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【あの頃のロマンポルノ】新宿乱れ街 いくまで待って
2022年3月18日日活ロマンポルノは生誕50年をむかえました。それを記念して、「キネマ旬報」に過去掲載された記事の中から、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げていく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時連載していきます。 今回は、山根貞男氏による「新宿乱れ街 いくまで待って!」の記事を、「キネマ旬報」1977年11月上旬号より転載いたします。 1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! ■日本映画批評「新宿乱れ街 いくまで待って!」 ▲「新宿乱れ街 いくまで待って!」の撮影風景、左奥が曽根中生監督 うらぶれ安酒場がひしめき並んでいるだけだが、猥雑な活性にみちた街、新宿ゴールデン街。そこを舞台に、映画づくりに関わっている者、関わろうとしている若者の群像が描かれる。ついついモデル実話的興味をそそられる映画だ。脚本の荒井晴彦、監督の曽根中生とも、この街の常連だとか。 だが、もちろん、そんなことはどうだっていい。「嗚呼!!花の応援団」「不連続殺人事件」の曽根中生が、なまなましい青春群像をどう描いたか。マンガ的応援団でもなく、敗戦直後の混沌でもなく、現在只今の安酒場の猥雑なエネルギーを、どう描いたか。 「新宿乱れ街 いくまで待って!」の撮影風景 結論から言えば、期待はずれだった。もっと雑にデタラメにくだらなく描くかと思ったが、なんとも正統にマジメな映画なのだ。主に二つの酒場とアパートの一室が、話の舞台となる。なるほどそれらに、野放図な活性がなくはない。二つの酒場には、シナリオライターの卵、女優志願の女、カメラマン、ポルノ映画の助監督や監督、スタイリスト、その他が、夜に集い、ゴタクを並べ、喧嘩をし、エネルギーを発散したり持て余したり、そしてアパートの一室では、主人公のミミ(山口美也子)と沢井(神田橋満)が、映画への志と日々の暮らしのあいだで、わめき合ったりセックスにのめり込んだり、とにかくデタラメな活力をぶちまけている。が、しかし、あくまですべてはそこどまりだ。酒場とアパートから、ついにエネルギーは広がっていきもせず、かといって爆発もしない。 いや、狭所閉塞がダメだというのではない。それならそれで、たとえば狭所閉塞の息苦しさが描出されていればいい。ここでは、そうではなく、いわば収拾・収束の論理が支配的なのだ。一見、野放図で猥雑なエネルギーの、たんなる収束である。どんなに乱脈な男と女の姿が散らばっていようと、話は結局、ミミと沢井の平凡な同棲関係譚へとまとまってゆく。裸体とセックス・シーンを除けば、なんと純情一途な若者たちの話であることか。表現の問題でいえば、肉体の活性が心情の甘さへと、みごと収拾されていってしまうのだ。 たしか二か所、朝の街頭風景だったが、なんでもない通行人の姿をうつしたシーンがあった。変哲もない挿入カットだがそれは、たんなる情景描写という以上に、画面として一瞬、鮮烈だった。平凡な街の描写が、収束してゆくだけのドラマ空間を、みずみずしく断ち切っていたとでもいおうか。 そう、ドラマが風景に敗北しているのだ。話があまりに作者(たち)の日常に密着しているゆえ、パロディにしきれなかったのか。ならば、「私映画」とするべく徹しきれなかった無力を問わねばならぬ。ドラマが風景に敗北するとは、生活の活性を場・街に奪われていることである。すなわち、曽根中生の映画意識の力が、一つの日常の場、新宿ゴールデン街の呪縛から屹立できないでいる。 文・山根貞男 「キネマ旬報」1977年11月上旬号より転載 「新宿乱れ街 いくまで待って!」【DVD】 監督: 曽根中生 脚本:荒井晴彦 価格:2,000円+消費税 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 「日活ロマンポルノ50周年×キネマ旬報創刊100周年」コラボレーション企画、過去の「キネマ旬報」記事からよりすぐりの記事を掲載している特別連載【あの頃のロマンポルノ】の全記事はこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」 -
幻想の魔術師カレル・ゼマンのアニメーションを一挙上映!
