初代相棒が復帰! ますます深みを増す『相棒season21』の魅力をひも解く

国民的な人気を誇る刑事ドラマ『相棒season21』のBlu-rayとDVD-BOXが、10月18日に発売された。20年以上という長きにわたりシーズンを重ねた中でも本作はとりわけ、初代相棒が帰ってくるという、新たな節目を刻んだシーズンとして大きな話題となった。そんな人気ドラマの魅力を改めてひも解いていこう。

初代相棒・亀山薫が復帰(もちろん美和子も)! 名物キャラも続々登場

水谷豊扮する警視庁特命係の警部・杉下右京が、相棒の刑事と共に毎回難事件を解決していくこのシリーズ。今回のseason21では、初代相棒の亀山薫(寺脇康文)が14年ぶりに作品へ復帰して、大きな話題を呼んだ。冷静沈着な杉下右京と、直情型で行動的な亀山薫の“静と動”の名コンビぶりは昔のままで、『相棒』ファンにとっては必見のシーズンだ。
 
この作品は2000年に『土曜ワイド劇場』枠で放送された、今ではプレシーズンと呼ばれるスペシャルドラマの3作品を皮切りに、2002年10月から連続ドラマで放送を開始。プレシーズンから登場した亀山薫はseason7の第9話まで相棒を務め、その後フリージャーナリストの妻・美和子(鈴木砂羽)と共に南アジアのサルウィン共和国に移住して、子どもたちの教育支援をしていた。そこから杉下右京は、神戸尊(及川光博)、甲斐享(成宮寛貴)、冠城亘(反町隆史)と相棒が変わりながらも特命係で捜査を続けてきた。

season21の初回&第2話の「ペルソナ・ノン・グラータ」(“外交上、歓迎されない人”の意)で、亀山薫はサルウィン共和国の腐敗政治を倒した反政府運動のリーダー・アイシャ(サヘル・ローズ)に付き添いで来日。杉下右京と運命の再会を果たすことになる。だがアイシャの死にまつわる事件が発生し、右京と薫は行動を共にすることに。日本へ帰ってきた薫はこの事件をきっかけに、再び特命係で働くことになった。

 
再会してすぐに“あ・うん”の呼吸を取り戻した右京と薫。薫は短髪のツンツン頭とトレードマークのMA-1ジャケットも昔のままで、何かと事件に巻き込まれやすい体質も健在。第3話「逃亡者 亀山薫」では、早くも殺人事件の容疑者として追われる身となり、第8話「コイノイタミ」では、犬猿の仲である捜査一課の伊丹刑事(川原和久)のために奔走する。かつての右京との名コンビぶりもすんなりと復活してみせた。
 
今回のシーズンでは、薫の不在時に登場したシリーズの名物キャラクターとの関係も含めて、新たな関係性を築いていく姿が描かれる。
 
シリーズを彩るキャラクターでは、初回と第2話の片山雛子(木村佳乃)や鑓鞍兵衛(柄本明)、元日スペシャルの第11話「大金塊」に登場する袴田茂昭(片岡孝太郎)といった右京と因縁のある政治家たちに加え、薫の昔馴染みであるゲイバーのママ・ヒロコ(深沢敦)も第15話「薔薇と髭と菫たち」に出演。第20話と最終話の「13」には2代目相棒・神戸尊と元鑑識・米沢守(六角精児)も顔を出す。またこのエピソードでは劇場版第2作で殉職した小野田公顕(岸部一徳)の遺骨が盗まれ、その行方を右京と薫が追う展開になっている。
 
ゲスト俳優では、前述の第8話に伊丹刑事が恋をする女性役で映画「ドライブ・マイ・カー」(2021年)で脚光を浴びた霧島れいかが登場し、第17話「定点写真」には演技派としてさらに磨きがかかった寺田心が、女性写真家に憧れる高校生役で出演。また「サンクチュアリ─聖域─」(2023年)で脚光を浴びた一ノ瀬ワタルも第18話「悪役」に、事件の鍵を握る売れない悪役俳優を演じるなど、キャスティングの妙が楽しめる。


