監督:マルク・アレグレ 原案:ウィリアム・ベンジャミン 脚本:ロジェ・ヴァディム、マルク・アレグレ 出演:ブリジット・バルドー、ダニエル・ジェラン、ロベール・イルシュ、ナディーヌ・タリエ、ジャック・デュメニル、ダリー・カウル 1956年/フランス/コメディ/102分/B&W/スタンダード/DCP/モノラル ©1956 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS ②「ブリジット・バルドー 誤解」原題:Bardot, La Meprise バルドー崇拝者のデヴィッド・テブール監督が、主演作のフッテージを織り交ぜ、ビデオレターのような手法でバルドーの人生を辿る。映画・音楽界の重鎮をはじめ文化的アイコンが多数登場。 監督:ダヴィド・テブール 音楽:マチュー・ランボレー 自伝朗読:ビュル・オジエ 出演:ブリジット・バルドー、セルジュ・ゲンズブール、ロジェ・ヴァディム、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャン=リュック・ゴダール 2013年/フランス/ドキュメンタリー/114分/カラー/フルHD/DCP/ステレオ ©2013 Gaumont Télévision / Christian Davin Production / Arte France / Institut National de l'Audiovisuel [caption id="attachment_39267" align="aligncenter" width="850"] 「ブリジット・バルドー 誤解」©2013 Gaumont Télévision / Christian Davin Production / Arte France / Institut National de l'Audiovisuel[/caption] 提供・配給:キングレコード 公式X:@BBfilms90 公式Instagram:@bbfilms90 -
理髪店を閉めて恩人の出張散髪へ。大阪アジアン映画祭で受賞した「本日公休」
2024年6月21日台湾の町外れの理髪店。ある晴れた朝、店主のアールイは店を閉め、あの人の髪を切りに行く──。第18回大阪アジアン映画祭で観客賞と薬師真珠賞(俳優賞)を受賞した「本日公休」が、9月20日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開。ポスタービジュアルと予告編が到着した。 40年にわたり自身の理髪店に立ち、常連客たちを相手に忙しくも充実した日々を送るアールイ。女手ひとつで育て上げた3人の子は、それぞれの道を歩んでなかなか実家に顔を見せない。頼りになるのは、次女の元夫であり、近くで自動車修理店を営むチュアンだけ。 そんなある日、離れた町から店に通っていた常連客の“先生”が病床に伏したという知らせが入る。アールイは《本日公休》の札を掲げ、古びた愛車で先生のいる町に向かうが……。 https://www.youtube.com/watch?v=uNcLfXTdBvo フー・ティエンユー監督が自身の母をモデルにシナリオを書き、台中の実家である理髪店で撮影し、3年をかけて完成させた本作。アールイを演じるのは、24年ぶりの銀幕復帰となった名優ルー・シャオフェンだ。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決し、台北電影奨主演女優賞と大阪アジアン映画祭薬師真珠賞(俳優賞)に輝いた。 そしてアールイに反発する次女のリンを演じたファン・ジーヨウは台湾金馬奨助演女優賞を、その元夫である心優しいチュアンに扮したフー・モンボーは台北電影奨助演男優賞を受賞。「藍色夏恋」のチェン・ボーリン、「僕と幽霊が家族になった件」のリン・ボーホンが特別出演しているのも見逃せない。 プロデュースは、エドワード・ヤン監督「ヤンヤン 夏の想い出」への出演ならびにホウ・シャオシェン監督「悲情城市」「恋恋風塵」の共同脚本で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが務めている。 予告編を彩る曲は、注目シンガーのホン・ペイユーが歌う映画オリジナル主題歌『同款』。映画は台湾で国内新作映画初登場1位スタートとなった。ノスタルジックで温かな物語に浸りたい。 「本日公休」 監督・脚本:フー・ティエンユー(傅天余) 製作:ウー・ニェンチェン(吳念真)、ウー・ミンシェン(吳明憲) 主題歌:「同款」ホン・ペイユー(洪佩瑜) 出演:ルー・シャオフェン(陸⼩芬)、フー・モンボー(傅孟柏)、ファン・ジーヨウ(⽅志友)、チェン・ボーリン(陳柏霖)、リン・ボーホン(林柏宏) 2023年/台湾/106分/カラー/1.85/5.1ch 原題:本日公休 英題:Day Off 字幕翻訳:井村千瑞 提供:オリオフィルムズ、竹書房、ザジフィルムズ 配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ 協力:大阪アジアン映画祭 後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター ©2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved 公式サイト:https://www.zaziefilms.com/dayoff/ -
「メイ・ディセンバー ゆれる真実」題材となった衝撃事件をデーブ・スペクターが解説
2024年6月21日「キャロル」のトッド・ヘインズ監督がナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアの共演で、1990年代に全米を賑わせた10代の少年と30代の女性による不倫スキャンダル“メイ・ディセンバー事件”を題材に描いた心理劇「メイ・ディセンバー ゆれる真実」が、7月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開される。デーブ・スペクター氏が事件を解説する動画が到着した。 https://www.youtube.com/watch?v=qqGHEzz2Sqk 訳すると「5月-12月」となる“メイ・ディセンバー”は、親子ほど歳が離れたカップルを意味する。勤め先の学校で評判が良かった当時34歳のメアリーと、家庭トラブルを抱えていた12歳のヴィリ。いつしか二人は教師と生徒以上の関係になり、メディアや世間のさまざまな憶測を呼んでいく。デーブ氏も「かなりインパクトがあり、興味深い」と述べる。 事件から23年後を描く映画は、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、第96回アカデミー賞脚本賞ノミネートを果たすなど高く評価された。疑念が渦巻くスリリングな物語に引き込まれる。 Story 36歳のグレイシーはアルバイト先で知り合った13歳の少年と情事に及び、実刑となる。そして少年との間にできた子を獄中で出産し、刑期を終えると二人は結婚、平穏な日々を送っていた。 そんな中で事件の映画化が決まり、女優のエリザベス(ナタリー・ポートマン)は、モデルとなるグレイシー(ジュリアン・ムーア)とジョー(チャールズ・メルトン)を訪問。夫婦と行動を共にしながらリサーチする中で、事件の真相、現在の秘められた感情が見え隠れし、エリザベスは揺らぎ始める──。 ©2023. May December 2022 Investors LLC, ALL Rights Reserved. 配給:ハピネットファントム・スタジオ ▶︎ ナタリー・ポートマン×ジュリアン・ムーアで“年の差スキャンダル”を映画化した「MAY DECEMBER」(原題)、アカデミー賞脚本賞ノミネート