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本家「ブレイキング・バッド」をも凌ぐ完璧なスピンオフ
2020年5月19日配信ムービー・ピックアップ・レビューその3 「ベター・コール・ソウル」 Netflixオリジナルシリーズ「ベター・コール・ソウル」シーズン1~5独占配信中 数ある配信ムービーのなかから、選りすぐりの作品のレビューをお届け。映画・音楽ジャーナリスト、宇野維正氏によるオススメは史上最高のテレビシリーズと誉も高いこの作品から! 本家「ブレイキング・バッド」をも凌ぐ完璧なスピンオフ 2015年、『ブレイキング・バッド』の前日譚にして、同作のサブキャラクターにすぎなかった弁護士ソウル・グッドマンを主人公とするテレビシリーズ『ベター・コール・ソウル』が始まった頃、自分も含め多くの人は本作を『ブレイキング・バッド』の「スピンオフ作品としてはすごく面白い」程度の作品だと見なしていた。ところが、シーズンを追うごとに本作の野心が明らかになっていく。オバマケアを背景に、ただ人間的な生活を送りたかっただけなのに、違法行為に手を染めることになる(=ブレイキング・バッド)化学教師を主人公とする『ブレイキング・バッド』と、実は本作のテーマは同じ。ニューメキシコ州アルバカーキを舞台に、のちに悪徳弁護士「ソウル・グッドマン」として名を馳せることになるジミー・マッギルと彼の周辺のキャラクターたちが、それぞれ道を踏み外していく過程が じっくりと描かれる。そして、本作の野心とは、「史上最高のテレビシリーズ」としての評価を確立した『ブレイキング・バッド』を、演出の細かいニュアンスにおいても、脚本の精密さにおいても、撮影や照明の美しさにおいても、プロダクション・デザインの完璧主義においても、あらゆる点で超えようとしているところ。結論を言うと、ここまでそれを完全に実現している。 現在はシーズン5の佳境(ネットフリックスで、 北米のケーブル局AMCでの放送と同日に最新エピソードを配信中)。テレビシリーズというと「人気があるうちはダラダラ続けて人気がなくなった途端に打ち切られる」というイメージがあるかもしれないが、『ブレイキング・バッ ド』の時と同様に本作も人気のピークが来る前にシリーズ終了のタイミングを公表。次のシーズン6エピソード13がファイナルになることが予告されている。ちなみにそこまでの合計エピソード数は63。つまり、人気絶頂期に62のエピソードでファイナルを迎えた『ブレイキング・バッド』を1エピソードだ け「超える」ことになる。 映画の配信作品が話題の中心となる今回の特集で、何よりも真っ先にテレビシーズの『ベター・コール・ソウル』を推したいのは、洗練されたストーリーテリングから計算し尽くされた画面構成にいたるまで、あらゆる「映画的」な美点において、ここ数年作られてきたすべての映像作品の中で本作が一つも二つも頭抜けていると強く確信しているからだ。未見の方はエピソード数の多さに尻込みするかもしれないが、それだけの価値は保証します。 文・宇野維正 『ベター・コール・ソウル』 2015年製作・アメリカ・テレビシリーズ(シーズン1~5) 製作総指揮:ヴィンス・ギリガン、ピーター・グールド 出演:ボブ・オデン カーク、ジョナサン・バンクス、マイケル・マッキーン、レイ・シーホーン、パトリック・ファビアン、マイケル・マンド ◎Netflixにて配信中 -
幸せな主婦がひょんなことからコメディアンの道に!?
2020年5月18日配信ムービー・ピックアップ・レビューその2 『マーベラス・ミセス・メイゼル』 Amazon Prime Videoにてシーズン1~3を独占配信中 数ある配信ムービーのなかから、選りすぐりの作品のレビューをお届け。文筆家・長谷川町蔵氏によるオススメ第2弾は、2020年代のロマンティック・ コメディを牽引していく女優によるによるシリーズ! 幸せな主婦がひょんなことからコメディアンの道に!? 1958年のニューヨーク。アッパーウエストの高級マンションに住む専業主婦で二児の母でもあるミッジはある日、夫の浮気を知ってワインを痛飲。泥酔状態のままナイトクラブのステージに乱入して愚痴をブチまけたところ客に大ウケしてしまう。その様子を目撃していた店員のスージーは彼女の笑いの才能に驚嘆。自らマネージャー役を買って出て、ふたりはスタンダップコメディ(漫談)のシーンへと足を踏み入れていく......。 『マーベラス・ミセス・メイゼル』のこうしたプロットを読んで、サリー・ フィールドとトム・ハンクスが共演した「パンチライン」(88)のような物語を想像してしまう人は多いはずだ。しかし本作はそ んな安易な予想の裏をかく。仕事と子育て が両立できないとか、お堅い両親との葛藤 といったウェットな要素は意図的にスルー。代わりに 50年代末のポップな風俗とともに、 主人公をやがて訪れる変革の60年代の先駆けとしてポジティブに描いているのだ。 そんなポジティブな光が眩いからこそ、闇も映える。ミッジが実在の天才コメディアン、レニー・ ブルースや前衛画家と交流するエピソードは、 お笑い芸人が必然的に抱えている狂気をこれ以上ないくらい鮮やかに表現している。又吉直樹は『火花』を書く前に本作を観るべきだったと思う。 クリエイターは、「ロッキー」シリーズのバー テンダー、アンディ役で知られるスタンダップ コメディアン、ドン・シャーマンの娘でもあるエイミー ・ シャーマン=パラディーノとその夫ダニエル・パラディーノ。ファミリードラマ でありながら、ダイアローグの中にマニアックなポップカルチャー・ネタが次々飛び出すことで今なおカルトな人気を誇る『ギルモア・ガールズ』(TV、00〜07)の作者として知られていたコンビだが、アマゾンの豊富な製作資金を得た今作では映像作家としての才能も開花している。