「いつまで続くの?」水谷豊が率直に答える特典映像も必見

『相棒』は単なる事件解決のミステリーではなく、サスペンス、社会問題、コメディなど様々な要素を持つエピソードがちりばめられているのも魅力。今回で言えば、第5話「眠る爆弾」で私立大学の研究予算不足問題に言及、第9話「丑三つのキョウコ」では都市伝説が題材になっている。異色なのは右京と薫が、大きな爆発音の発生源を探そうと奥多摩へ出かける第19話「再会」。追手にかかって、麓の村での再会を約束し二人は二手に分かれるが、右京は山中をさまよう中で“カンベ”、“トオル”、“カブラギ”という歴代相棒と同じ名前の人物たちと出会う。そして最後に再会したとき、薫が「俺が相棒でいいんですかね」と聞くと、右京は「君との再会は運命だと思っています」と答える。このエピソードは一種の幻想譚であり、二人が互いをかけがえのない相棒だと再認識する忘れ難い一編だ。
 
今回のBOXにはスペシャルハンドブック『特命事件ファイル』と、豪華な特典映像が収められている。中でも特典映像で見逃せないのが、「放送400回突破記念!相棒(秘)ウラ側 突撃SP」前後編。『相棒』はこのシーズンの第14話で通算400回を超えた。それを記念して自称『相棒』芸人のペナルティ・ヒデが撮影現場に潜入。前編では、いつもは見ることのできない特命係のセット細部までのレポートをはじめ、水谷豊と寺脇康文の二人へ『刑事貴族2・3』(1991~1992)で初共演したときのことから、『相棒』での再会、互いの印象、14年ぶりのコンビ復活に対する想いまでをインタビューしている。後編では最終話のクランクアップの模様に加え、ヒデが水谷豊に歴代相棒俳優4人についてディープ・インタビュー。「それぞれを色に例えるなら?」という質問で、俳優たちの個性に合わせたイメージを言う水谷の答えも興味深い。『相棒』シリーズがいつまで続くのかという、ファンなら誰でも知りたい質問にも率直に答える水谷豊の、本音トークが見逃せない特典映像である。

文=金澤誠 制作=キネマ旬報社
提供:ハピネット・メディアマーケティング

 

「相棒 season21」

●10月18日(水)Blu-ray&DVD-BOXリリース(レンタル同日リリース)
▶Blu-ray&DVD-BOXの詳細情報はこちら

【Blu-ray BOX】
●価格:41,800円(税込) 
●封入特典:スペシャルハンドブック「特命事件ファイル21①&②」
●特典映像:赤ペン瀧川プレゼンツ「相棒」徹底解説講座/放送400 回突破記念!相棒(秘)ウラ側 突撃SP・前編&後編/PR スポット集

【DVD-BOX Ⅰ】
●価格:19,250円(税込)
●封入特典:スペシャルハンドブック「特命事件ファイル21①」
●特典映像:赤ペン瀧川プレゼンツ「相棒」徹底解説講座/PR スポット集

【DVD-BOX Ⅱ】
●価格:19,250円(税込)
●封入特典:スペシャルハンドブック「特命事件ファイル21②」
●特典映像:放送400 回突破記念!相棒(秘)ウラ側 突撃SP・前編&後編/PR スポット集

 

●2022~2023年/日本/本編約1133分
●出演:水谷 豊、寺脇康文
●脚本:輿水泰弘、岩下悠子、山本むつみ、瀧本智行、川﨑龍太、徳永富彦、神森万里江、森下 直、根本ノンジ、櫻井智也、光益義幸
●監督:橋本 一、権野 元、守下敏行、内片 輝
●音楽:池 頼広
●エグゼクティブプロデューサー:桑田 潔(テレビ朝日)
●チーフプロデューサー:佐藤凉一(テレビ朝日)
●プロデューサー:髙野 渉(テレビ朝日) 西平敦郎(東映) 土田真通(東映)
●制作:テレビ朝日 東映

●発売元:テレビ朝日 販売元:ハピネット・メディアマーケティング
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