毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開でありながら傑作といった、様々な掘り出し映画との出会いを映画専門家レビューと共に提供します!

家も殺人も素材が命の殺人芸術家

映画『ハウス・ジャック・ビルト

ポニーキャニオンより12月18日リリース

(C)2018 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31,ZENTROPA SWEDEN,SLOT MACHINE,ZENTROPA FRANCE,ZENTROPA KOLN

 

映画『ハウス・ジャック・ビルト』あらすじ

70年代、米・ワシントン州。建築家になる夢を持つ技師のジャックが車で雪道を通りかけると、車が故障したという女性に助けを求められる。車に乗せて送ろうとすると、彼女は急に態度を変えてジャックを挑発し始める。

 

映画『ハウス・ジャック・ビルト』映画専門家レビュー

強迫症シリアルキラーの12年に及ぶ犯行内容を、トリアー監督が丁寧に表現したグロさMAXの独白譚。5つの殺人エピソードがジャックの思いだした順(芸術に時世などない)で披露され、ここまで行き過ぎた殺り方を坦々と披露されると、もはや殺人ではなく芸術と見た方が楽かも……。何度も現場の血を拭きに戻るため、危うく捕まりそうになる様には同情。仰天のマテリアルで組まれたお家の完成形や、何人もの頭を一発でぶち抜こうと血眼になる様は、もう可哀想なくらいです。

 

“唱えたら最後”の美少年ホラー

映画『スペルズ/呪文

インターフィルムより12月25日リリース

(C) RB Production, LLC, Force Media, LLC, Pi Ai Telecontent, LLC, 2019

 

映画『スペルズ/呪文』あらすじ

母が急逝し寄宿舎生活を始めた姉弟のオルガとアルチョム。ある日姉のオルガは、弟が母親を見たという寄宿舎の部屋に忍び込み、部屋にある古い不気味な鏡を見つけると、度胸試しのつもりで黒魔術の呪文を唱えてしまう……。

 

映画『スペルズ/呪文』映画専門家レビュー

亡くなった母親の姿が見える、そう訴える情緒不安定な美少年の直感がすべての悪夢を引き起こす。完璧な雰囲気の寄宿舎で巻き起こる、悪霊から逃れる哀しみの追いかけっこ。彼らが見つけてしまった鏡に隠された秘密、欲望にかられて呟いてしまう呪文と、取り返しのつかない願い事たち。無邪気な少年少女たちが現実化させてしまう残酷な事件の数々に、こちらも好奇心が止まらない。そして最後に鏡の国で待ち受ける超絶イヤミスな展開といい、ロシアンホラーの美しさと恐怖には完敗。

 

名作誕生にまつわる奇跡の物語

映画『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~

TCエンタテインメントより12月25日リリース

(C) BAH HUMBUG FILMS INC & PARALLEL FILMS (TMWIC) LTD 2017

 

映画『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』あらすじ

1843年ロンドン。スランプに陥っていた小説家チャールズ・ディケンズは、メイドの言葉をきっかけにクリスマスの物語を思いつく。執筆に没頭するチャールズは、次第に現実と小説の世界の区別がつかなくなっていき……。

 

映画『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』映画専門家レビュー

名作「クリスマス・キャロル」は如何にして生まれたのか。著者チャールズ・ディケンズの奮闘をファンタジックに綴る。冷徹な守銭奴が主人公のその作品は、ディケンズ自身のトラウマやプライドの高さによって残酷さを極めていくが、彼が過去に打ち勝ったことで物語に温かさが生まれる瞬間は感動もの。小説の世界と現実を行き来する展開に心躍りつつ、優しさがもたらす幸せや大切な存在に気付かされるハートフルな1本。映画版『クリスマス・キャロル』と一緒に楽しもう。

 

 

若きクライマーを突き動かすものとは

映画フリーソロ

アルバトロスより1月8日リリース

(C) 2018 National Geographic Partners, LLC. All rights reserved. (C)2018 NGC Network US, LLC and NGC Network International, LLC. All rights reserved.

 

映画『フリーソロ』あらすじ

命綱など安全装置は付けず、数百メートルもの岩壁を登るフリーソロ・クライマー、アレックス・オノルド。これまで数々の絶壁をクリアしてきた彼が、ヨセミテ公園にそびえ立つ世界屈指の巨岩エル・キャピタンに挑む。

 

映画『フリーソロ』映画専門家レビュー

「怖い。でも登りたい」的な思考で断崖絶壁を登り続ける男。メディアの問いに対し「いつ死ぬかわからないのは皆同じだ」と言い放つ規格外のスーパースターは、命綱無しの到底理解し難いスタイルで黙々と頂上を目指す。そんな彼の人間性、恋人との関係に迫りつつ、前代未聞の挑戦を余すことなく捉えた本作。ラスト20分のクライムシーンは画面越しですら生きた心地がしないが、頂上から見る壮大な景色は感動もの。ただのドキュメンタリーとは違う、想像を超えた映像体験を是非。

 

まさに山あり谷ありの大冒険!

映画『ベラのワンダフル・ホーム

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより1月10日リリース

(C) 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. and Bona Film Investment Company (Pacific Rim, USA). All Rights Reserved.

 

映画『ベラのワンダフル・ホーム』あらすじ

退役軍人病院で働く学生のルーカスに保護され、新たな生活を始めた野良犬のベラ。時が経ちすっかり成長したベラだったがある日、家から600キロも離れた場所で迷子になってしまう。ベラは彼に会いたい一心で旅に出る。

 

映画『ベラのワンダフル・ホーム』映画専門家レビュー

ヒット作「僕のワンダフル・ライフ」の原作者による作品とくれば、犬好きの心を掴んで離しません。大好きな飼い主のもとへ帰るため、600キロの途方もない冒険をするという、ストーリーだけで泣けます。主人公のベラ(雌・ピットブル)は、その表情だけで喜びや悲しみを完璧に伝えるアカデミー級の名演。そこに、吹替えを務める声優の悠木碧の声が加わり、より深く魅力的にベラを見せる。全篇を彩る彼女の声によってベラの大冒険は、観る人にとっての大冒険となっていくのです。

 

アイドルの泣き笑いin撮影現場

映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う

キングレコードより1月15日リリース

(C) 2019STRAYDOG PROMOTION

 

映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』あらすじ

今回もお馴染みのスタッフが揃う撮影現場の、とある一室にやって来たメイク担当の都筑。ホラー映画の撮影ということだったが、例によって曲者揃いのスタッフ、駆け出しのアイドルを始めとした出演者に振り回されてゆく……。

 

映画『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』映画専門家レビュー

AVの撮影現場のメイク室が舞台の「メイクルーム」シリーズ第3弾。メイクの都筑さんを始め監督、カメラマンなどのお馴染みのスタッフと共に、今回はアイドルたちが出演するホラー映画のメイク室に設定を替えた本作。スタッフたちのいかにもな言動など、映画の撮影現場はやはり面白く、ふと垣間見せるアイドルたちの素顔が、それを演じる実際の元アイドルや駆け出しのグラビアの子自身と重なり、切実なリアリティを持ってじんとさせられる。世のアイドルたちに観せたい秀作。

 

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