2022年3月17日チェコ・アニメーションの巨匠カレル・ゼマンの代表作10本(+短編1本)を上映する「チェコ・ファンタジー・ゼマン!」が、4/23(土)より新宿K‘s cinemaで開催される。 人形アニメーションや絵本で人気の高いイジー・トゥルンカ(1912-1969)と並ぶチェコ・アニメーションの創設者のひとり、カレル・ゼマン(1910-1989)。第二次世界大戦中、チェコ・アニメーション発祥の地ズリーンを拠点に創作を始めた彼は、チェコ伝統の人形劇に強い愛着を抱く一方で、切り紙アニメや人形アニメ、実写とアニメの合成など多様なスタイルを駆使した斬新な作品を多く生み出した。それらは少年時代にのめり込んだジュール・ヴェルヌの小説さながら、潜水艦や飛行船、恐竜や架空の動物が次々に登場し、SF冒険小説を思わせる。 今回の特集では、そのジュール・ヴェルヌ原作の「悪魔の発明」「盗まれた飛行船」をはじめ、G・ビュルガーの原作をアニメと実写の合成で織り上げたファンタジー大作「ほら男爵の冒険」など全10作と短編「プロコクウ氏 映画制作の巻」を上映。初期から晩年まで代表作を一挙に見られる貴重な機会となる。 スピルバーグ、宮崎駿、ルーカス、P・ジャクソンといった監督たちにも多大な影響を与えたゼマン。CG全盛の現代にあっても、詩情とロマン、遊び心と想像力に溢れたアニメーション世界は観る者を魅了してやまない。 ◆上映作品◆ 「鳥の島の財宝」(1952年/73分/カラー)©Muzeum Karla Zemana 小さな美しい島では皆が平和に暮らしていた。ある日突然、島に黄金がもたらされたことから人々の暮らしぶりが一変する。古いペルシャの寓話を元にした牧歌的人形アニメ。ペルシャ細密画のような作風で描いた“大人の絵本”のようなゼマン初の長編作。 「前世紀探検」(1955年/93分/カラー)©Czech National Film Archive ボートに乗った4人の少年が“時間の川”を上りながら古代世界を冒険していく。 ブロントザウルス、ティラノザウルスといった恐竜との遭遇、そして未知の生きものの発見。「ジュラシック・パーク」のはるか先駆ともいうべき恐竜映画史に残るSFトリック・フィルムの傑作。 「悪魔の発明」(1958年/82分/B&W)©Muzeum Karla Zemana 科学者ロック教授とその助手アールは新型爆弾の開発に没頭していたが、完成寸前で何者かに拉致されてしまった。「海底二万マイル」などSF小説の祖として名高いジュール・ヴェルヌの原作を映画化したゼマンの代表的特撮冒険SF映画。 「ほら男爵の冒険」(1961年/85分/カラー)©Muzeum Karla Zemana 宇宙飛行士のトーニークは人類初の月面着陸に成功した、と思ったが降り立った月面にはすでに何者かの足跡が残されていた…。G・ビュルガーの原作から飛び出した“ほら男爵”の奇想天外な大冒険譚が、ゼマンのアニメと実写の見事な合成で最後までノンストップで綴られていくファンタジー大作。 「狂気のクロニクル」(1964年/82分/B&W)©Czech National Film Archive 17世紀のドイツ、ヨーロッパ諸国を30年にわたって巻き込んだ宗教戦争を背景に、主人公ピーターを通して戦争の愚かさをゼマン流に描いた。ゼマンは劇中に登場するキュートな天使をはじめ、重いテーマをシュールにユーモラスな遊び心を織り交ぜて作り上げた。 「盗まれた飛行船」(1966年/90分/カラー)©Czech National Film Archive 19世紀末のベル・エポックの時代。飛行船が発明され人々は興奮して大騒ぎ。その最中に5人の少年たちが飛行船を乗っ取り大空に飛び出した…。ジュール・ヴェルヌの代表作「神秘島」の特撮映画化で少年たちの奇想天外な冒険を、実写と書き割りで描き出した。「天空の城ラピュタ」を先取りした傑作ファンタジー。 「彗星に乗って」(1970年/74分/カラー)©Czech National Film Archive 1868年のフランス領アルジェリア。フランス軍の若き中尉は町で見かけた絵葉書の美女に一目惚れするが、その時、謎の彗星が地球に大接近してくる。その彗星は全盛期の恐竜や龍が棲む惑星だった…。「盗まれた飛行船」に続くジュール・ヴェルヌ原作の映画化。鮮やかな色彩に圧倒されるゼマン・アドベンチャー。 「シンドバッドの冒険」(1974年/94分/カラー) アランビアンナイトの主人公のひとり、船乗りシンドバッドは大海を旅し、異国の王国を訪ねる途中で数多くの驚きに遭遇する。その冒険譚を7つの短編で色鮮やかに描いたエキゾチックな切り絵アニメーション。 「クラバート」(1977年/73分/カラー)©Czech National Film Archive 少年クラバートは、夢に誘われるまま水車場の見習いになり、親方から魔法の修行を受けるのだが…。児童文学の傑作をダークなキャラクターで映像化した。アニメーション映画史に刻まれるゼマン晩年の傑作。 「ホンジークとマジェンカ」(1980年/66分/カラー)©Czech National Film Archive ホンジークは妖精マジェンカと出会い恋に落ちる。しかし二人の愛の前には様々な苦難が襲いかかってくる。牧歌的音楽が流れる中での恋の行方は…。ゼマン最後の長編ファンタジー。 同時上映短編:プロコクウ氏 映画制作の巻(1947年/8分/B&W) 提供:日本スカイウエイ、アダンソニア 配給:アダンソニア 宣伝・配給協力:ブライトホース・フィルム デザイン:千葉健太郎 協力:Muzeum Karla Zemana、Czech National Film Archive、仙元浩平 -
慰安婦問題に切り込んだドキュメンタリー「主戦場」がアンコール上映!
