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修道女の起こした奇蹟は本物か狂言か? ポール・ヴァーホーベン新作「ベネデッタ」
2022年9月13日17世紀に実在した修道女ベネデッタ・カルリーニの数奇な運命を描き、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されたポール・ヴァーホーベン監督作「ベネデッタ」が、2023年2月17日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。 幼い頃から聖母マリアやキリストのビジョンを見続け、聖痕が現れてイエスに娶られたと報告し、民衆に聖女と崇められるもやがてレズビアンとして告発されたベネデッタ。その裁判記録『ルネサンス修道女物語―聖と性のミクロストリア』(J.C.ブラウン著/1988刊)を読んで彼女の人物像に魅せられたヴァーホーベンが、挑発的なセクシュアル・サスペンスを撮り上げた。 「おとなの恋の測り方」「エル ELLE」のヴィルジニー・エフィラがベネデッタを演じ、シャーロット・ランプリングが宗教をビジネスとしか捉えていない修道院長役、ランベール・ウィルソンが威嚇的で欲深い教皇大使役、ギリシャの女優ダフネ・パタキアがベネデッタと秘密の関係を深めるバルトロメア役で登場する。 ポール・ヴァーホーベン監督のコメント ベネデッタの物語の独特な性質に惹かれたんだ。17世紀初めにレズビアンの裁判があったこと、裁判の記録や本書のセクシュアリティの描写がとても詳細なことにも感銘を受けた。そしてこの時代、女には何の価値もなく、男に性的喜びを与え、子供を産むだけの存在とみなされていたにもかかわらず、ベネデッタが手段はどうあれ、完全に男が支配する社会で、才能、幻視、狂言、嘘、創造性で登り詰め、本物の権力を手にした女性だったという点だ。私の映画の多くは女性が中心にいる。つまり、ベネデッタは「氷の微笑」「ショーガール」「ブラックブック」「エル ELLE」のヒロインたちの親戚というわけさ。 各紙レビュー(抜粋)は以下の通り。 宗教や欲望に関する作品は目新しいものではないかもしれないが、性的および政治的権力の描写によって信じられないほど楽しい作品となった。 ──IGN 「ベネデッタ」はこれまでの彼の作品と同じように、主人公である女性のベネデッタが男性の支配する世界で権力を握り、徐々に自分の声を見つけて解放を達成させる物語となっている。 ──The Hollywood Reporter 「ベネデッタ」はヴァーホーベンの集大成のように感じた。彼は1つの物語に性と腐敗、壊れたシステム、そして挑発を盛り込み、楽しく観ながらも深く考えさせてくれる作品を作り上げた。 ──Roger Ebert ヴァーホーベンがまたやってくれたなという気持ちだ。恐らく2021年で最も挑発的な作品であり、時代劇及びブラックコメディ、エロティック・スリラーなど様々なジャンルを合わせた作品であった。監督は今回神聖な宗教と冒涜的な性愛を結びつけたのだ。 ──Polygon ポール・ヴァーホーベンは「ショーガール」で描いたものを、信仰深い若い女性を主人公とした奇想天外な修道院映画に作り替えた。 ──The Guardian Story 17世紀のペシアの町(現在のイタリア・トスカーナ地方)。幼い頃から聖母マリアと対話して奇蹟を起こす少女とされていたベネデッタは、6歳で出家してテアティノ修道院に入る。純粋無垢なまま成人したベネデッタはある日、修道院に逃げ込んできた若い女性バルトロメアを助ける。様々な心情が絡み合って2人は秘密の関係を深めるが、ベネデッタが聖痕を受け、イエスに娶られたとみなされて新しい修道院長に就任したことで、周囲に波紋が広がる。民衆には聖女と崇められ、ペシアでの権力を手にしたベネデッタだったが、彼女に疑惑と嫉妬の目を向けた修道女の身に耐えがたい悲劇が起きる。そして、ペストの流行にベネデッタを糾弾する教皇大使の来訪が重なり、ペシアの町全体にさらなる混乱が生まれようとしていた……。 「ベネデッタ」 監督:ポール・ヴァーホーベン 脚本:デヴィッド・バーク、ポール・ヴァーホーベン 原案:ジュディス・C・ブラウン『ルネサンス修道女物語―聖と性のミクロストリア』 出演:ヴィルジニー・エフィラ、ダフネ・パタキア、シャーロット・ランプリング、ランベール・ウィルソン 2021/フランス・オランダ/131分/R18+/原題:BENEDETTA 配給:クロックワークス © 2020 SBS PRODUCTIONS - PATHÉ FILMS - FRANCE 2 CINÉMA - FRANCE 3 CINÉMA HP:https://klockworx-v.com/benedetta/ -
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世界的建築家アルヴァ・アアルトが妻と辿った創作人生に迫る「アアルト」