ユダヤ系上流階級の避暑地として知られるキャッツキルや黄金時代のラスヴェガスを舞台にしたエピソードで展開される視覚的なギャグは、 ジャック・タチの監督作のようだ。 ジョーン・リバースら黎明期の女性スタンダップコメディアンたちを統合させたかのような主人公ミッジを快演しているのは、ネットフリックスドラマ『ハウス・ オブ・カード 野望の階段』のレイチェル役で注目されたレイチェル・ブロスナハン。キュートなルックスとマシンガントークを武器に、2020年代のロマンティック・ コメディを牽引していく女優になるはずだ。 文=長谷川町蔵 『マーベラス・ミセス・メイゼル』はAmazonプライム・ビデオにて配信中。 2017年製作・アメリカ・テレビシリーズ(シーズン1~3) 製作総指揮:エイミー・シャーマン=パラディーノ 出演:レイチェル・ブロス ナハン、マイケル・ジーゲン、アレックス・ボースタイン ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその1「ルディ・レイ・ムーア」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその2『マーベラス・ミセス・メイゼル』はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその3「ベター・コール・ソウル」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその4「アンカット・ダイヤモンド」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその5「ホース・ガール」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその6「ウィルソン」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその7「マンダロリアン」はこちらから -
エディ・マーフィが 久々の主演作で魅せる“ 深み”
2020年5月18日配信ムービー・ピックアップ・レビューその1 「ルディ・レイ・ムーア」 Netflix映画『ルディ・レイ・ムーア』独占配信中 数ある配信ムービーのなかから、選りすぐりの作品のレビューをお届け。文筆家・長谷川町蔵氏によるオススメ第1弾は、あの人気コメディアンが放つ伝記映画! エディ・マーフィが久々に主演作で魅せる”深み” 1970年代のロサンゼルス。 40代になってもいっこうに芽が出ないR&B歌手のルディ・ レイ・ムーアは、ホームレスの老人が喋るホラ話をパクってクラブで披露したところ 大ウケ。“ドールマイト”というペルソナを演じるスタンダップ・コメディアンとして人気を博すようになる。 自主製作の漫談アルバムもヒットして生活が安定してきたルディだったが、 彼には夢があった。カンフーで悪党を退治するピンプ(ポン引き)を描いたアクション映画に主演することだ!スポンサーがいなければ自腹で撮影すればいい。 口八丁で仲間たちを巻き込んだルディは、 一世一代の賭けに打ってでるのだが......。 エディ・マーフィ久々の主演作は実在の黒人コメディアン、ルディ・レイ・ムーアの伝記映画となった。ルディと異なり20歳そこそこでスターになったエディだが、脂が抜けて冴えない中年役が似合うように。 「こんな歳だけど一花咲かせたい」というルディに、第一線に返り咲きたいという自分の想いを投影した深みのある演技を披露してくれる。 そんなエディの復帰に、クリス・ロックや ウェズリー・スナイプス、マイク・エップスと いった友人たちに加えて、クレインやキーガン=マイケル・キー、タイタス・ バージェスといった今ノッてる中堅も参戦。黒人コメディアンたちからエディがいかにリスペクトされているかを痛感させられる。 脚本を手掛けたのは、「ラリー・フリント」(96)や「マン・オン・ザ・ムーン」(99)など、 奇人の伝記映画を作らせたら右に出る者がないスコット・アレクサンダーとラリー・カラゼウスキーのコンビ。劇中でスナイプス扮する実在の俳優ダーヴィル・マーティンがルディに「俺が『ローズマリーの赤ちゃん』で共演したジョン・カサヴェテスも私財を投じて映画を作った。お前も諦めるな」と励ますシーンは、彼らの出世作「エド・ウッド」 (94)における主人公とオーソン・ウェルズ の邂逅シーンの粋な本歌取りになっている。 監督は、「ハッスル&フロウ」(05)や「ブラック・スネーク・モーン」(06)で知られる鬼才クレイグ・ブリュワー。「フットルース 夢に向かって」(11)以来、長篇映画を撮れないでいた彼だが、泥臭くブルージーな作風は健在だ(白人だなんて到底信じられない )。 なおブリュワーの手腕を評価したエディは、今年公開予定「星の王子 ニューヨークへ行く」(88)の続篇の監督にブリュワーを指名している。 文=長谷川町蔵 「ルディ・レイ・ムーア」 2019年製作/118分/アメリカ 監督:グレイグ・ブリュワー 出演:エディ・マーフィ、キーガン=マイケル・キー、マイク・エップス ◎Netflixにて配信中 ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその2『マーベラス・ミセス・メイゼル』はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその3「ベター・コール・ソウル」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその4「アンカット・ダイヤモンド」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその5「ホース・ガール」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその6「ウィルソン」はこちらから ・配信ムービー・ピックアップ・レビューその7「マンダロリアン」はこちらから -