2022年3月17日衝撃の劇場公開から3年。慰安婦問題に切り込んだミキ・デザキ監督のドキュメンタリー「主戦場」が、4月に東名阪でアンコール上映される。 2019年4月より劇場公開されて話題となった「主戦場」。ところが一部出演者がミキ・デザキ監督と配給会社の東風に対し、上映禁止や計1,300万円の損害賠償を求めて裁判を起こす。その影響で2019年秋の「KAWASAKI しんゆり映画祭」での上映が中止されそうになるなど、“問題作”として知られることに。 そして2022年1月27日、東京地裁は原告らの訴えをすベて棄却。それに伴い寄せられた「また見たい」という多くの声に応え、アンコール上映が決定、再びスクリーンが“主戦場”となる。(注:裁判中も劇場公開や自主上映会は可能な状態にあり、裁判所の上映差し止めの仮処分などがあったわけではない) ◤イントロダクション◢ ネトウヨの度重なる脅迫に臆せず、彼らの主張にむしろ好奇心を掻き立てられた日系アメリカ人YouTuberミキ・デザキは、多くの日本人が「蒸し返してほしくない」慰安婦問題の渦中に飛び込んだ。 慰安婦は「性奴隷」だったのか? 「強制連行」は本当にあったのか? なぜ元慰安婦たちの証言はブレるのか? そして日本政府の謝罪と法的責任とは……? 次々と浮上する疑問を胸にデザキは、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士/タレント)、杉田水脈(政治家)、渡辺美奈(女たちの戦争と平和資料館)、吉見義明(歴史学者)、中野晃一(政治学者)、ユン・ミヒャン(韓国挺身隊問題対策協議会)、パク・ユハ(「帝国の慰安婦」著者)など、論争における日米韓の中心人物を訪ね回った。 さらにデザキは、おびただしいニュース映像と記事の検証と分析を織り込み、イデオロギー的に激しく対立する主張の数々を小気味よく反証させ合いながら、精緻かつスタイリッシュに一本のドキュメンタリーに凝縮。そうしてデビュー作「主戦場」を完成させた。映画はこれまで信じられてきたいくつかの「物語」にメスを入れ、いまだ燻り続ける論争の裏にある“カラクリ”を明かしていくのだが──それは本作を観るべき理由の一部に過ぎない。 ◤ミキ・デザキ監督メッセージ◢ 初めて「主戦場」をご覧になるみなさん、訴えられた映画にチャンスを与えていただき、ありがとうございます。 そして、2度目、3度目にご覧になるみなさん、私たちの訴訟費用をサポートしていただき、ありがとうございます。 裁判に勝つまで約2年半かかりましたが、なんと無駄な時間だったことでしょう。 不思議なことに原告たちは、歴史家や学者、活動家たちの主張と並べられた自分たちの主張を聞かれたくなかったのです。 なぜでしょう? 映画をご覧になればわかるかもしれません。 PROFILE 監督・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ ドキュメンタリー映像作家、YouTuber。1983年、アメリカ・フロリダ州生まれの日系アメリカ人2世。ミネソタ大学ツイン・シティーズ校で医大予科生として生理学専攻で学位を取得後、2007年にJETプログラムのALT(外国人英語等教育補助員)として初来日し、山梨県と沖縄県の中高等学校で5年間、教鞭を執る。同時にYouTuber「Medama Sensei」として、コメディビデオや日本・アメリカの差別問題をテーマに映像作品を数多く制作・公開。タイで仏教僧となるために修行した後、2015年に再来日。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科修士課程を2018年に終了。 初映画監督作品「主戦場」は、釜山国際映画祭2018ドキュメンタリー・コンペティション部門に正式招待され、韓国では劇場公開。そしてハーバード大学、スタンフォード大学など世界50以上の大学や学会で上映され、学術的にも高く評価された。 ◤コメント◢(公開時に寄せられたコメント 五十音順) 萎縮することなく、タブーに挑戦だと構えることなく。 正面から関係者の「顔」を撮り続けることに、 これほどのチャレンジを感じるとは。 ──荻上チキ(評論家・ラジオパーソナリティ) いま、日本に暮らしている私たちにとって、どのような理由をつけても、この映画を見ないという選択肢はな いだろう。見てから、見たうえで、何を語るかは自由なのだから。 ──平田オリザ(劇作家) 戦時慰安婦という誰もが目を背け、考えたくない問題の争点がわかるスリリングな2時間。慰安婦問題の門外漢である日系英語教師が、左右両サイドの論客を訪ね、彼ら自身の言葉で彼らの嘘を暴いていく。エド・マーローがマッカーシー上院議員に好きなだけしゃべらせて彼の正体を晒したように。 慰安婦は何をやらされるか知っていたのか? 本当はどんな待遇だったのか? 米政府の調査報告の本当の内容は? 事実の検証から、事実を隠そうとする勢力の存在が浮かび上がっていく。自民党、日本会議、神社本庁……。櫻井よしこの後継者といわれた日砂恵ケネディ氏の「これで自由になれた」という言葉はあまりに重い。 ──町山智浩(映画評論家) 味付けの濃いほうが目立つ。味付けを濃くするのがうまいのは誰か。 その濃さに国家の中枢が乗っかっているのが現在の日本だ。 「なかった」という脆弱な主張が屈強にはびこるという、矛盾した現在を映し出す。 ──武田砂鉄(ライター) 必見の映画だが、内容については書きたくない。 なるべく先入観を持たずに、真っさらな目で観てほしいからだ。 同時に、この勇気ある監督の身の安全を本気で心配してしまう。 それほど問題の核心に切り込み、火中の栗を拾っている。 それほど日本は危ない国になっている。 ──想田和弘(映画作家) 映画は論文ではない。あなたは主張する主体の表情をスクリーンで見る。 声を聴いて目の動きを確認し、一瞬の笑みや吐息に気づくこともできる。 言葉だけではない。そこに本質が現れている。 ──森達也(映画監督/作家) まだ立ち位置が定まっていない人はかなり揺さぶられるだろう。だからこの映画は、しんどい。見るも自由、見ないのも自由だ。しかしこの映画を見ずとも、あなたはすでにこの「主戦場」の戦闘員なのだ。ならば、ど っちの側で戦うか。「主戦場」はあなたが傍観者でいることを許さない。 ──三上智恵(映画監督/ジャーナリスト) ◤上映情報◢ ★東京都:シアター・イメージフォーラム 4月9日(土)〜4月22日(金)連日10:30〜 ※4/23以降未定 ※4月9日(土)10:30の回上映後、ミキ・デザキ監督の舞台挨拶決定 ★大阪府:第七藝術劇場 4月9日(土)〜 ※上映時間、終了日未定 ※4月10日(日)時間調整中・上映後、ミキ・デザキ監督の舞台挨拶決定 ★愛知県:名古屋シネマテーク 4月23日(土)〜4月29日(金)連日12:00~ 「主戦場」 原題:SHUSENJO: The Main Battleground of The Comfort Women Issue 監督・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ プロデューサー:ミキ・デザキ、ハタ・モモコ アソシエイトプロデューサー:カン・ミョンスソク 音楽:オダカ・マサタカ アニメーション:1K FILMS 製作:ノーマン・プロダクションズ 出演:トニー・マラーノ a.k.a テキサス親父、藤木俊一、山本優美子、杉田水脈、藤岡信勝、ケント・ギルバート、櫻井よしこ、吉見義明、戸塚悦朗、ユン・ミヒャン、イン・ミョンオク、パク・ユハ、フランク・クィンテロ、渡辺美奈、エリック・マー、林博史、中野晃一、イ・ナヨン、フィリス・キム、キム・チャンロク、阿部浩己、俵義文、植村隆、中原道子、小林節、松本栄好、加瀬英明 2018年/アメリカ合衆国/DCP/122分/配給:東風 (C)NO MAN PRODUCTIONS LLC -
「カモン カモン」の新星ウディ・ノーマンにホアキンもマイク・ミルズもベタ惚れ!
