ホン・サンスの新作2本「イントロダクション」「あなたの顔の前に」、ビジュアル公開

名匠ホン・サンスの長編第25作「イントロダクション」(英題:Introduction)と第26作「あなたの顔の前に」(英題:In Front of Your Face)が、2本同時に6月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開される。

 


「イントロダクション」

 

2021年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(脚本賞)に輝いた「イントロダクション」(ホン・サンスは長編第27作『The Novelist’s Film』でも2022年同映画祭銀熊賞(審査員大賞)に輝き、3年連続銀熊賞受賞の快挙を果たした)。

主人公はモラトリアムな時期をさまよう青年ヨンホ。韓国とベルリンを舞台に、父、恋人、母との再会と三つの“抱擁”を通し、彼の人生が綴られる。前作「逃げた女」の変奏ヴァージョンとも捉えられるモノクロームの青春映画だ。

ヨンホを演じるのは、「逃げた女」の“猫の男”役で奇妙なインパクトを放ち、本作で初主演を飾ったシン・ソクホ。そして「お嬢さん」のキム・ミニをはじめ、ソ・ヨンファ、キ・ジュボン、チョ・ユニらホン・サンス作品の常連俳優が顔を揃えた。

日本版ポスタービジュアルでは、ヨンホが一人海から上がってくる姿に「Introduction【名詞】紹介。序文。入門。導入。」のコピーが添えられている。「Introduction」の意味をすべて内包するために、あえて(自身のフィルモグラフィーで初となる)英語タイトルにしたと監督は言う。

 

Story
将来の進路も定まらず、まだ何者にもなれないナイーブな青年ヨンホ。韓国とベルリンを舞台に、折り合いの悪い父、夢を追って海外に旅立ってしまった恋人ジュウォン、息子の進路が気がかりな母との再会と三つの“抱擁”を通して、一人の若者の人生が紐解かれていく。青年期の迷いや喪失、孤独を抱え、恋に夢に破れながらも、やがて心安らぐ温もりに満ちた瞬間が訪れる……。

監督・脚本・撮影・編集・音楽:ホン・サンス 
出演:シン・ソクホ、パク・ミソ、キム・ヨンホ、イェ・ジウォン、ソ・ヨンファ、キム・ミニ、チョ・ユニ、ハ・ソングク
2020年/韓国/韓国語/66分/モノクロ/1.78:1/モノラル
原題:인트로덕션 英題:Introduction 字幕:根本理恵 配給:ミモザフィルムズ
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「あなたの顔の前に」

 

2021年カンヌ国際映画祭プレミア部門オフィシャルセレクションに招待され、日本では第17回大阪アジアン映画祭で特別招待作品として初上映された「あなたの顔の前に」。監督の公私にわたるパートナー、キム・ミニがプロダクション・マネージャーを務めたことでも話題を呼んだ。

主人公は深い葛藤を抱えてアメリカから韓国へ戻った中年女性サンオク。複雑にして豊かな感情が揺らめく心の旅の物語に、監督の新境地が窺える。

ホン・サンス作品初登場で主演を飾ったのは、40年のキャリアを誇る大女優イ・ヘヨン。ミステリアスな主人公を見事に演じ、2022年国際シネフィル協会賞主演女優賞を受賞した。なお監督の最新作『The Novelist’s Film』にも主演している。

日本版ポスタービジュアルでは、静かに前を見据えるサンオクの顔、眠る妹を見つめるサンオクの姿に、「天国が隠された場所」という印象的なコピーが添えられている。

 

Story
長いアメリカ暮らしを突如切り上げ、韓国へ戻った元女優のサンオク。母親を亡くして以来久々に家族と再会するが、帰国の理由を妹のジョンオクには明かさない。出演オファーした映画監督との約束を控えるサンオクだったが、その内面には深い葛藤が渦巻いていた。彼女はなぜ捨てたはずの母国に戻り、思い出の地を訪ね歩くのか? 過去や後悔と向き合いながら、心の拠り所を見出していく、たった一日の出来事が描かれる。

監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・ヘヨン、チョ・ユニ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、キム・セビョク、ハ・ソングク、ソ・ヨンファ、イ・ユンミ、カン・イソ、キム・シハ
2021年/韓国/韓国語/85分/カラー/1.78:1/モノラル
原題:당신 얼굴 앞에서 英題:In Front of Your Face 字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
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