【訃報】映画業界 2020年5月
2020年5月1日映画界に多大なる貢献を頂きました皆様のご冥福をお祈りいたします。 エルゼ・ブラングステッドさん(米/映画音楽編集者) 5月1日に死去。99歳。ドイツのヴュルツブルク生まれ。ユダヤ人家庭に生まれて37年にナチスを逃れて渡米し、「サムソンとデリラ」49の端役で女優として始動後、ワーナー・ブラザース社のスタジオで職を得る。「ジャスティス」79、「黄昏」81、「トッツィー」82、「カラーパープル」「グーニーズ」85、「ミラグロ/奇跡の地」88、「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」89や、TV映画『ヘルター・スケルター』76など長年にわたり数々の作品に携わり、06年に音響編集者組合より最初の生涯功労賞をプレゼンターのロバート・レッドフォードから授与された。夫は映画編集者のフォルマー・ブラングステッド。 フランシス・メゲイ氏(英/映画監督、脚本家) 5月1日、がんのため死去。85歳。「孤独のヒーロー/タフィン」87、「レッド・サン・ライジング」93、「ケビン・ジョンソンの失踪」96や、“Minder”79‐94、“Lovejoy”86‐94、『悪魔の異形』80などTVドラマや、ドキュメンタリーも数多く手掛けた。 木藤聡子さん(きとう・さとこ/声優) 5月1日に死去。58歳。80年代より始動し、OVA『吸血鬼ハンターD』85のラミーカ役、『それいけ!アンパンマン』88‐のあざみちゃん役、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』96‐98の土方レイ役のほか、数々の海外作品の吹き替えや、『プロ野球 珍プレー・好プレー大賞』83‐のナレーションなども務めた。 スー・ブルース=スミスさん(英/映画プロデューサー) 5月2日、がんのため死去。62歳。アイルランドのダブリン生まれ。フィルム4の広告やブランド戦略のトップとして活躍し、スティーヴ・マックィーン監督の「SHAME ‐シェイム‐」11、「それでも夜は明ける」13、ヨルゴス・ランティモス監督の「ロブスター」15、「女王陛下のお気に入り」18、レニー・アブラハムソン監督の「FRANK ‐フランク‐」14、「ルーム」15などや、「the Future ザ・フューチャー」11、「ウィークエンドはパリで」13、「ハイ・ライズ」15、「ビューティフル・デイ」17など数々の作品に携わり、19年にBAFTA賞特別賞を授与された。 ジョン・エリクソン氏(米/俳優) 5月3日、肺炎のため死去。93歳。ドイツのデュッセルドルフ生まれ。ナチスを逃れて3歳で米国に移住し、名門アメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツでグレース・ケリーらと同窓で学ぶ。「ラプソディー」54、「四十挺の拳銃」57、「ベッドかざりとほうき」71、「クラッシュ!」76や、主人公の女探偵の相棒役にふんした『ハニーにおまかせ』65‐66、『特攻野郎Aチーム』83‐87、『ジェシカおばさんの事件簿』84‐96などTVドラマや舞台で活躍した。 ジョン・メイホン氏(米/俳優) 5月3日に死去。82歳。12歳でポリオを患う。大学で後にピューリッツァー賞に輝くジェイソン・ミラーと出逢い、卒業後ニューヨークに渡る。71年にミラー作“Nobody Hears a Broken Drum”でニューヨーク演劇批評家賞候補となったほか、舞台演出家としても活躍。「エクソシスト」73、「カウチ・トリップ」88、「アメリカン・プレジデント」95、「L.A.コンフィデンシャル」97、「アルマゲドン」98、「ゾディアック」07や、『ロックフォードの事件メモ』74‐80、『X-ファイル』93‐18などTVドラマにも出演した。 ノーマ・ドゲットさん(米/女優) 5月4日に死去。94歳。ダンサーとしてブロードウェイ・ミュージカルなどで活躍後、オーディションを勝ち抜き「掠奪された七人の花嫁」54に花嫁のひとりマーサ役で出演した。 レスリー・A・ポープさん(米/セットデコレーター、プロダクション・デザイナー) 5月6日に死去。65歳。大学で生物学士を取得後、ニューヨークに渡り映画界入り。美術監督組合賞を受賞した「アベンジャーズ/エンドゲーム」19や、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」14、「アントマン」15など数々のマーヴェル作品のほか、「黄昏に燃えて」87、「カリートの道」93、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」02、「ジャンゴ 繋がれざる者」12などを手掛けた。 リトル・リチャード氏(米/歌手) 5月9日、骨がんのため死去。87歳。50年代半ばに始動。〈Long Tall Sally〉56、〈Lucille〉57、〈Good Golly Miss Molly〉58などヒットを飛ばし、インパクトの強いメイクにエネルギッシュな歌唱とピアノ演奏で、ロックンロールの先駆者のひとりとして後進に多大な影響を与え、〈Tutti Frutti〉55は10年にアメリカ議会図書館によって全米録音資料登録簿に加えられる。「女はそれを我慢できない」56の同名主題歌〈The Girl Can’t Help It〉を唄ったほか、「ビバリーヒルズ・バム」86、「ラスト・アクション・ヒーロー」93や、『フルハウス』87‐95、『新・刑事コロンボ/影なき殺人者』91、『ラスベガス』93‐08などTVドラマにも出演した。 ロン・ジスキン氏(米/TVプロデューサー) 5月9日に死去。69歳。バンドのバスギター奏者として高校在学中より始動し、73年に大学で放送学士取得後、TV界に。