2022年3月17日マイク・ミルズ監督がホアキン・フェニックスを主演に迎えて贈る「カモン カモン」が、4月22日(金)に全国公開。このたび、ホアキンとミルズ監督がジェシーを演じた子役ウディ・ノーマンの魅力を明かした。 NYを拠点に全米各地を取材して回るラジオジャーナリストのジョニーが、LAに暮らす9歳の甥ジェシーと想定外の共同生活を始め、戸惑いと衝突を経ながら絆を育んでいく姿を描く「カモン カモン」。その中で注目されるのが、ジェシー役のウディ・ノーマンだ。2009年生まれで現在13歳のウディは、TVドラマ『法医学捜査班 silent witness』シーズン18(15)で俳優デビューし、ベネディクト・カンバーバッチ演じる主人公の息子役を務めた「エジソンズ・ゲーム」(17)など話題作に出演。本作では、ホアキン顔負けの演技力と存在感で英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたほか、ロンドン映画批評家協会の若手イギリス/アイルランド人俳優賞受賞、ワシントンDC映画批評家協会賞のベスト・ユース演技賞受賞を果たすなど賞レースを賑わせ、ネクストブレイクが期待されている。 物語の中心となるジェシー役を探すのは至難の業だった。ミルズ監督は「魅力的でキュートで遊び心があるだけでなく、複雑な陰影を漂わせている子を求めていたんだ」と説明。「ホアキンとも、ずば抜けた役者で、この子しかいないと100パーセント確信が持てない場合は、撮るのをやめようと決めていた」。いかにキャスティングが重要だったかが窺える。 数多のライバルと競って役を勝ち取ったウディ。オーディションでは脚本にないことをアドリブで演じてみせ、ホアキンとミルズ監督は「衝撃的に感動」し、彼に即決した。さらにホアキンを驚かせたのは、イギリス人のウディがアメリカ英語を完全マスターしていたことだ。「アメリカ英語のアクセントがあまりに説得力があるから、僕は彼がイギリス人だと知って本当に驚いたんだ」。ミルズ監督も「この子しかいないというのは明らかだったね」と断言。「映画の神様に助けられたと思った」とまで言わしめた。 撮影を経たホアキンは、ウディについて「社交的で、非常に頭がよく、とんでもなく面白い子供だ」と振り返り、「それでいて、舌を巻くようなアドリブを繰り出すんだよ。それもパーソナルで心地がいい、そしてその役柄の人生を象徴するようなものをね」と絶賛。劇中では突拍子もない言動で叔父を振り回す役どころのウディだが、演技の面では「彼が目標を示してくれて、色々な意味で僕のガイドになってくれた」とホアキンは明かす。 ホアキンとウディの相性の良さは、「ウディとホアキンは強い絆で結ばれていた。彼ら自身の本当の関係と親密さがリアルタイムで展開されているのが分かった。それは見せかけじゃない」とミルズ監督のお墨付き。「“子供との仕事はどうですか?”とよく聞かれるけど、“子供ってホアキンのこと?”って感じだね(笑)」と冗談交じりに語っている。2人の親密な掛け合いに注目したい。 ティモシー・シャラメに憧れているというウディ。次回作の公開も控える中、今後の目標について訊かれると「これからも役者として活躍して、いつかは素敵な家にも住みたい。役者として限界まで挑み、やめなければいけない時がくるまで続けたい。いずれ監督にもチャレンジしたい」と即答。好きな日本のカルチャーについては、「好きなアーティストのジャケットを手掛けてる村上隆かな」と朗らかに明かした。早熟の天才子役、今後の活躍から目が離せない。 PROFILE ウディ・ノーマン(Woody Norman)/ジェシー役 2009年生まれ、イギリス出身。2015年、TVドラマ『法医学捜査班 silent witness シーズン18』で俳優デビューし、以降イギリスを拠点に俳優活動を行う。「エジソンズ・ゲーム」(17)では主演ベネディクト・カンバーバッチの息子役を務めた。その他の出演作はTVドラマ『ホワイト・プリンセス エリザベス・オブ・ヨーク物語』(17/Stars)、『トロイ伝説:ある都市の陥落』(18/BBC・Netflix)、『レ・ミゼラブル』(18/BBC)、『宇宙戦争』(19/BBC)、『風の勇士 ポルダーク シリーズ5』(19/BBC)など。