革命真っ只中のウクライナ、体操少女の決断は? カンヌ受賞作「オルガの翼」

ユーロマイダン(親ロシア派政府への市民抗議運動)に揺れる故国ウクライナを去った体操選手の運命を描き、第74回カンヌ国際映画祭でSACD賞に輝いた「オルガの翼」が、9月上旬より渋谷ユーロスペースほかで全国順次公開される。

 

 

監督は1994年生まれでスイス出身の新鋭エリ・グラップ。マイダン革命を経験したウクライナのバイオリン奏者の実話に心を動かされたグラップ監督は、2016年に脚本に着手し、5年の歳月をかけて初長編となる本作を完成させた。

主人公オルガ役のアナスタシア・ブジャシキナは、2001年ルハンシク生まれで欧州選手権出場歴のある本物のアスリート。その他の少女たちも、プロのアスリートが演じている。呼吸、情熱、目線、ためらいなども繊細に掬い取った体操シーンはドキュメンタリーさながら。またマイダン革命の映像は、すべて実際にデモ参加者がスマホで撮影したものを使用している。

「個人の野心と祖国への愛着。その狭間でもがく少女の葛藤を、見事に描いている。」(Variety)、「強烈な存在感。隅々まで主演アナスタシアのパワーに満ちている。」(SCREEN DAILY)といった映画や主演俳優への賛辞が寄せられている。

 

ユーロマイダンとは
ウクライナで起きた市民運動。2013年11月の首都キーウ独立広場でのデモ活動に始まり、2014年2月のマイダン革命(親ロシア派ヤヌコーヴィチ大統領の失脚)へ至った。

 

      

 

Story

2013年、ユーロマイダン前夜のキーウ。欧州選手権出場に向けてトレーニングに励む15歳の体操選手オルガは、ヤヌコーヴィチ大統領の汚職を追及するジャーナリストの母と共に何者かに命を狙われる。身の安全のためにウクライナを離れ、父の故郷であるスイスのナショナル・チームに加入したオルガだったが、できるのはSNSで変わり果てた街や傷つく家族・友人を見守ることだけ。しかも自身は欧州選手権出場のためにウクライナの市民権を手放さなければならず、心が揺れる。彼女が最後に下した決断とは──。

 

「オルガの翼」

監督:エリ・グラップ
出演:アナスタシア・ブジャシキナ、サブリナ・ルフツォワ
2021年/フランス=スイス=ウクライナ/ウクライナ語・ロシア語・仏語・独語・伊語・英語/カラー/90分
日本版字幕:額賀深雪 字幕監修:梶山祐治
公式サイト:www.pan-dora.co.jp/olganotsubasa
提供:パンドラ+キングレコード 配給:パンドラ
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