競技形式の人気スポーツバラエティ“American Gladiators”89‐97で95年にデイタイム・エミー賞候補となったほか、『デス・ゲーム2025』98、『愛する勇気』00、『新・グッバイ・ガール』04などTV映画も手掛けた。 ジーノ・シルヴァ氏(米/俳優) 5月9日に死去。72歳。「スカーフェイス」83の寡黙なヒットマン役で印象を残したほか、スティーヴン・スピルバーグ監督の「1941」79、「アミスタッド」「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」97や、「テキーラ・サンライズ」88、「マルホランド・ドライブ」01、「ブルドッグ」03や、『ヒル・ストリート・ブルース』81‐87、『エイリアス』01‐06などTVドラマ、舞台でも活躍した。 マーティン・パスコ氏(加/コミックライター、脚本家) 5月10日に死去。65歳。カナダのモントリオール生まれ。73年より漫画出版社“DCコミックス”で『スーパーマン』ほか数々の作品を様々なメディアで手掛ける。TV界でも脚本家やストーリー・エディターとして活躍し、93年に『バットマン』92‐95でデイタイム・エミー賞を受賞したほか、『地上最強のエキスパートチームG.I.ジョー』85‐86、『ミュータント・タートルズ』87‐96などTVアニメーションや、『トワイライト・ゾーン』85‐89、『マックス・ヘッドルーム』87‐88など実写ドラマ、TVシリーズのスピンオフ映画「バットマン/マスク・オブ・ファンタズム」93なども手掛けた。 ジェリー・スティラー氏(米/コメディアン、俳優) 5月11日に死去。92歳。第二次大戦に従軍後、シラキューズ大学で演技を学ぶ。53年に舞台で始動し、同年に出逢ったアン・メイラと翌年結婚。コメディ・デュオ“スティラー&メイラ”を組み、コメディクラブでの公演や『エド・サリヴァン・ショー』48‐71などTVで人気を博し、冠番組“The Stiller and Meara Show”86も制作。俳優としても、人気ドラマ『となりのサインフェルド』89‐98のフランク・コスタンザ役で97年にエミー賞候補になったほか、『SEX AND THE CITY』98‐04、『グッド・ワイフ』09‐16などTVドラマや、息子ベンと共演した「ズーランダー」01、「ライラにお手あげ」07や、「サブウェイ・パニック」74、07年のリメイク版にも登場した「ヘアスプレー」88などで活躍した。 ミシェル・ピッコリ氏(仏/俳優) 5月12日、脳卒中のため死去。94歳。第二次大戦後に舞台で始動し、モリエール賞候補に2度なるなど活躍。映画も、「軽蔑」63でブリジット・バルドー演じる女優の脚本家の夫役で注目を集め、“Salto nel vuoto”80でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞、“Une étrange affaire”82でベルリン国際映画祭男優賞、「ローマ法王の休日」11でダヴィド・ディ・ドナテッロ賞を受賞。ルイス・ブニュエル監督と「昼顔」67、「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」72など6作で組んだほか、「ロシュフォールの恋人たち」66、「トパーズ」69、「汚れた血」86、「五月のミル」89、「美しき諍い女」91、「家路」01、「ここに幸あり」「夜顔」06、「エレニの帰郷」08、「ホーリー・モーターズ」12など近年まで精力的に活動し、11年にヨーロッパ映画賞名誉賞を受賞。90年代より監督業にも進出したほか、平和運動にも尽力した。 浅野孝已氏(あさの・たかみ/“ゴダイゴ”ギタリスト) 5月12日、虚血性心不全のため死去。68歳。65年に大口広司らと“ジュニア・テンプターズ”を結成後、16歳でプロとして始動。ミッキー吉野に誘われ、75年に“ゴダイゴ”結成に参加し、『西遊記』78‐79のテーマ曲〈モンキー・マジック〉〈ガンダーラ〉や、「銀河鉄道999」79の同名主題歌などヒットを放つ。85年の活動停止後はソロに転向し、岡本真夜の〈TOMORROW〉95のプロデュースや、ゲーム音楽の作曲なども手掛けた。 ジョージ秋山氏(じょーじ・あきやま/本名=秋山勇二/漫画家) 5月12日に死去。77歳。貸本漫画の取次店で働く傍ら漫画家を志し、森田拳次のアシスタントを経て66年に『ガイコツくん』でデビュー後、68年に『パットマンX』で講談社児童まんが賞を受賞。70年には、『週刊少年サンデー』誌で『銭ゲバ』を、『週刊少年マガジン』誌で『アシュラ』の連載をスタートさせ、それまでのギャグ漫画から作風を一転させた問題作として衝撃を与え、前者は70年に映画化、09年にTVドラマ化、後者は12年にアニメーション映画化される。73年より『ビッグコミックオリジナル』誌で連載された『浮浪雲』は17年9月まで続く人気作となり、78年度の小学館漫画賞を受賞し、渡哲也とビートたけし主演で2度TVドラマ化され、82年にアニメーション映画化。他に、美保純主演で映画版3作が作られた『ピンクのカーテン』80‐84、『恋子の毎日』85‐92、『捨てがたき人々』96‐99などが映画化された。 デイヴィッド・ニコルズ氏(米/プロダクション・デザイナー、ヴィジュアル・コンサルタント) 5月13日に死去。78歳。「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー」89、「恋はデジャ・ブ」93、「陽のあたる教室」95などのプロダクション・デザイナーや、「ミーン・ストリート」73、「タクシードライバー」「ロッキー」76などのヴィジュアル・コンサルタントを務めた。 一井久司氏(いちい・ひさし/元NHKプロデューサー、演出家) 5月14日、胆管がんのため死去。68歳。