人権擁護者の医師を描くフェルナンド・トルエバ監督作「あなたと過ごした日に」

麻薬カルテルが台頭する70年代コロンビアのメデジンを舞台に、公衆衛生に尽力し、自由で平等な社会の実現を目指したエクトル・アバド・ゴメス博士の波乱の人生を息子の視点で描いた巨匠フェルナンド・トルエバ監督作「あなたと過ごした日に」が、7月20日(水)より東京都写真美術館ホールほかで全国順次公開。日本版ポスタービジュアル、日本版予告編、場面写真が解禁された。

 

 

原作は、ゴメス博士の息子にして現代スペイン語文学の代表的作家であるエクトル・アバド・ファシオリンセの回想録。ノーベル賞作家マリオ・バルガス・リョサが「近年で最高の読書体験」と称えた世界的ベストセラーだ。

フェルナンド・トルエバ監督は「ベルエポック」(93)でアカデミー賞外国語映画賞に輝き、「チコとリタ」(10)でアカデミー賞長編アニメーション作品賞にノミネートされた名匠。重厚で美しい音楽は、クシシュトフ・キェシロフスキ監督作「ふたりのベロニカ」や「トリコロール」三部作で有名なポーランドの作曲家ズビグニエフ・プレイスネルが手掛けた。

不屈の医師であり良き父親でもあったゴメス博士を演じるのは、ペドロ・アルモドバル監督作「トーク・トゥー・ハー」(02)で注目され、ゴヤ賞に2度輝いた名優ハビエル・カマラ。博士の息子の少年時代を新鋭ニコラス・レジェス・カノ、青年時代をアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作「MEMORIA メモリア」(21)のフアン・パブロ・ウレゴが演じる。

賞レースでは、2020年アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表作に選出され、2020年カンヌ国際映画祭に正式出品、2021年ゴヤ賞で最優秀イベロアメリカ映画賞に輝いた。21世紀に語られるべき注目のラテン映画だ。

 

 

     

 

エクトル・アバド・ゴメスとは?
(1921年12月2日ヘリコ生まれ - 1987年8月25日メデジン没)

アンティオキア県出身の公衆衛生専門家で、人権擁護家としても知られる。さらに政治家、民主主義者、ジャーナリスト、作家並びにエッセイスト、アンティオキア大学医学部教授であり、自ら社会学者および人類学者とも称していた。青年期から、特に低所得者層コミュニティでの教育、予防医学、プライマリヘルスケアを専門とし、公衆衛生問題に関する彼の知見はコロンビア政府のプログラムに取り入れられたこともある。医師および大学教授としては、高等教育の革新者であり、社会的な焦点が不足しているとしてフランス型の個人主義的な医療訓練制度の導入に強く反対した。また、経済的な資源が、戦争や軍事ではなく飲料水のために転用されるよう戦った。新聞や雑誌にさまざまなテーマで見事な論述を用いた多数の記事を書き、読者に対しては良識と民主主義、平和共存を求めた。

Story

公衆衛生専門の大学教授エクトル・アバド・ゴメス博士の息子で、同じ名前を持つエクトル少年は、5姉妹に囲まれた唯一の男子として愛情深く育てられる。一家は寛容と慈愛を重んじ、活気と創造性に溢れていた。そんな中で姉妹の一人が恐ろしい病魔に冒され、悲しみと怒りに駆られた博士は政治活動にのめり込み、家族の日常も変化していく。折りしも分断されたメデジンの社会では、テロが多発し、自由を信奉する博士の声を封じようと準軍事組織の動きが加速していくが、家族の心配をよそに博士はメデジン市長選への出馬を決意する──。

 

「あなたと過ごした日に」

監督:フェルナンド・トルエバ
脚本:ダビド・トルエバ
撮影:セルヒオ・イバン・カスターニョ
編集:マルタ・ベラスコ
音楽:ズビグニエフ・プレイスネル
出演:ハビエル・カマラ、ニコラス・レジェス・カノ、フアン・パブロ・ウレゴ、パトリシア・タマヨ
後援:コロンビア共和国大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京
字幕翻訳:積田美也子 配給・宣伝:2ミーターテインメント(2MT)
配給協力:クレプスキュール フィルム 宣伝協力:HaTaKaTa Webプロモーション:AMPED

2020年/コロンビア/スペイン語・英語・イタリア語/モノクロ・カラー/シネスコ/5.1ch/136分/原題:El OLVIDO QUE SEREMOS
© Dago García Producciones S.A.S. 2020
公式HP:https://www.amped.jp/anatato/

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