“世界が向き合うべき問題作”。「オルガの翼」主演メッセージと著名人コメント到着
- オルガの翼 , エリ・グラップ , アナスタシア・ブジャシキナ
- 2022年08月24日
ユーロマイダン革命(親ロシア派政府への市民抗議運動)に揺れる故国ウクライナを去った15歳の体操選手の運命を描き、第74回カンヌ国際映画祭でSACD賞に輝いた「オルガの翼」が、9月3日(土)より渋谷ユーロスペースほかで全国順次公開。主演アナスタシア・ブジャシキナのメッセージ動画と著名人コメントが到着した。
映画のヒロインと同じくウクライナからスイスに避難したアナスタシア。その際に本作スタッフに助けられたことから、「大事なことは、ひとりではなく、いつも助けてくれる友人や家族の支えを得て進むこと」とメッセージを寄せている。
著名人コメントは以下(敬称略・五十音順)。
2013年の<ユーロマイダン革命>を背景に描くこの映画は、2022年の今日、ウクライナへのロシアによる侵攻がなぜ起こったのかを、どんなニュース映像や解説よりも明らかにしてくれる。翼を得たオルガが未来へ飛び立ち、いつか笑顔を手に入れる日が来ることを祈らずにはいられない。
──青木眞弥(「キネマ旬報」前編集長)
ウクライナについて、私たちは何も知らない。それを痛感させる衝撃のドラマが、「オルガの翼」だ。体操選手の少女オルガが、技に挑む時、鉄棒が発する軋みの音が、引き裂かれた彼女の祖国への思いを叫びのように代弁する。今起きているあの戦争を遡って理解するためにも最適かつ必見の映画だ。
──岡島尚志(映画評論家)
2014年2月、世間がソチ五輪に夢中な時、ウクライナでは革命が起きていた。スイスに住むオルガの親戚さえ他人事で、その後ドンバスでは戦いが続いた。世界がもっと関心を持っていれば、今とは違う2022年があっただろう。
──梶山祐治(本作字幕監修、ロシア・中央アジア映画研究者)
痛みを知る者だけが有する惜しみない優しさに溢れるウクライナの民と、その千年の歴史の一片を、オルガの運命と葛藤の日々を通して描く本作品は、苦悩の闇夜で希望の灯を歌うが為の選択肢を問うている。
──澤田智恵(ヴァイオリニスト・日本ウクライナ芸術協会代表)
自我を不安に落とし入れるのは、自我を形成してくれたそのものたちだ。それらは常に発展途上であって、それゆえに自我形成も途上にあり、一瞬すべてが宙ぶらりんになることは多々あるのだ。そこから落ちるか飛び立つか、オルガは飛び上がり、迷いなく着地した。彼女を自分に置き換えることができるなら、誰もが飛び立つ勇気を感じることだろう。
──奈良美智(美術家)
母の国ウクライナの「革命」と、父の国スイスの体操ナショナルチームとの間で、引き裂かれる15歳のオルガ。物語が加速していき、キーウの広場とオルガの生活が二重写しになる──これは、戦争と日常の危ういはざまにいる私たちの現状そのものではなかろうか。
──沼野恭子(東京外国語大学教授・ロシア文学)
社会で大きな出来事が起こっているさなか、ただ傍観せざるを得ないときの焦りや孤独。なにが正解なのか、そもそも正解はあるのか。主演のアナスタシア・ブジャシキナに圧倒される。俳優ではないのに。俳優ではないから?
──速水螺旋人(漫画家)
ウクライナ・ナショナリズムの目覚めの原点であるユーロマイダン革命をめぐる人間ドラマ。深く、重い内容だが、現在のウクライナ問題に繋がる重要な論点を多々提供してくれる。ウクライナ理解に必須の、世界が向き合うべき問題作。
──廣瀬陽子(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)
政治的暴力の中心からどれだけ離れても、突然放り込まれた切実さから逃れることはできない。どれだけ彼女の近くにいても、切実さの外側から選択の重みを共にすることはできない。私はオルガを見た。そして私たちの姿も見た。
──望月優大(ライター)
90分という長さの中に、ストイックな青春を貫く若者の意志と戸惑い、そして友情、さらには母への想いを盛り込み、結果として見事な現代史の記録となっている。長編第1作という事実に驚くしかない。
──矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
※ユーロスペースではトークイベントも開催予定、ゲストは以下。
9月3日(土)エリ・グラップ監督(スイスよりオンラインで参加)
9月4日(日)矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
9月10日(土)沼野恭子(東京外国語大学教授・ロシア文学)
9月11日(日)梶山祐治(本作字幕監修、ロシア・中央アジア映画研究者)
9月18日(日)廣瀬陽子(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)
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