東京外国語大学卒業後、NHKに入社。10年に退職するまで、『武田信玄』88、『春日局』89、『武蔵 MUSASHI』03など大河ドラマ、『澪つくし』85、『芋たこなんきん』06‐07など朝の連続テレビ小説のほか、『寺子屋ゆめ指南』97‐98、『陰陽師』01、『大化改新』05など数々のTVドラマの演出や製作に携わった。 リン・シェルトンさん(米/映画・TV監督、脚本家) 5月15日、血液疾患のため死去。54歳。ワシントン大学で演技を、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで写真を学ぶ。30代半ばで短篇制作を始め、初長篇“We Go Way Back”06でスラムダンス映画祭グランプリを受賞。カンヌ国際映画祭監督週間で上映された“Humpday”09もサンダンスなど数々の映画祭で高評を得たほか、「ラブ・トライアングル」11、「アラサー女子の恋愛事情」14や、『MAD MEN』07‐15、『GLOW : ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』17‐などTVドラマも手掛け、『リトル・ファイアー ~彼女たちの秘密』20では死去後の今年7月のエミー賞で候補になった。 フレッド・ウィラード氏(米/俳優) 5月15日に死去。86歳。60年代より『エド・サリヴァン・ショー』48‐71などTVや、シカゴの即興演劇集団“セカンド・シティ”に参加するなど始動し、“Fernwood 2 night”77のトーク番組の司会者役でブレイク。アメリカン・コメディ・アワードなど数々の賞に輝いた「ドッグ・ショウ!」00などクリストファー・ゲスト監督作品のほか、「大陸横断超特急」76、「おかしな泥棒ディック&ジェーン」77、「愛しのロクサーヌ」87、「ウェディング・プランナー」01、CGによる実写で登場した「ウォーリー」08などにも出演。『Hey!レイモンド』96‐05のハンク役で03~05年に連続でエミー賞候補となったほか、10年にも候補となった『モダン・ファミリー』09‐20で死去後の今年7月の同賞で再びノミネートされた。 吹原幸太氏(ふきはら・こうた/脚本家、劇作家、俳優) 5月17日、脳幹出血のため死去。37歳。法政大学経営学部在学中の05年に劇団〈ポップンマッシュルームチキン野郎〉を旗揚げし、主宰・脚本・演出を担当。『オトメン(乙男)』09、『天才バカボン』シリーズ16‐18、『弱虫ペダル』16、シリーズ構成も手掛けた『ウルトラマンZ』20などTVドラマや、「日々ロック」14、17年のドラマ版から続投した「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」19などの脚本も執筆。俳優としても、「ギャングース」18などに出演した。 モニーク・メルキューレさん(加/女優) 5月17日、がんのため死去。89歳。パリやモントリオールで演技を学ぶ。“J.A. Martin Photographe”77でカンヌ国際映画祭女優賞受賞したほか、「僕のアントワーヌ叔父さん」71、「クインテット」79、ジニー賞を受賞した「裸のランチ」91、「レッド・バイオリン」98などや舞台でも活躍し、77年にカナダ勲章オフィサー、94年に最高位コンパニオンを授与され、06年にカナダ王立協会フェローに選ばれた。 ペーター・トーマス氏(独/作曲家) 5月17日に死去。94歳。FBI局員の活躍を描く「FBIハリケーン作戦」65など“ジェリー・コットン”シリーズや、「夕陽のモヒカン族」64、「宇宙人は地球にいた」70、「戦場の黄金律/戦争のはらわたⅡ」78などを手掛け、ドイツ映画賞を2度受賞したほか、60年代の楽曲が「コンフェッション」02のサウンドトラックにも使用。ドイツ初のSFシリーズとされる“Raumpatrouille Orion”66などTVも多数手掛けた。 ケン・オズモンド氏(米/俳優) 5月18日に死去。76歳。子役として「美わしき思い出」55などに出演後、『ビーバーちゃん』57‐63のエディ・ハスケル役で大ブレイク。80年代の同作の新シーズンや、劇場版「がんばれ!ビーバー」97にも同役で続投。一時期、ロス市警に18年間勤めるも、タクシー泥棒の容疑者を追跡中に発砲され重傷を負い退職した。 宮坂進氏(みやさか・すすむ/ディレクターズ・カンパニー社長) 5月19日、肺がんのため死去。72歳。慶応大学卒業後、博報堂の営業マンを経て、82年6月にディレクターズ・カンパニーの社長に就任。長谷川和彦を中心に相米慎二、根岸吉太郎、池田敏春、黒沢清、石井聰亙ら多彩な9人の監督による製作会社を経営面で支え、池田監督の「人魚伝説」84を皮切りに、「逆噴射家族」84、「台風クラブ」「ドレミファ娘の血は騒ぐ」85、「永遠の1/2」87、「スウィートホーム」89、「東京上空いらっしゃいませ」90、「死んでもいい」92など意欲作を世に送り出すも、業績は悪化の一途をたどり、92年5月に倒産した。 チャールズ・リッピンコット氏(米/パブリシスト) 5月19日、心臓発作の合併症のため死去。80歳。「スター・ウォーズ」77の宣伝に75年より携わり、現在は世界最大のポップカルチャーイベントに成長したサンディエゴ・コミコンに参加し、SFファンや若者にアピールするなど画期的なマーケティング戦略を展開。他に「エイリアン」79、「フラッシュ・ゴードン」80や、ジニー賞を受賞したドキュメンタリー「ザ・ヒストリー・オブ・アメリカン・コミックス」88の共同脚本、「ジャッジ・ドレッド」95ではプロデューサーも務めた。 ケン・ナイティンゴール氏(英/ブームオペレーター) 5月19日に死去。92歳。