第74回ロカルノ国際映画祭金豹賞に輝いたインドネシア発の独創的な愛と復讐の物語「復讐は私にまかせて」が、8月20日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。場面写真が解禁された。
向かうところ敵なしの若きケンカ野郎アジョ・カウィルと、伝統武術シラットを駆使する女ボディガードのイトゥン。ふたりの電撃的ラブストーリーを軸にしながら、アクション、バイオレンス、コメディ、エロス、ホラーのエッセンスをちりばめ、怒濤の復讐ドラマへ転じていく「復讐は私にまかせて」は、まさに破格のスリルとパッションがスパークする嵐のような快作だ。インドネシアの著名作家エカ・クルニアワンが自身のベストセラー小説を原作として提供し、共同脚本にも携わった。
アジョが過去のトラウマからED(勃起不全)に悩んでいるという設定には、インドネシア社会に根強いマチズモ(男性優位主義、女性蔑視)への批判が込められ、「肉体や暴力を超えた愛」というテーマが追求されている。タフな外見からは窺い知れない脆さ、いじらしさをさらけ出し、愚直なまでに傷だらけ&痣だらけの愛を貫こうとする男女の姿は、熱い共感を呼ぶはずだ。
監督は、インドネシア国内外で多くの受賞歴を誇る俊英エドウィン。往年の香港カンフー映画、タランティーノ作品やJホラーへのオマージュを窺わせる遊び心たっぷりの仕掛けに加え、好奇心と想像力を掻き立てるミステリアスな描写も見逃せない。とりわけアジョとイトゥンが過酷な運命を辿る後半、離ればなれになったふたりの行く手に忽然と現れる“復讐の女神”ジェリタは、何もかもがベールに包まれた幽霊のようなキャラクターとして描かれ、インドネシアの複雑な歴史や神秘的な風土をも感じさせる。
また、デジタルカメラが主流の時代にあえてアナログなフィルムでの撮影を切望したエドウィン監督の情熱は、日本の映画人の心をも動かした。「トウキョウソナタ」など一連の黒沢清監督作で知られる名手・芦澤明子が撮影を担当。コダックの16ミリフィルム採用による鮮烈な色彩、豊かな陰影、ざらついた質感が、魔法めいたロマンティシズムの美しさ、暴力のまがまがしさを際立たせる。
Story
1989年、インドネシアのボジョンソアン地区でケンカとバイクレースに明け暮れる青年アジョ・カウィルは、クールで美しく、男顔負けの強さを持つ女ボディガードのイトゥンとの決闘に身を投じ、情熱的な恋に落ちる。実はアジョは勃起不全のコンプレックスを抱えていたが、イトゥンの一途な愛に救われ、ふたりはめでたく結婚式を挙げる。しかし幸せな夫婦生活は長く続かなかった。アジョから勃起不全の原因となった少年時代の秘密を打ち明けられたイトゥンは、愛する夫のために復讐を企てるが、そのせいで取り返しのつかない悲劇的な事態を招いてしまう。暴力と憎しみの連鎖にのみ込まれた彼らの前に、ジェリタという正体不明の“復讐の女神”が舞い降りるのだった……。
「復讐は私にまかせて」
監督:エドウィン
撮影:芦澤明子
出演:マルティーノ・リオ、ラディア・シェリル、ラトゥ・フェリーシャ、レザ・ラハディアン
2021/インドネシア、シンガポール、ドイツ/インドネシア語/115分/ビスタ/5.1ch/カラー
原題:Seperti Dendam, Rindu Harus Dibayar Tuntas 配給:JAIHO
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