公開待機作に、アンドレ・ウーヴレダル監督の『Last Voyage of the Demeter(原題)』、サミュエル・ボーディン監督『Cobweb(原題)』がある。 本作での受賞・ノミネート歴 ★ロンドン映画批評家協会の若手イギリス/アイルランド人俳優賞受賞 ★ハートランド国際映画祭:パイオニアリング・スピリット賞 ライジング・スター受賞 ★デトロイト映画批評家協会賞:ブレイクスルー賞受賞 ★ワシントンDC映画批評家協会賞:ベスト・ユース演技賞受賞 ★英国アカデミー賞:助演男優賞ノミネート ★シアトル映画批評家協会賞:ユース・パフォーマンス賞ノミネート ★ラスベガス映画批評家協会賞:ベスト・ユース男優賞ノミネート ★ロンドン映画批評家協会:若手イギリス/アイルランド人俳優ノミネート ★オンライン女性映画批評家協会賞:ブレイクスルー・パフォーマンス賞ノミネート ★放送映画批評家協会賞:ベスト・ヤング・アクター賞ノミネート © 2021 Be Funny When You Can LLC. All Rights Reserved. ▶︎ 「カモン カモン」の第1弾記事はこちら -
ジュード・ロウ主演の夫婦崩壊スリラー「不都合な理想の夫婦」
2022年3月17日ジュード・ロウとキャリー・クーンが夫婦を演じ、「マーサ、あるいはマーシー・メイ」のショーン・ダーキンがメガホンをとった『THE NEST』(原題)が、「不都合な理想の夫婦」の邦題で4月29日(金)よりkino cinéma横浜みなとみらい、kino cinéma立川髙島屋S.C.館、kino cinéma天神ほかで全国順次公開される。 サンダンス映画祭のプレミア上映で話題を呼び、英国インディペンデント映画賞で6部門にノミネートされた「不都合な理想の夫婦」。虚飾と野望が“理想の夫婦”を崩壊させていくさまをスリリングに描き出す。 主人公ルーニーを演じるのは「ファンタスティック・ビースト」や「シャーロック・ホームズ」シリーズでおなじみのジュード・ロウ。その妻アリソン役には、『FARGO/ファーゴ3』でエミー賞にノミネートされ、近年は「ゴーストバスターズ/アフターライフ」など話題作への出演が続くキャリー・クーン。そして監督は、「マーサ、あるいはマーシー・メイ」でサンダンス映画祭監督賞に輝いたショーン・ダーキン。英米の両国で暮らしたダーキンが、そこで感じた文化的差異をもとに脚本を手がけ、映画化した。 解禁されたポスタービジュアルは、社会的成功を求めてロンドンに移住してきた夫婦を捉えている。だがふたりは横並びではなく距離を置き、野心的な夫が余裕の笑みを見せる一方、妻は夫に不信の眼差しを向けているようだ。「夢を追うほど、悪夢になった。」というコピーが予感させる、夫婦の転落劇。美しくもダークなスリラー体験が、観る者を戦慄させるはずだ。 Story 1986年。NYで貿易商を営む英国人のローリーは、米国人の妻アリソン、息子、娘の4人で幸せに暮らしていた。そんな中で彼は、大金を稼ぐ夢を追い、好景気に沸くロンドンへの移住を妻に提案。かつての上司が経営する商社に舞い戻ると、その才能を周囲に評価され、歓迎される。プライベートではロンドン郊外に豪邸を借り、息子を名門校に編入させ、妻には広大な敷地を用意。それはまるで、アメリカン・ドリームを掴んだ勝者の凱旋のようだった。しかしある日、アリソンは馬小屋の工事が進んでいないことに気づく。業者に問い合わせると、支払いが滞っており、さらには新生活のための貯金が底を突いていることが明らかに……。 「不都合な理想の夫婦」 監督・脚本:ショーン・ダーキン 出演:ジュード・ロウ、キャリー・クーン 2019年/イギリス/英語/107分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:The Nest/字幕翻訳:高山舞子 映倫:R15+ 提供:木下グループ 配給:キノシネマ ©Nest Film Productions Limited/Spectrum Movie Canada Inc. 2019 公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/thenest