15年に発表された「スター・ウォーズ」77のメイキング写真での姿にちなみ“Pink Shorts Boom Guy”の愛称でファンがコスプレするなど人気を博したほか、「ユア・アイズ・オンリー」81、「オクトパシー」83、「リビング・デイ・ライツ」87など「007」シリーズや、「アルフィー」66、「ジュリア」77、「ブラジルから来た少年」78などの音響に携わった。 デニース・クローネンバーグさん(加/衣装デザイナー) 5月22日に死去。81歳。バレエダンサーを経てデザイナーに。弟デイヴィッド・クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」86を皮切りに映画衣装を手掛け、サターン賞とジニー賞の候補となった「戦慄の絆」88、「裸のランチ」91、「イースタン・プロミス」07、「マップ・トゥ・ザ・スターズ」14まで数々のクローネンバーグ監督作のほか、「ガーディアン/森は泣いている」90、「ブレス・ザ・チャイルド」00、「ドーン・オブ・ザ・デッド」04、「インクレディブル・ハルク」08、「バイオハザード Ⅳ アフターライフ」10などを手掛けた。 ヘザー・チェイセンさん(英/女優) 5月22日に死去。92歳。シンガポール生まれ。日本占領下の42年に渡英し、数々の舞台で活躍。ラジオの昼ドラマ“The Navy Lark”59‐77では20以上のキャラクターを演じ分けたほか、元ファッションモデルの新聞記者にふんした“Crossroads”64‐88や、『シャーロック・ホームズの冒険』84‐94、『イーストエンダーズ』85‐などTVドラマや、「レッド・バレッツ」11、「レ・ミゼラブル」12などに出演した。 伊藤達文氏(いとう・たつふみ/アニメーション監督) 5月23日、脳幹出血のため死去。55歳。玉川達文名義で80年代より始動。アニメーターとして、『まじかる☆タルるートくん』90‐92、『ママレード・ボーイ』94‐95、『花より男子』96‐97など数々のTVアニメーションや、「Coo 遠い海から来たクー」93、「COWBOY BEBOP 天国の扉」01など劇場版作品に携わったほか、『しゅごキャラ!!!どっきどき』09‐10、『戦姫絶唱シンフォギア』12‐19の第1期などでは監督も務めた。 ジャン=ルー・ダバディー氏(仏/作詞家、脚本家) 5月24日に死去。81歳。19歳で作家として始動後、コメディアンのギイ・ブドスのための脚本や、ミシェル・ポルナレフの〈フランスへの手紙〉77など数々のヒット曲の作詞を手掛ける。脚本家としても、アカデミー賞外国語賞候補となった「ありふれた愛のストーリー」78や「夕なぎ」72、「ギャルソン!」83など数々のクロード・ソーテ監督作のほか、「パリジェンヌ」61、「私のように美しい娘」72、「平手打ち」74、「再会の夏」18などを手掛け、77~79年まで連続でセザール賞候補に。90年にモリエール賞候補となるなど劇作家の顔ももち、08年には仏語の純化などを目的としたアカデミー・フランセーズの会員に選出された。息子はサッカー日本代表のトルシエ元監督のアシスタントだったフローラン・ダバディー。 野村岳也氏(のむら・がくや/映画監督) 5月24日、急性心筋梗塞のため死去。87歳。東京のプロダクション勤務を経て、軍医だった父が戦死した沖縄に関心を抱き、久高島で12年に1度だけ行われる祭祀を撮影した「イザイホウ」66を監督。本土に復帰後は県内に移り住み、10年に映像製作会社“海燕社”の設立に参加し、沖縄戦に従軍した女子学徒隊の生存者の証言を集めた「ふじ学徒隊」12などを手掛けた。 高瀬將嗣氏(たかせ・まさつぐ/アクション監督、殺陣師) 5月25日、胃がんのため死去。63歳。国士館大学文学部在学中より、俳優として始動。79年に卒業後、殺陣師の父・高瀬将敏の後を継ぎ、「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ85‐88、「マルサの女」87、「犬、走る DOG RACE」98、「WASABI」01、「花のあと」09、「海辺の映画館-キネマの玉手箱」19などや、『あぶない刑事』シリーズ、『はみだし刑事情熱系』96‐04など数々のTVドラマのアクションに携わる。90年代以降は、『極道ステーキ』シリーズ、『新・日本の首領』シリーズなど数々のOVAや、「嗚呼!!花の応援団」96など映画監督としても手腕を発揮した。 ウー・ポンフォン氏(台/俳優) 5月25日、出血性脳卒中のため死去。55歳。舞台で始動し、90年代より映像にも進出。ウェイ・ダーション監督の「海角七号/君想う、国境の南」08、「セデック・バレ」11、ワン・ユーリン監督の「父の初七日」09(金馬奨助演男優賞)、「天龍一座がゆく」12、「アリフ・ザ・プリン(セ)ス」17や、「祝宴!シェフ」13、「一分間だけ」14、日本映画「ママ、ごはんまだ?」17などや、『第一響槍』18で金鐘奨主演男優賞を受賞するなどTVでも活躍した。 レナーテ・クレスナーさん(独/女優) 5月25日に死去。75歳。東独で舞台で始動。60年代半ばよりTVや映画にも進出し、ソロ歌手として自立を夢見るヒロインを演じた「ソロシンガー」80でベルリン国際映画祭女優賞を受賞。85年に西独に渡り、“Nordkurve”92、「神に選ばれし無敵の男」01などや、“Bruder Esel”96などTVでも活躍した。 リチャード・ハード氏(米/俳優) 5月26日、がんの合併症のため死去。87歳。舞台で始動。『となりのサインフェルド』89‐98のNYヤンキースでのジョージ・コスタンザの上司ウィルヘルム役、『スター・トレック』シリーズのオーウェン・パリス提督役などで知られるほか、「大統領の陰謀」76、「チャイナ・シンドローム」79、「ゲット・アウト」17、「運び屋」18などに出演した。 ラリー・クレイマー氏(米/劇作家、脚本家、活動家) 5月26日、肺炎のため死去。84歳。23歳でコロンビア・ピクチャーズで始動し、同スタジオの脚本のリライトなどを手掛けた後、D・H・ロレンスの小説を映画化した「恋する女たち」69でアカデミー賞とBAFTA賞の脚色賞候補に。