2022年9月13日フィンランドを代表する建築家・デザイナーのアルヴァ・アアルトの人生と作品に迫るドキュメンタリー「アアルト」が、2023年秋にヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国順次公開。ティザーポスタービジュアルが到着した。 アルヴァ・アアルト(1898-1976)が2023年に生誕125年を迎えることを記念して公開される本作。長年、彼の映画を撮りたいと考えていたフィンランドの女性監督ヴィルピ・スータリが、アルヴァの創造(建築はもとより、アルテックの家具やイッタラの食器などの誕生秘話も見どころ)、および同様に建築家だった妻アイノとの愛を紐解き、フィンランドのアカデミー賞と称される2021年ユッシ賞の音楽賞と編集賞を受賞した。 アトリエで共に作業するアアルト夫妻を据えたポスターは、「私がいつも基準にしてるのは、“人間”だ。人間は、松や白樺と同じように自然の一部である」というアルヴァの言葉を具現化したような、シンプルでしなやかなデザインとなっている。 「アアルト」 監督:ヴィルピ・スータリ 配給:ドマ 宣伝:VALERIA 後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター 協力:アルテック、イッタラ 2020年/フィンランド/103分/原題:AALTO ©FI 2020 - Euphoria Film 公式HP:aaltofilm.com -
朝井リョウの小説『正欲』が稲垣吾郎 × 新垣結衣共演、岸善幸監督で映画化
2022年9月12日『桐島、部活やめるってよ』『何者』などで知られる朝井リョウが作家生活10周年に書き上げ、第34回柴田錬三郎賞を受賞した話題作『正欲』が、稲垣吾郎と新垣結衣の共演で、「あゝ、荒野」「前科者」の岸善幸のメガホンにより映画化することが決定。キャスト、監督、原作者のコメントが到着した。 家庭環境や性的指向において“普通”から外れた人々を同じ地平で描写しながら、生きていくための推進力となるものを炙り出していく原作小説を、港岳彦の脚本により、ある種のラブストーリーとして映画化する「正欲」。 不登校の息子を持つ検察官の寺井啓喜(てらい・ひろき)を稲垣吾郎、特殊性癖を隠して生きる桐生夏月(きりゅう・なつき)を新垣結衣が演じる。 各者のコメントは以下。 稲垣吾郎 脚本を読み終えた時、この作品に関われる事を嬉しく思いました。難しい題材にチャレンジする、監督、スタッフの皆様と共に丁寧に演じていきたいと思います。 新垣結衣 原作を読んで、何かを問われたような気持ちになりました。それは、「何が正しいか」とかそういう単純なものではないような、でも実はとてもシンプルなことのような気もしました。考え続ける事、想像し続ける事をいつも以上に大切にしながら、制作に臨めたらと思っています。岸監督とは初めてご一緒しますが、初顔合わせから親身に役についての相談などを聞いてくださり、とても心強く、感謝しています。撮影では、自分なりに、夏月達が生きる世界を必死に生きたいと思います。 監督・岸善幸 原作の衝撃と感動がずっと消えません。朝井さんの“視点”が生み出した登場人物たち、その感情をどう表現するべきか、模索が続いています。稲垣吾郎さん、新垣結衣さんをはじめとするキャストの皆さんとの対話を重ねて、少しずつ輪郭が浮かび上がってきたところです。人と人のつながりを描こうと思います。大切なのに、難しい、つながり。世界から「普通ではない」と片づけられてしまう人たちの、歪みのないつながりを描こうと思います。 原作・朝井リョウ 言葉にするとは線を引くということです。明確に名付けがたい感情や現象に無理やり輪郭を与えてしま うのが、言葉です。 映画には、表情、声色、沈黙など、言葉以外のものが沢山映ります。それらが、私が書きながら取りこ ぼしていったものたちを一つでも多く拾い上げてくれることを願っています。 そして、この物語の核が、いい映画を創るという意思以外の部分で歪められることのないよう、緊張感 とともに祈っています。 「正欲」 原作:朝井リョウ『正欲』(新潮社刊) 監督:岸善幸 脚本:港岳彦 制作:テレビマンユニオン 製作幹事:murmur 配給:ビターズ・エンド -
ユダヤ人絶滅政策を決定した会議の全貌とは?「ヒトラーのための虐殺会議」
2022年9月10日1,100万ものユダヤ人抹殺を決定したナチス・ドイツの〈ヴァンゼー会議〉の全貌を描く「ヒトラーのための虐殺会議」が、会議からちょうど81年後の2023月1月20日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国公開される。 1942年1月20日正午、国家保安部代表のラインハルト・ハイドリヒによりナチス親衛隊員と事務次官らがベルリンのヴァンゼー湖畔にある大邸宅に招かれ、会議が開かれた。議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」で、“最終的解決”とはヨーロッパにおける1,100万ものユダヤ人を計画的に駆除、つまり抹殺することを意味するコード名だ。移送、強制収容、強制労働、計画的殺害など各方策は、誰一人として異論を唱えることなくたった90分で議決される──。 すべてのドイツ占領地および同盟国から東ヨーロッパの収容所へのユダヤ人強制送還の始まりとなったヴァンゼー会議を、アドルフ・アイヒマンの議事録に基づき、80年後の2022年に映画化した「ヒトラーのための虐殺会議」。 「ヨーロッパにいる全ユダヤ人の駆逐が、冷静な会話によって議論され決められていく様子を事実に基づいて描こうと思いました」と言うマッティ・ゲショネック監督が、出席者15名がまるでビジネスのように大量虐殺を承認していく異様な光景を描き出す。 「ヒトラーのための虐殺会議」 監督:マッティ・ゲショネック 出演:フィリップ・ホフマイヤー、ヨハネス・アルマイヤー、マキシミリアン・ブリュックナー 2022年/ドイツ/112分/ビスタ/5.1ch 原題:Die Wannseekonferenz/英題:THE CONFERENCE/字幕翻訳:吉川美奈子/配給:クロックワークス/G © 2021 Constantin Television GmbH, ZDF 公式HP:https://klockworx-v.com/conference/