2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。
衛生劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショーin日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)
第6回「とんでもタイトル」(2012年3月放送分)
2012年3月放送、第6回 のテーマは「とんでもタイトル」
みうらじゅんと申します。今回の「グレイト余生映画ショー In 日活ロマンポルノ」の第6回目のテーマは、「とんでもタイトル」。観てなくてもどんどんとイメージと股間が膨らんじゃう日活ロマンポルノタイトルを集めてみました。

今回お送りするテーマは「とんでもタイトル」。一度聞いたら忘れない、骨太悩殺タイトルが続々登場。無限に広がるイマジネーション。男心を本能からくすぐる、究極のワードエロスに迫る!!

とんでもタイトルの第一作目、紹介したいと思います1971年『セックス☆ライダー 濡れたハイウェイ』(蔵原惟二監督/1971年)です。セックスとライダーの間に、星印が入るんですよね。これ、つのだ☆ひろ的なことだと思うんですけど、たぶんルーツは同時期に公開されたアメリカ映画『イージー☆ライダー』でしょう。

『イージー☆ライダー』の影響を受け、とうとうセックス☆ライダーまで現れたということでしょう。ちょうどアメリカン・ニューシネマが真っ盛りの頃でございました。『イージー☆ライダー』の主演はピーター・フォンダ。そして『セックス☆ライダー』主演は、田中真理さん。昼のスターが天地真理なら、夜のスターは田中真理だって言われていたくらい有名な方です。確か東大に田中真理さんのファンクラブがあったと記憶しております。『セックス☆ライダー 濡れたハイウェイ』どんな映画でしょうか?俺のイメージはこういうイメージ(イラスト参照)でしたが、だいぶ違いましたね(笑)。

こういうスタイルでハイウェイを走るのかなと思ったんですけども、まぁ映画をご覧ください、全く違います。タランティーノ監督きっと観てるでしょうね。70年代の初頭の日活ロマンポルノは、とてもスタイリッシュで、映像もすごくいい。グッとくると思いますよ。
さて、2本目でございます。『おまんた囃子 ハレンチ音頭』(渡辺護監督/1981年)。 どうです? このタイトル。取り分け「おまんた」っていうのがよくわかんないでしょ。後に知ったんですけど「おまんた囃子」というのは、三波春夫さんが歌ってらった曲でね。確か“みなの衆”敵な意味だったと思います。俺のイメージはこういうイメージですよ(イラスト参照)。

これは「奇祭」ですよね。とんでもなく破廉恥な村の祭りを想像していました。さあ、皆さんも映画を観て、おまんたがどんな内容なのか、お確かめください。

1972年製作『らしゃめんお万 雨のオランダ坂』(曽根中生監督)。やっぱ、お万のところにグッとくるでしょう。サリー・メイさんが、らしゃめんお万なわけです。私のイメージはこういう風に、「これがらしゃめんお万にございます。」と言って殿に桐の箱に入れて、献上するイメージでしたが、それは東映映画の『徳川セックス禁止令』の方でした。

僕、当時からそのサリー・メイさんにとても興味持っていまして、シングルレコードを沢山集めていたんですよ。歌もとてもうまい方で、女優としてとてもよい演技をする方でした。
さぁ、最後の作品は、『女囚101 しゃぶる』(小原宏裕監督/1977年)です。主演が谷ナオミさんでございます。当然こういうイメージでしょ(イラスト参照)。

谷さんですから鉄格子の中から、こういうイメージしかないかと思いましたが、皆さんどうですか? その他にも、日活ロマンポルノにはとんでもタイトルが沢山あります。みなさんと一緒に付箋で隠してある部分想像してみてくださいね。

『サド・マゾ〇〇〇』(1971年)
合言葉のようですね。正解はあえて申しませんから。(正解はコチラ)
『おんな天国 〇〇〇〇〇〇〇』(1972年)
『おんな天国 子だね貰います』。どういうタイトルなんですかね? 当時、流行っていた任侠モノ。確か、そっちは「命、貰います」だったと思いますがね。コレ、全国模試にはでませんから。
『日本ポルノオリンピック 〇〇〇〇〇〇』
そもそも日本ポルノオリンピックって何でしょう?そして、複タイトルは『日本ポルノオリンピック 乳首山の性宴』。全く、想像がつかないですよね。
さぁ、次の問題は山本晋也監督の作品タイトルです。
『ポルノだよ! 〇〇〇〇〇〇』
と来たら、わかるでしょう。『ポルノだよ!全員集合 わいせつ集団』ですね。って、一体、だれが呼びかけているのか、わらないですけどね。
さあ「房総」ときたら何でしょう? 『房総ペコペコ節 おんな万祝』ですね。
「信州」ときたら、そばですかね?違います。『信州シコシコ節 温泉芸者VSお座敷ストリッパー』でした。観たいですか?
「それいけ」って言ったら、何でしょう?『それゆけ痴漢』ですよね当然。
昔「それ行けスマート」っていう海外ドラマがありました。きっと、そこからきているんだと思いますけどね。
さあ、『○○との遭遇』当然1978年ですから。。。分かりますよね。『未知との遭遇』(スティーヴン・スピルバーグ監督/1977年)がそのルーツに違いありません。正解は『痴漢との遭遇』。山本監督の痴漢シリーズの一本ですよね。
これは全部消してありますが、
『夜這い どてさがし』。どうです?タイトル?当時、僕は高円寺に住んでたんですけども、商店街のアナウンスでね、近くの映画館の宣伝が流れるんです。戦時中みたいなアナウンスの声で「『夜這い どてさがし』 『夜這い どてさがし』が上映中でございます」という声がもう、耳について離れなかったもんです。
しかし、よくも色々タイトル浮かぶなあと思いますよ。こういうタイトルから時代が解けてくるといいますからね。懐かしんで見ていただければ幸いでございます 。
『セックス☆ライダー 濡れたハイウェイ』
『おまんた囃子 ハレンチ音頭』
『らしゃめんお万 雨のオランダ坂』
『女囚101 しゃぶる』
※各作品はFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です。

さて、次回の「みうらじゅんのグレイト余生 In日活ロマンポルノ」でございますけど今後もどんどん新しい特集を組んでいきたいと思います。次回もお楽しみくださいませ。それではあなたも、グレイト余生を!
衛星劇場「グレイト余生映画ショーin日活ロマンポルノ」
出演・構成 みうらじゅんプロデューサー 今井亮一
ディレクター 本多克幸
製作協力 みうらじゅん事務所・日活
日活ロマンポルノの作品を各衛星・ケーブル放送等にて放送中。
【日活ロマンポルノ】
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。
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