「失われた地平線」72など手掛けた後、米国におけるゲイの意義を追究するべくハリウッドからニューヨークの舞台に活動の場を移す。85年に初演され、11年のブロードウェイ・リバイバルでトニー賞3冠に輝いた『ノーマル・ハート』は14年に自身の脚色でライアン・マーフィ監督によりTV映画化され、エミー賞で2冠に輝くなど高評を得たほか、その続編“The Destiny of Me”は93年にピューリッツァー賞候補に。82年に初のHIV陽性者支援団体“Gay Men’s Health Crisis(GMHC)”、87年にエイズ撲滅のための“AIDS Coalition to Unleash Power(ACT UP)”を設立するなど、80年代のエイズ危機への政府の対応の遅れを作品や行動を通し鋭く批判し、米国の医療にも変革をもたらした。13年に長年の功績により特別トニー賞を授与された。 イルム・ヘルマンさん(独/女優) 5月26日に死去。77歳。秘書などを経て、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督に見出されて女優に。ドイツ映画賞主演女優賞に輝いた「四季を売る男」71や、「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」72、「不安は魂を食いつくす」74、「リリー・マルレーン」81などファスビンダー監督作品のほか、「ヴォイツェク」79、「ヴィクトリー/遥なる大地」95、「10ミニッツ・オールダー イデアの森」02(フォルカー・シュレンドルフ監督篇)、「ベルリン陥落 1945」08などに出演した。 ペギー・ポープさん(米/女優) 5月27日に死去。91歳。68年にジョン・グェア作“Muzeeka”でオビー賞を受賞するなど舞台で活躍。アルコール中毒の秘書をコミカルに演じた「9時から5時まで」80、「ドラゴンフライの幻想」76、「スター・ファイター」84、「野獣教師」96や、『奥さまは魔女』64‐72、『SOAP』77‐81、『LAW & ORDER』90‐10などTVドラマにも出演した。 レニー・ニーハウス氏(米/作曲家、アルトサックス奏者) 5月28日に死去。90歳。サイレント映画のオーケストラのヴァイオリニストだったロシア生まれの父をもつ。アルトサックス奏者として始動後、陸軍で出逢ったクリント・イーストウッドとジャズ愛好家同士で親交を深める。除隊後、ミュージシャン活動の傍ら作曲家ジェリー・フィールディングのオーケストレーションも担当し、「わらの犬」71、「メカニック」72などや、イーストウッド主演の「ガントレット」77、「アルカトラズからの脱出」79など担当。80年のフィールディングの死去後は「タイトロープ」84から「ブラッド・ワーク」02までイーストウッド監督のほぼ全作の作曲を手掛け、イーストウッド自身が作曲するようになってからも、指揮やオーケストレーションでサポートを続けた。 クロード・ヒーター氏(米/オペラ歌手) 5月28日に死去。92歳。ブロードウェイで始動後、オペラに専念し、カラヤンが芸術監督を務めたウィーン国立歌劇場や、カリフォルニアのサンフランシスコ・オペラなどで活躍。ローマで公演中にプロダクション・マネジャーに見出され、スクリーンテストを経て「ベン・ハー」59にイエス・キリスト役で出演した。 ギイ・ブドス氏(仏/俳優、脚本家) 5月28日に死去。85歳。フランス植民地時代のアルジェリア生まれ。パリで演技を学び舞台で始動し、2番目の妻ソフィー・ドゥーミエと組み、数々のスケッチでコメディアンとして人気を博す。映画も、ゴールデン・グローブ賞候補となったイヴ・ロベール監督の“Pardon Mon Affaire”76と翌年の続編のほか、「捕えられた伍長」62、「ミーシャ/ホロコーストと白い狼」07、「みんなで一緒に暮らしたら」11など40作以上に出演した。 マーク・グラマック氏(米/アニメーター) 5月29日に死去。73歳。ウォルト・ディズニー・スタジオで始動し、「ジャングル・ブック」67、「ベッドかざりとほうき」71などに携わる。99年にエミー賞候補となった“Life with Louie”94‐98、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』93‐94などを手掛けたほか、『地上最強のエキスパートチームG.I.ジョー』85‐86ではプロデューサーも務めた。 蒲池愛さん(かまち・あい/作曲家、編曲家、ピアニスト) 5月30日に死去。48歳。国立音楽大学作曲学科卒業後、レコーディング・エンジニアの永見竜生と組み、音楽ユニット“aikamachi + nagie”および“ANANT-GARDE EYES”として活動。『CLANNAD~AFTER STORY』08‐09、『ANGEL BEATS』10、『Charlotte』15などTVアニメーションの主題歌、挿入歌、サウンドトラックや、NHK Eテレ『おはなしのくに』90、「こま撮りえいが こまねこ」06やCM曲などを手掛け、幅広い分野で活躍した。 岡村春彦氏(おかむら・はるひこ/演出家、俳優) 5月31日、肺炎のため死去。85歳。劇団〈民藝〉水品演劇研究所で同期だった米倉斉加年や常田富士男らと60年に劇団〈青年芸術劇場〉を旗揚げ(66年に解散)。新劇界で異端の劇団として話題作を数多く発表し、俳優や演出家として活動。実相寺昭雄監督の「無常」70、「哥」72、「ウルトラQザ・ムービー 星の伝説」90や、「真田風雲録」63、「沖縄列島」69(ナレーション)、「日本の悪霊」70や、『七人の刑事』シリーズ、『ウルトラ』シリーズや『新・平家物語』72などTVドラマにも出演した。 ダン・ヴァン・ハッセン氏(独/俳優) 5月31日、新型コロナウイルスの合併症のため死去。75歳。スペインのクラブでDJをしていたところをイタリア人プロデューサーに見出され、映画界入り。「エル・コンドル」70、「マーベリックの黄金」71、「J & S/さすらいの逃亡者」72など数々の西部劇で主に悪役を演じたほか、「カサノバ」76、「ノスフェラトゥ」79、「シーウルフ」80、「ジャスティス」02、「スターリングラード」01、「ブリムストーン」16などや、『刑事デリック』74‐98、『バンド・オブ・ブラザース』01などTVドラマにも多数出演した。 -
