レスリー・チャンが愛情深い父親役に。〈没後20年特別上映〉で「流星」公開

 

46歳の若さで逝去したレスリー・チャンの〈没後20年特別上映〉で、すでに発表されていた「欲望の翼」に加え、「流星」(1999)も公開されることが決まった。上映日はBunkamura ル・シネマで4月1日(土)・2日(日)、シネ・リーブル梅田とアップリンク京都で4月1日(土)となり、同日よりデジタル配信も開始。このたび予告編、ジェイコブ・C・L・チャン監督によるレスリーの撮影秘話&メッセージが到着した。

 

 

レスリー・チャンが主演のみならずプロデュースも務め、チャールズ・チャップリンの名作「キッド」をモチーフに描く「流星」。失業した証券アナリストが赤ん坊を拾い、愛情深く育てていく中での悲喜こもごもが描かれる。レスリーの父親役は必見だ。

 

【香港映画界の危機を救ったレスリー・チャン】
1998年、アジア金融危機の影響で、香港は映画製作が困難な状況にあった。そうした中、監督や役者が無償で映画製作に参加し、のちに収益からギャラを配分する〈創意連盟〉プロジェクトがスタート。その第1弾が「流星」で、20人の監督が参加した〈創意連盟〉の作品中では唯一完成にこぎつけた。
レスリー・チャンも出演料を得ていないが、クルーの頼みなら時間を惜しまず何でも聞いていたとジェイコブ・C・L・チャン監督は言う。また、ペニンシュラホテルのロビーレストランで、「流星」についてレスリーと初めて話した当時を「私が簡単にストーリーを紹介すると『あとはあなたに任せた。この映画に参加することで、香港の映画人が仕事を得て、しばらくの間困難を乗り切れることを期待している』というようなことを言ってくれました」と回想する。

【現場では子役俳優を抱き、アイドルや歌手のイメージを捨てていた】
「流星」で社会の底辺に生きる主人公を演じたレスリーは、アイドルや歌手のイメージを捨て、2ヶ月半の撮影中はボサボサ髪に無精ひげという姿を通した。また、待ち時間には当時4歳の子役エリクソン・イップを抱き、怪獣が子どもを襲うゲームなどに興じてラウンジを笑いで満たしていたと監督は振り返る。レスリーはいつも現場に早く来て、演技初挑戦で不慣れなエリクソンと親しくなろうとしていた。撮影が終わってからも、ふたりの友情は続いていたという。
監督は「レスリーはプロの俳優だった」と語り、「彼は言い訳をせず、常に協力する方法を見つけ出してくれました。相手方の演技や演出方法に支障があるときは、自分の演技方法を調整して相手方をリラックスさせ、双方が最高の効果を発揮できるようにした」と明かす。

 

《ジェイコブ・C・L・チャン監督のメッセージ》

【人々を勇気づけ、前向きに生きていけるような映画を作りたかった】
1998年当時、香港がアジア金融危機の影響を受けて困難な状況にあったので、人々の悲しみに満ちた表情を見た時に、人々を勇気づけ、前向きに生きていけるような感動的な映画を作ろうというアイディアが生まれました。そのベースとして選ばれたのが、チャールズ・チャップリンの1921年の作品「キッド」でした。「人生において困難に遭遇しても、楽観的になって幸せや愛する人との一瞬一瞬を大切にする」というのがテーマです。

【「流星」という作品はレスリーのもの】
2023年4月1日という日に、レスリー・チャンを懐かしむ人たちは、映画館でもう一度レスリーの素晴らしい演技を楽しむことができます。「流星」はレスリー・チャンのものであり、今回の上映で「流星」はよみがえります。是非、今回スクリーンでレスリー・チャンという偉大なスターを懐かしんでもらいたいと思います。

 

                          

 

Story
敏腕証券アナリストのウェイは株価大暴落のあおりで失業し、恋人にも見放される。すべてを失い絶望した彼は、捨てられた赤ん坊を発見、「金持ちに拾われて」という書き置きがあった。一度はやり過ごすウェイだったが、折から大雨となり、赤ん坊のもとへ走り出す……。

 

「流星」

監督:ジェイコブ・C・L・チャン
出演:レスリー・チャン、エリクソン・イップ、キャリー・ン、ティ・ロン
1999年/中国/カラー/111分 配給:ハーク
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