今こそ恐怖に打ち勝つ映画をお家で! スティーヴン・キング原作で贈る 最恐のトラウマ克服映画「ドクター・スリープ」 1980年当時、ジャック・ニコルソンの狂気の父親像で話題をさらった映画「シャイニング」の40年後を描き、惨劇の生存者・ダニーが大人になって仲間を集い、再び恐怖と対峙する映画「ドクター・スリープ」。今、このコロナウイルスの恐怖に怯えないよう、また人類が直面している危機に打ち勝つ強い心を持つために、今こそ、スティーヴン・キング原作で贈る「ドクター・スリープ」を始めとする“トラウマ克服映画”を、お家で観よう! 1.映画「ドクター・スリープ」 映画「ドクター・スリープ」の作品概要 スティーヴン・キング原作映画「シャイニング」の正統続編。40年前の雪山のホテルでの惨劇を生き延びたダニーは、自堕落で孤独な大人になっていた。特別な力を持つダニーの存在を知り、彼に助けを求めた少女・アブラ。彼らは謎多き連続事件を介して邪悪な力を持つ集団との対峙に導かれ、やがて呪われたホテルへと辿り着く……。 映画「ドクター・スリープ」の見どころ “トラウマ”ホテルの恐怖、再び。40年を経て明かされる真相とは 父親に殺されかけた最悪の過去を持つ男が、ある闘いを通して自身の傷に向き合うという、まさにキングの小説で共通する心の傷からの脱却、“脱・トラウマ”を描いたホラー。映画「レディ・プレイヤー1」にも登場したあの呪われたホテルへ足を踏み入れると、前作に戻った錯覚を覚え気分は最高潮に。ホテルの名物キャラの登場にも懐かしさがこみ上げてきます。父はなぜ、あのホテルで狂気に駆り立てられたのか。そしてダニーの持つ力の意味とは……。映画「シャイニング」が残した謎の“答え合わせ”ともいうべき必見の続編です! ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントよりリリース中 Doctor Sleep (C) 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. 2.映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」 IT Chapter Two (C) 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントよりリリース中 映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」の見どころ ルーザーズ・クラブ再結成! 前作超えの怪奇キャラ登場 スティーヴン・キングの傑作小説を映画化した大ヒットホラー「IT/イット」シリーズの完結編です。ルーザーズ・クラブの少年少女たちがペニーワイズを撃退して27年後。再び児童失踪事件が発生し、大人になった彼らは町に戻ることを決意すると、再び“その恐怖”と向き合うことに……。彼らの幼少時代と現代とを行き来して見せる手法は見事で、衝撃的なほどに怪奇な婆さんの登場など、前作を上回る恐怖には悶絶です! 3.映画「ペット・セメタリー(1989)」 ※ジャケットはセル版のものです (C) 1989, 2019 Paramount Pictures.NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社よりリリース中 映画「ペット・セメタリー(1989)」の見どころ 息子への愛ゆえに、父親が犯した禁忌とは。 スティーヴン・キングが自らの同名小説を脚本化したホラー。死んだ猫を動物墓地の“ある場所”に埋めると生き返ったことから、事故で死んだ息子を同じ場所に埋葬し、“禁忌”を犯してしまった父親に降りかかる世にも恐ろしい顛末とは……。“最高のキング映画のひとつ”と評される本作は、2020年1月に新たな設定でリメイク版も公開されました。(「ペット・セメタリー(2019)」)5月22日発売予定のこちらのリメイク版も合わせて楽しむのもオススメ。 4.映画「シャイニング(1980)」 (C) 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.※ジャケットはセル版のものですNBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社よりリリース中 映画「シャイニング(1980)」の見どころ ジャック・ニコルソンの神がかった狂気に怯える! スティーヴン・キングの原作をスタンリー・キューブリック監督が映画化したホラーの金字塔にして、『ドクター・スリープ』の原点というべき1作。冬季管理人としてオーバールックホテルを訪れたジャックたち一家。彼らが遭遇する奇妙な体験の数々と、『ドクター・スリープ』へと繋がっていくこととなる、ダニーの不思議な力の目覚めなどを、圧倒的な映像で描いた大傑作(血のエレベーターは伝説!)。なぜか狂ってしまった末に、家族をもしつこく追いかけ回す父親に扮するジャック・ニコルソンは神がかってます! いかがでしたか? 一見、恐ろしいモダン・ホラーのように見えて、少年少女時代の心の傷や、様々なトラウマと真摯に向き合ったスティーヴン・キング原作映画の数々を、ぜひ今一度お家にて鑑賞してみてください。今、このコロナの恐怖に打ち勝つ勇気が、湧いてくるのではないでしょうか。 制作=キネマ旬報社